第41話 晩餐会
その日の夜、城ではオストールの皇太子を歓迎する晩餐会が開かれた。
そして、リーナは会が始まってからずっとケイオスに絡まれていた。
「リーナ。前世でのマリーンとのことを、出会いからじっくり聞かせてくれ。」
今世、彼女のことをリーナと呼ぶのはウィルだけだったのだが、マリーンにリーナと呼ばれていたと話すと断りもなくリーナと呼び出した。
この人は大国オストールの重鎮・じゅうちん・ジュウチン・・・
心の中で自分に言い聞かせながら笑顔で対応に当たっていたが、強引でマイペースな彼の相手は正直とても疲れる。
マリーンと暮らしていた頃、彼女の話に時々出てくるハーフエルフの話題になったことがあった。
人間の血が混ざったケイオスはプライドの高いエルフには仲間として認められず、里にも入れてもらえなかったらしい。
そのため人間の中で暮らしていたが、そこでも不老長寿や突出した能力のため浮いてしまい、かなり孤独な環境にいたそうなのだ。
”そんな状況なら、先生がオストールで暮らしてあげるとかこっちで一緒に住もうとかいう話にはならなかったんですか?”
リーナの質問にマリーンは苦笑した。
”うーん。悪い人ではないんだけど、なんかずっと一緒にいると暑苦しいというかウザいのよね。10年か20年に1回会うくらいが丁度いいのよ。”
マリーンの感覚を普通の人に当てはめれば、おそらくそれは1~2年に1回という感じなのだろうと思った。
”リーナを拾う直前にオストールで会ったからしばらく会うのはいいかな。リーナと暮らしてるのがバレたらきっとうるさいし、また落ち着いたら紹介するわ。”
そういえば、先生がそんなことを言ってたなあ。
先生の言う通りでした・・・
リーナがそんなことを思い出しながらケイオスの対応をしていると、ローランドとウィルが2人でこちらにやって来た。
「お話が弾んでいるようですが、ケイオス。こちらの国の魔術師長のショーンがあなたにご挨拶したいと言ってましたよ。」
「ああ。」
ケイオスは面倒くさそうに声をあげたが、国の代表としてシュタインマルクを訪れているということを思い出したようで、しぶしぶリーナの元から離れていった。
「ふう。」
思わずため息をついたリーナを見てローランドが笑った。
「あの方の相手は疲れるでしょう?あなたに一任してしまって申し訳なかったですね。」
「いえ、そんな。」
慌てて否定してみるものの、それは事実である。
「でも、確かになかなか個性的な方ですね。」
ローランドも頷いた。
「長命の方ならではの独特のものがありますよね。あなたの師匠だった森の魔女もああいう感じだったのですか?」
ローランドの問いにリーナは全力で首を振った。
先生の名誉のために否定しておかなきゃ。
「先生もちょっと不思議なところはありましたけど、もっと普通でした。」
「そうなんですね。魔女殿の話といい、あなたの話は本当にびっくりすることばかりでした。今回の遊学で世界を知って来いと父に言われましたが、世の中まだまだ知らない事や不思議な事がたくさんあるのだと思い知りましたよ。」
ローランドの表情を見ると、心からそう思っていそうだった。
大国の皇太子様だけど、謙虚で学ぶ姿勢もあって、いい皇帝になりそうね。
リーナはそう思った。




