第28話 成人の儀
なるほど次期王妃様になる方だから、こんなにオーラがあるのね・・・。
心から納得しながら、笑顔でアイシャに話しかけた。
「ダグラス兄さまからジェラルディ家のお話はよく伺っています。私とも仲良くしていただけたら嬉しいです。」
アイシャは一瞬微妙な表情を浮かべたが、すぐに笑顔になった。
「ええ。私もあなたのことはダグからよく聞いています。新成人おめでとう。今日は楽しめるといいわね。」
一瞬アイシャが浮かべた微妙な表情に少し違和感を感じたが、リーナは笑顔でお礼を述べた。
「ありがとうございます。」
「ダグ。あなた達はここで休憩するつもりだったのでしょう?私は十分休めたからもう行くわ。じゃあね。」
「アイシャ・・・」
見つめ合う2人の表情はどこかぎこちない。
名残惜しそうな雰囲気を漂わせる2人の様子にリーナはピンときた。
この2人、もしかして両想い?
去って行くアイシャを切なげに見つめるダグラスの横顔を見ながら、リーナはそう思った。
自分を見つめるリーナの視線に気付いたのかダグラスがハッとしたように息をついた。
「フィリー、ベランダの方へ行って風にあたろうか。」
「・・・兄さまはアイシャ様のことがお好きなの?」
元平民のリーナは純粋培養の貴族令嬢と違い、気になることも全て心の中にしまい込み聞くのを我慢するなどということはない。
そして今回に関しては、リーナの中に嫉妬という感情は皆無だ。
純粋に愛し合う2人がくっつけばいいんじゃないかと思っての発言だ。
「そんなことは無いよ。僕の婚約者は君だろう。」
リーナにというよりは、ダグラスは自分に言い聞かせているように聞こえる。
「でも・・・」
「もしそうだとしても。どうしようもないことだよ。彼女は時期王妃になられる方だからね。フィリー、僕は君を大切に思っている。変なことは考えないで。」
そう言ってダグラスはリーナを引き寄せ頭にキスをした。
貴族の中にはパートナー公認で浮気をする人の噂も聞いたことがあるし、リーナ自身はダグラスがアイシャを好きなら別に彼女と付き合ってくれてもいいと思う。
でも、王妃さまかあ・・・
世継ぎの問題もあるし、2人が仲を深めることは難しいだろう。
貴族の世界もいいことばかりじゃないのよね。
平民だった頃は働かずに衣食住が確保されるなんていい身分だなと思っていたが、いざ自分が貴族になってみると平民にはない厳しい取り決めや縛りがあって自由が少ないのだ。
少し休憩してから再びホールへ戻ると、知り合いの令嬢たちと会い歓談することになった。
ダグラスも友人と話しているようだった。
それからしばらくすると高らかなラッパの音がホールに響き出した。




