第27話 成人の儀
年が明け、シュタインマルク王国の成人の儀が行われる日になった。
国中の貴族の新成人が家族と共に王城を訪れ、城のホールはいつになくガヤガヤと賑やかだった。
リーナもダグラスに連れられホールに足を踏み入れた。
「わあ!」
いつも大抵のことに驚かないリーナも流石に驚きの声をあげた。
壁や柱に精密な彫刻が施された広々としたホールに高い天井、窓には様々な色のステンドグラスが貼られ会場全体が光り輝き、天界のような美しさだった。
「すごいだろう?」
ダグラスはドッキリが成功したかのように得意げな表情になった。
「フィリーも絶対驚くと思ったんだ。僕も初めてここに来た時は同じ反応だったよ。さあ、行こうか。」
すでに多くの新成人がダンスを踊っている。
手を差し出され、リーナはダグラスとホールの中央の方へと足を進めた。
2人は3曲続けて踊った後、少し休憩を取ることにした。
ホール周辺のドリンクコーナーでシャンパンを受け取り、風に当たろうとバルコニーの方へと移動した。
人気のなさそうなバルコニーの方へ行くと、先客がいて王城の庭園を眺めているようだった。
リーナたちの気配を感じたのか、その人が振り返った。
「ダグ?」
「アイシャ?」
先客の女性とダグラスは同時に互いの名前を呼び合った。
リーナもつられるように女性を見た。
その人は色味の濃い金髪に碧眼の大層な美女だった。
上品さを損なわない華やかな顔立ちにメリハリのある素晴らしい身体をしていた。
そして纏うドレスも最上級の生地やレースや宝石をふんだんに使用した大変豪華な物だった。
なんていうか、すごい存在感のある方ね。
胸の大きさは先生に匹敵するかも・・・
リーナがそんな感想を抱き、しげしげと女性を眺めているとダグラスが口を開いた。
「アイシャ。休憩中邪魔をしてすまなかったね。この子はフィリーナ・ラチェット伯爵令嬢。僕の幼馴染で今年の新成人だよ。」
ダグラスの言葉にリーナはドレスの裾をつまみ挨拶をした。
「フィリー。この方はアイシャ・ジェラルディ公爵令嬢だ。年はフィリーの一つ上かな。父親同士が友人で子供の頃からの知り合いなんだ。彼女の兄のマックスとは親友でね。マックスの話はしたことがあるだろう?」
マックスのことはダグラスの会話によく出てくるのでもちろん知っている。
アイシャのことはダグラスから聞いたことが無かったが、その存在はリーナでも知っていた。
三大公爵家の一つであるジェラルディ家の長女で、今の国王陛下のお妃候補で最も有力と言われている人だ。
実際、陛下と年齢が釣り合う高位貴族の女性があまりいないので、ほぼ彼女に確定しているという話は、噂話に疎いリーナでも聞いたことがある。




