第20話 2回目のお茶会
「お菓子を作ったり給仕をすることに対して、お母さまも最初はいい顔をされなかったのよ。でも姉弟で楽しそうにしていたら家の中だけならいいと許して下さるようになったの。このクッキーも私が焼いたのよ。孤児院に持っていくと言って作ったものを少し取り分けて持ってきたの。」
ニコニコ笑いながら嬉しそうに話すリーナは、本当に可愛らしかった。
そうだ。以前のリーナもおっとりしたしゃべり方で、邪気が無く純粋だった。
クッキーをつまみながらウィルは幸せな気持ちで昔を思い出した。
「美味しい!リーナがこのクッキーを作ったのか?今でも料理が出来るんだな。」
「まあ毎日やってるわけじゃないから昔ほどじゃないけどね。」
以前のように、ふふふとおっとり笑うリーナを見てウィルはお願いしたくなった。
「リーナの卵焼きが食べたい。」
「卵焼き?」
「ネギの入ったやつ。毎朝、朝食に出してくれてただろう?」
「ああ。よく覚えているわね。いいわよ、それくらいなら今でも作れると思うわ。じゃあ、次回はおネギと卵を持ってくるね。・・・その前にここの調理器具が使えるか見ておきましょうか。」
リーナは立ち上がり台所へと向かった。
魔力を通すと火が付くコンロ、フライパンは少し埃が被っているが大きな痛みもなく使えそうだ。
「うん。全然問題なく使えそうね。16年も経つのに綺麗に残っているものなのね。びっくりだわ。」
リーナには内緒だが、この小屋には国宝級の魔術がかかっている。
魔術師長のショーンが現状維持魔法をかけているのだ。
ショーンはチャラチャラしていて一見軽薄そうだが、仕事は出来るし人の心の機微を読むのに長けている。
この小屋がウィルの精神を安定させる憩いの空間だと理解してくれているのだろう。
以前、小屋の管理の礼を伝えた時も”主の健康管理も仕事のうちですしねー。”と軽い口調で返されたことがあるのだ。
「ああ、楽しかった!ウィルと話していると気楽で疲れないわ。家族も友達も仲はいいし大好きなんだけど、貴族という枠組みで付き合うとなんか窮屈なところがあるのよね。」
リーナが何気なく言った言葉にウィルはドキッとした。
国王なんて、貴族社会の象徴じゃないか。
これはバレないようにしないと・・・。
こうして楽しい時間はあっという間に過ぎ、2人は次回の約束をして別れたのだった。




