第15話 リーナとの再会
前王の暗殺から16年。
ウィルは国王の執務室で仕事に没頭していた。
「陛下。この書類の処理が終わったら一旦休憩しましょう。」
側近のルーファスの言葉にウィルは頷いた。
「ああ、そうだな。」
8歳で王位を継いでから16年経ち、最初は宰相任せだった政務も自分でこなせるようになってきた。
側近のルーファスはローワン宰相の息子で、ウィルと同じ年齢だ。
ゆくゆくは父の跡を継いで宰相となり、ウィルの治世を支えてくれるだろうと思っている。
2人で黙々と仕事をこなしていると、あと少しという時に執務室の机の上に置かれた魔女の森と繋がっている魔法の水晶が点滅し始めた。
魔女の森はウィルが幼い時に魔女の弟子リーナと過ごした思い出の場所だ。
リーナが亡くなり持ち主がいなくなったその森と小屋は、王宮魔術師に結界を張らせ王の管理下に置いていた。
そして森の中にある小屋とウィルの執務室を魔術師長ショーンに移動魔術で繋がせているのだ。
一人になりたい時や考え事をしたい時、そこを訪れゆっくりと過ごす。
ウィルだけの隠れ家だった。
「ルーファス。小屋の結界に乱れが生じたみたいだ。動物でも入り込んだのかもしれないし、ちょっと見てくる。」
国内最強の魔術師であるショーンが結界を張っているため、普通の人間はそこに立ち入ることは出来ない。
しかし、たまに森の動物が入りこみ小屋の中の食糧をあさったりすることがあるのだ。
「承知しました。気を付けて行ってきてください。」
最後の書類を急いで片付け、ウィルは水晶に触れ小屋への移動魔術を始動した。
※
ウィルが小屋に入ると部屋の真ん中に10代半ばくらいの少女が一人ポツンと立っているのが目に入った。
ゆるくウェーブを描く明るい金髪に、ぱっちりした緑の目。
美女というよりは可愛らしい感じの美少女だった。
かわいい・・・じゃない!
一瞬見ほれた後、ウィルは軽く首を振り少しきつめの口調で尋ねた。
「ここで何をしている?」
少女はウィルの方を見てきょとんとした表情を浮かべた後、ぱあっと満面の笑顔になった。
「ウィル?あなたウィルよね?」
ウィルは驚いた。
ウィルフレッドはミドルネームで、亡くなった母や一部の親しい者にしかその名を呼ばせていないのだ。
「だ、誰だ?」
戸惑いが混じり、先ほどより口調が弱くなる。
「私、リーナよ。」
「リーナ?」
リーナは老婆だったし、何より16年前に亡くなっている。
どこかからリーナの情報が洩れて、王である自分を謀ろうとしているのか?
ウィルがそんなことを考えていると、少女は言葉を続けた。
「先生の指輪、珍しく本物だったのよ。16年前に死んだ後、この国の貴族の娘に生まれ変わったの。」
「先生の指輪・・・。リーナ、本当に・・・?」




