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9羽

「屍蛇さま、7日毎に夜はどちらに行かれているのですか?」


 そう、聞きたかったが、聞けなかった。

 仕方なく、ウララは帯同することに決めた。一定の距離を取り、空を駆使する経路で。つまり、尾行するつもりだった。普段は着ない黒い服を身にまとい、アプリコットの髪を束ね、お団子にして、黒いブーツを履いた。そして、コソコソと部屋を出て、屋敷の端までやってきた。

 少し離れた門からは、今まさに屍蛇が馬車に乗ろうとしている。


「お仕事……お仕事だって確認したら帰る」

 ウララは自分に言い聞かせ、ざっと塀の上に飛び乗った。

 すると、塀の向こうでは、エナガが同じような格好で待っていた。

「お前、分かりやすすぎ……アホ鳥の典型みたいな生き方やめて欲しい。みんなお前みたいだと思われて舐められるだろう」

「あんた何してんのよ」

 小声で抗議すると「お前のお目付け役として高い賃金貰ってんだよ」と返された。

「邪魔しないで」

「別に、邪魔する気なんてない。現実を見た方がいい」

「……このぉ」

 何か言ってやろうと思っていたが、「いいのか?出発したぞ」と言われウララは慌てて飛び立った。


 そして、屍蛇の馬車は、娼館へと入っていった。


「し、信じられない……まさか、今頃、屍蛇さまの前で、その何て言ったかしら、ズズンバが求愛の舞を⁉」

「誰だよ、ズズンバ。バオズさんな。まぁ、お前よりはるかに見栄えする舞を踊ってくれているだろうな」

「ゆ、ゆるすまじ、ズズンバ!スズメの分際で!」

「黒豹族な」

「こうなったら」

「どうすんの? まじ、面白い。教えて」

 本気で面白くてたまらない様子で笑うエナガの羽根を一本ぶち抜いて、ウララが「キーッ」と嚙み締めた。

「うずらの本気みせてやるわっ」

 哀れな幼馴染の行く末を案じ、エナガが合掌した。



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