8羽
鳥族は、じっとしていない。用意された屋敷に一日、留まることなどない。
ウララは、お目付け役について来たエナガと共に、玉鋼を飛び回った。
「聞いて、エナガ! ついに昨日の夜、屍蛇様と口づけしちゃったの!」
玉鋼で一番大きな木の上で、ウララがエナガの背中を叩こうとして失敗した。
「はぁ?なんだよ、毎日やってんだろう?」
「はじめてだよ」
「あ?あぁ……はー、それで、はー」
納得した、とばかりに頷くエナガは意地の悪い顔をしてウララを見た。
「な、なによ」
「いや、蛇って乱婚だろ。どうりで、屍蛇様は娼館に定期的に通ってるわけだ。ウララ、お飾りの妻だったんだよ」
「はあああ?」
普段、可愛いを追い求めているウララが可愛いを脱ぎ捨てた。
「し、屍蛇さまに限って、しょ、娼館なんて行かないし! 行っても、ほら、立場があるから、お支払いがかりとか、なんかそういう、お付き合い的なそれだよ!」
ウララは、手近な枝を折ってはなげて、折っては投げた。
「三年前に、この鉱山従事者の為に作られた娼館があるんだけど、そこの妓女のバオズさんは、絶世の美女らしいぞ」
玉鋼は、数年前に鉱山が発掘されて以来、あらゆる整備が施されている。
娼館もその一つだった。
各地から集まる人足、強制労働の奴隷たち。集まる者の大半は男だったため、要望が多かった。
「だから何よ! 屍蛇さまには関係ない」
「背が高くてすらっとしてるのに、豊満な体で、知性的。黒い絹糸のような髪、物憂げな表情……彼女を部屋に呼ぶには、相当な金額が必要らしいが、どうやら決まった日だけは、いくら積んでも呼べないらしい」
「決まった日だけ……」




