表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/18

10匹 蛇視点

 


 玉鋼での任務は、順調に進んでいた。

 屍蛇は、この地の反乱分子を鎮圧するため、組織の内部崩壊を狙っていた。

 そのために、先行して作らせた娼館で、彼らは本当によく内部の話を漏らしてくれていた。敵であるのに心配するほどだった。


「やっと手に入りそうだな」

「はい、最後まで気を引き締めて参りたいと思います」

 

 諜報員として、十二分な働きをしている、バオズに今日も謝礼を渡した。

 もちろん、活動経費からでている。もうすぐ、隣国の大臣が、反乱分子と密約を交わした証文が手に入る。


「本当に、罠にかけられているのかと心配になるほど、お粗末すぎて……逆に恐ろしいものだ」

「そうですね。なぜ彼らは、あちらの言い分を信じるのでしょうか。どさくさに紛れて鉱山を手に入れたいだけなのに……」

「彼らの闘争本能は、別の場所であれば活かされるのだが……」

 

 屍蛇は、口元を覆い、敵の未来に思いを馳せた。

 殺してしまうのは簡単だが、どうにかして使えないものか。


 考えこみ始めた屍蛇に、バオズが酒を注いで差し出したが、彼は決して手を付けない。

 今まで一度たりとも、ここでは水すら口にしない。いや、ここ以外でもバオズが彼の飲食する姿を見たことがなかった。もちろん、着衣を緩める姿も。

 笑った姿も、怒る姿も見たことがない。

 屍蛇は、体温を感じさせない、無表情が常だった。


「そういえば、お后様がいらしていたそうですね」

「……」

 屍蛇の瞳が動いた。

「入らずにお帰りになったようですが……」

 屍蛇の眉が寄っている。

 鳥族は、数が少ない上に、あまり他の民族と住処を共にしない。

 玉鋼の民たちは、初めて見る鳥族に興味津々だった。

 そんな視線に、ニコニコと手を降るウララは、彼らが思い描く、可愛らしくて少し愚かな鳥族のイメージそのものだった。皆が、上から目線で彼女を歓迎し、空を飛び交うウララを楽しそうに目で追った。


「お后様のお陰で、身を隠しにくくなった隣国の諜報員たちは活動を控えています。空から見れば丸見えということも多いですから」

「あぁ……」

 さらに口を開こうとしたバオズを制するように、屍蛇が腰を上げた。

「お帰りですか?」

 もう用は無い、とばかりに屍蛇は彼女に視線も送らず立ち去った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ