表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/18

4匹 蛇視点

 

 宮廷にいる鳥族は、もっと翼の大きな者が多い。総じて彼らは大空を飛び回るために、体に無駄な脂肪が無い。シュッとした絞られた体つきだった。


 しかし、ウララは違う。ふわふわした羽根と髪。締まりのない愛らしい顔立ち。


 (なんだ、この、全体的に、緊張感の欠片もない砂糖菓子のような子供は……いくら子供といえど、蛇族は、もう少し知性の光る目をしている、まぁ、狡猾といえばそれまでだが。なぜ……こんなにも、阿呆っぽく見えるのだ)


 屍蛇が難しい顔でウララを見ていると「ウララ!」と、壁の向こうから、エナガがやって来た。


「エナガー!」

「うわぁ……なにこれ、どういうこと……怖っ!ていうか、血、いっぱい出てるよ!」

「痛いよお」


(もう1羽増えた……鳥族の子供は、こんなものなのか?)


 鳥族は、他の種族に比べて大きな問題を起こさない。比較的、平和主義で自然と共に生きる種族であり、屍蛇としても悪い印象を抱いたことが無かった。


(鳥族は子沢山と聞くが……こんなにも無謀ならば納得がいく。幼いうちに死ぬ個体が多いのか。今回は、この無謀さに救われたが……)


 屍蛇は、ため息を付いて、懐から手巾を取り出し、ウララのおでこの擦り傷に当てた。


「いひゃいです……お兄さん」

「ウ、ウララ…………この方……皇族の皇子様だよ!」

 今、気がついたとばかりに、エナガが跪いて頭を下げた。

「おうじさま……」

 ウララのめが、ぱちぱちと何度も瞬いて「道理で王子様みたいにカッコいいんだ」とつぶやいた。

「……ばか」

 エナガの心の声が口から漏れている。

「王子様、私はウララでこっちが、幼馴染のエナガです」

 屍蛇の手巾を自分でおさえ、隣のエナガを紹介した。エナガの羽根がブルブルと震え、彼の肘が「やめろ、黙れ」とウララを突いている。


「皇子様のお名前は?」

「失礼にも程が……」といきり立つエナガを屍蛇が手で制した。

「私は、屍蛇。君のおかげで助かった。追って褒美を取らせよう」

「ご褒美?はい!はい、はーい!」

 ウララは、目を輝かせ、手を上げた。褒美に目の色を変えない人間はいない。子供とてそうだ。屍蛇の周りにも、親に入れ知恵をされた子供が沢山やってくる。

「なんだ」

 何が欲しいのだ。金銀か、上等な絹織物か、装飾品か、はたまた親の昇進か。屍蛇は、つまらないものを見る目で、ウララを見下ろした。

「今日の夜、皇子様が飛ばす天灯と一緒に空を飛んでもいい?」

「……かまわないが、そんな事でいいのか」

「えっ……じゃあ、天灯の中に入って飛ぶのは?」

「燃えたいなら止めないが」

 屍蛇の言葉に、ウララは大きく首を振った。



それから、ウララは父親に、こっ酷く叱られた。しかし、夜には屍蛇に招待され、大きな天灯と共に空を飛び回り、大はしゃぎだった。


それから、毎年、天灯のお祭りの際には、屍蛇はウララとエナガを招待した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ