表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/18

3羽

 

 ウララの羽根は、小さい。長時間の飛行には向いていない。

 渡りの際も、大型の翼を持つ鳥族の3倍も4倍も時間をかけて、休み休み移動する。平地では飛ぶよりも走ったほうが早い。しかし、高い塀に飛び乗るのはお手の物だ。


「だ、だれかーーーーー!」


 血だらけになって倒れている護衛たち、矢を射られて悶えている女官。赤く血に染まった、白い玉砂利の地面。


(こ、これって、黒い人達に少年が襲われてるんだよね!?)


 恐怖と戸惑いでパニックになったウララは、声にならない鳴き声で叫んだ。


「ぴよぉーーーーー!」


 大きくは無いが、よく響き、同族の耳を刺激するものだった。何処からともなく、鳥族の呼応する声が聞こえ、皆が飛び立った。


 凧のように空に舞い上がった、多くの鳥族。


「みんな助けてー!」


 ウララの言葉に気をとりなをして、焦った刺客たちは、一斉に屍蛇に襲いかかった。しかし、その動きは動揺で乱れ、精細を欠いていた。


 対する屍蛇は、冷静に立ち回り、1人、2人と地に沈めていく間に、宮廷に仕える鳥族の男たちが抜刀し集まって来る。

 任務の失敗を悟った1人の刺客は、懐に手を入れ暗器を取り出した。キラリと光ったその閃光に、ウララが気がついた。


(ま、まさか……あの子に!? どうしよう、戦ってて気づいてない!?)


 屍蛇へ放たれた、匕首。それと同時に突き動かされるように、ウララも塀から飛び立った。


「危ない!」


 屍蛇の頭に巻き付くように落ちてきたウララの羽根が広がり、屍蛇の視界は塞がれた。


「どけっ」


 彼がウララを引き剥がすように背後に投げ捨てた。すると彼らの目の前には、鳥族が守るように立ちはだかっていた。

 もはや、立っている刺客はいない。


「……」


 屍蛇の顔に安堵が広がった。周囲の者が「屍蛇さま!」「お怪我は!」と声をかけると同時に、屍蛇の背後で「いったあああ」とウララが泣き始めた。


 屍蛇は、視界の隅に入っていた暗器が彼女を傷つけたのかと、その側にしゃがみ込み「大事ないかっ」と背中の羽根に手を置いた。

「痛い、凄く痛い。手も足も、ズリズリで血がいっぱい出てる!」

 むくりと起き上がったウララは、投げ捨てられた恨みで、べそをかきながら屍蛇を見上げた。


(う、うわぁぁ、すごいカッコいい。冷たそうなシュッとした大人っぽいお顔。ちょっと怖くて、ゾクゾクするかんじ…………好き!)


 鳥族の恋愛は、割と一目惚れが多い。同族間では、その気持ちがわかるので、展開の早い恋愛に支障はない。しかし、異種族となると軽率だと誤解されやすい。彼らは、一途なのだが。片思いになりがちだった。


「見せてみろ。他には怪我はないのか」


 屍蛇は、擦り傷には目もくれず、暗器による傷を探った。

 暗器には毒が仕込まれていることが多い。


「おでこも痛い。あーー、ち、血がたらぁって流れて来る」

「あぁ、そこはどうでもいい」

「どうでも良くないよ……痛い」


 屍蛇は、ウララの羽根周り、長いふわふわの髪をめくった首周り、手足を調べたがキズはない。

 すると視界に暗器を持った鳥族が「これでしょうか」と控えめにアピールしていた。

 暗器は、二人に届く前に、駆けつけたものによって防がれていた。


「早く言え」

「えっ?」

「何でもない。お前のおかげで助かった。名は何という」

 屍蛇が改めて、ウララを観察し始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ