14羽
「やぁ……やだぁ!!やだよぉ!」
男の腕を掴んで縋ろうとしたが、檻の反対側に突き飛ばされた。
ぐらり、檻が傾いた。
哀れなウララの最後を見ている男たちは、愉悦の表情で笑ってる。
そして――目が、興奮していた。
「きゃあああ」
檻が逆さまになる直前、隣に飛び出して来た人間がいた。
まさか助けが、と期待して見ると、先程の男の一人が何本もの矢に射られていた。
(どうなってるの…………もう全然わからない!やだ、屋敷に帰りたい。全部、全部……夢だったら良かったのに。屍蛇さまに会いたいよぉ)
もう何も見たくなくて、目を瞑ると「馬鹿、ウララ飛べぇ!!」と聞き慣れた声がした。
はっと目を開くと、エナガが檻を掴んで必死に飛ぼうとしていた。
「あっ……あ……エナガ……」
「早く飛べ!!無理、こんなの止められない!ちょっとでも勢い殺せっ」
エナガは見たこと無いほど、必死に羽ばたいていた。
ウララもすぐに、羽根を羽ばたかせ檻を持ち上げるように飛んだ。
「くぅうう」
「おもぉ、おもい」
二人は必死に羽ばたいたが、檻の落下は止まらない。
先に落ちていった人間が、鈍い音をたてた。
「くそおぉぉ」
必死に助けてくれようとする友人が巻き込まれたら嫌だ。
ウララが、もういいよ、と口を開こうとすると
「エナガ、こっちに落とせ」
崖の下で、狼獣人が馬を走らせ、湖を示した。
雨水でできたような、小さな湖が、二人には特別輝いて見えた。
「うおおお!」
「んんー!」
このままでは、岩場に落ちてしまう。
二人は必死に、少し逸れた湖へと羽ばたいた。
もう声も出ず、湖だけをみて飛んだ。
「エナガ、離せっ!」
なんとか岩場を避けられた時、ウララの耳には屍蛇の声が聞こえたきがした。
しかし、すぐに大きな水しぶきが上がり、耳も視界も覆われ、それどころでは無くなった。
(これ……ぺちゃんこになって死ぬよりも嫌かも……苦しい……息ができない。檻から出られないのに湖に落ちてどうするのよ……)
ウララは必死に脱出方法を探した。
水底に叩きつけられた衝撃で檻は歪んでいる。
どこか出られるところは……ウララは、手あたり次第、歪んだ場所から出ようと試みた。
ここは駄目、ここも駄目だ。
こっちは、頭が通ったのに、何かが引っかかって出られない!
水の中では目も良く見えず、頭もパニックで働かない。
ウララは段々と意識を失って行くのを感じた。
〇
〇〇
〇〇〇
望んだ走馬灯は、あっさり終わった。
〇〇〇
〇〇
〇
(屍蛇さま……最後に会いたかったなぁ)
ウララの霞む意識の端に、望んでいた人が現れたのは、幻か――。




