表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/18

12羽

 そんな出来事があり、ウララは歌を盗み聞きさせてくれた、おじさんたちに会いに行った。


 おじさんたちは、歌の中で待ち合わせの場所として出て来た、鉱山の向かいの森に居た。


(今日は見たことない人たちと一緒だなぁ。あの服装、お隣の国の人っぽいけど、お友達かな?)


 おーい、と声をかけ、降りて行ったウララは、捕獲され籠の鳥となった。



□□□

□□




 (なんで⁉ どういうこと⁉)


 鳥かごなんてお洒落なものではなく、獣を入れる檻のなかで、ウララは嘆いた。


「この頭の悪そうな鳥のせいで、俺たちの活動はやりにくくなった」

「殺しちまうか?」


 檻の前では、不穏なやりとりがなされる。

 ウララの檻は、洞窟のような暗い場所に、置かれていた。

 周囲には、真新しい銅銭が転がっている。


「まぁ、待て。あの皇族の嫁だ、切り札になるかもしれねぇ」

「そうだな。しばらく、鳴りを潜めよう、探したって見つからねぇよ、秘密の坑道なんだからよ」


 男たちは、ゲラゲラ笑い、酒を飲み、所狭しと並ぶ食事を楽しんでいる。

 ウララたち鳥族は、基本的に質素な暮らしを好む。

 飛べなくなるので、酒も飲まないし、必要以上の食事をとらない。

 

 ウララは、彼らを見て不思議に思った。


 (この人たち、よく見ると、とても肥えてる。他の人足は結構、しゅっとしてるのに。変なの……そういえば、娼館に出入りしてた男の人たちって、周りの人より、良い恰好してた。同じ場所で働いてても、貰えるお金ちがうのかなぁ)


 檻の中で、小さくなって座り、彼らを観察した。


「よぉ、鳥さん、飛んでみろよ」

 

 酒に酔った男が、鞘に収まっている剣で、檻の外からウララを突いた。


「やめて、こんな檻に入ってたら飛べないわ」

「馬鹿か、お前。そんなの知ってて言ってんだよ」


 ゲラゲラ笑う男が、ウララに酒を浴びせた。


「ちょ、やめなさいよ!大体、勿体ないと思わないの⁉」

「あー?こんな安っちい酒がか?はははは」

「お酒は高いって、みんな言ってた」


 渡りの際に、エナガはよく、酒を抱いて運んで小遣い稼ぎをしてた。

 酒飲みは、普段手に入らない味に大金をはらうとかなんとか。


「いいか、俺たちには、無限に金があるんだよ」

「お前のダンナよりも、もっとだぞ」

「なんせ、作ってるからなぁ」

「おい、余計なことをしゃべるな」


 男たちは、上機嫌で、時よりウララを酒の肴として、いじめては喜んでいた。


(私、なんで捕まったんだろう? 今、どういう状況? このおじさんたち、鉱山で働く中元の民でしょ? 屍蛇さまに恨みでもあるのかな?なら、何か私も、こいつらをやっつける方法を考えないと)


 ウララは最初のうちは、気丈に過ごしたが、事態は何も変わらなかった。

 ただ、ひたすら、閉じ込められて、粗末な食事と水を与えられる不安な時間が過ぎる。


(な、何にもない。できること、何もない。檻から出られるの用を足すときだけだし、首輪つけられて逃げられない。屍蛇さまと、エナガ……私の事探してるかなぁ。心配してるだろうな)


 一日、二日、時が進むごとに、男たちの表情が変わって来た。洞窟に集まってくる人数も減った。


「くそぉ、裏切りものどもめ!」

「どうして、あそこがバレたんだ?」 

 

 目の前の男たちが憔悴して仲間割れをはじめ「もうお終いだ」と自暴自棄になっていくのを、ウララは、恐ろしく見ていた。空気がピリピリしている。積まれていた銭も、皆がこぞって懐にいれた。


「もう、ここに奴らがくるのも時間の問題だ」

「この国から逃げよう」と一人の男が言い出して、ならば自分は解放されると、ウララが喜んだのも束の間。


 人質として連れまわされることになった。

 乗せられた荷馬車が揺れるたびに、体が檻の柵にぶつかる。

 檻に布が掛けられているために、ウララには外の様子が分からず、衝撃に備えることもできなかった。


「痛い……うっ……気持ちわるい」

「うるせぇ、喋るな!」


 永遠と思われる時間だったが、まだ日が陰るようすもない。


「やべぇぞ、山んなか、兵士だらけになってやがる!!」

「もう、コイツは捨てようぜ、邪魔にしかならない」


 勢いよく、檻の布が外された。


「ここで斬り殺せば、匂いに敏感な狼獣人どもにバレるかもしれねぇ」

「そこから落とそうぜ」


 男が顎をしゃくったのは、崖だった。


「……う、嘘でしょう……だ、出して! お願い出して!」


 ウララは、檻からかろうじて出る腕を伸ばして訴えた。 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ