護衛依頼
ぬいぐるみ教室の翌日…
トキは1人で朝から街の中をぶらぶらと歩いていた。
「たまにゃ、1人で動かんとな…」
本日ヴァイスはラックとスフィアと共に
スーサ辺境伯の家に戻っている。
当初はヴァイス達はトキに付いていこうと
していたがトキが断り、
「家に帰って親孝行してろ」と伝えると
ヴァイス達は家に帰っていった。
トキは冒険者ギルドに向かうと
兼用酒場ではいつも通り賑わっていた。
兼用酒場を通り抜け冒険者ギルドの
依頼ボードに貼り付けてある依頼を
一通り目にする。
「街の拡張工事用に木こりの護衛依頼が多いな?」
ウルフやゴブリンの討伐依頼と共に
護衛依頼が多く貼られていた。
「まぁ、低ランクでも出来そうな依頼だな…
こっちは…商人の護衛か…」
トキはふと依頼ボードの下にある依頼書を見つける。
トキは気になり依頼書を持ってカウンターに向かう。
家族で商人しておりその子供が依頼書の
依頼人として名前が書かれているらしい。
トキは受付から話を聞いて
この依頼を受ける事とした。
「待ち合わせ場所は…この辺りだよな?」
トキはベラムの正門付近の宿屋である
銅のトンビ亭に辿り着く。
宿屋の中に入って行くと
「いらっしゃいませ!
ご利用は1名でしょうか?」
「あぁ…いや、利用じゃなくて
ここを利用しているロット君に
会いに来たんだけど大丈夫かな?」
「ロット君に?もしかしてあんた
ロット君の家族の護衛をしてくれる人かい?」
「まぁそうだけど…」
「ロット君達なら今食堂の隅にいる家族がそうだよ」
女将が食堂の隅にいる家族の元へと案内する。
「君が今回護衛してくれる人なのかな?」
食事を終えた男性がおしぼりで口元を拭いて
トキへと質問する。
「えぇ、依頼を受けたトキと言います」
「トキ…この街では有名な名前だけど
そんな人が何故この依頼を受けたんです?
そこまで金に余裕のある家族では無いので
依頼料は少ないですよ?」
男性は睨みを利かせて話す。
「ロット君の依頼書を見つけた時に
下の方に有ったので気になって
受けただけなのでお金は少なくて結構ですよ。
もし偽物のトキだとしても
ベラムの警備兵が見つけて捕まるだけですから」
「分かりました。
要らぬ事を聞いて申し訳ない。
私の名前はフェンと言います。
こちらの準備が終わり次第出発しますので
宿屋の外にある厩舎で待っててもらえますか?」
「分かりました」
トキは宿屋を出て数分後、馬車の準備を終わらした
フェンの家族がトキに告げて
一緒にベラムの正門へと向かっていった。
「フェンの旦那が出るって事は
もうそろそろ冬になるって事だな」
「そうだね。警備兵の皆さん
今まで助かりました。ありがとう。
また春ごろになったら来るからね」
正門にて手続きしている間、
知り合いの警備兵と会話をするフェン。
帽子を取り深々と頭を下げて挨拶して
帽子を着用する。
手続きが済んで出て行くフェン達。
トキは護衛として馬のゆっくりした速度に
合わせて馬車の側面を歩く。
「トキ君疲れるだろ?馬車に乗って良いんだよ?」
「たまには身体を動かさないといけないと
思いまして疲れたら馬車に乗せてもらいますので
今は大丈夫ですよ」
砂利道の街道を早歩きで進むトキ。
フェンは業者台で馬を扱ってゆっくり進む。
馬車の中にはロット君とフェンの奥さんのシュイン、
ロット君の兄のヴァロ、ロット君の妹のチアが
乗っている。
「所でフェンさんは何を主として
商売してるんですか?」
「私達は骨董品や布等の反物関係を扱ってるよ」
「へぇ、骨董品は気になりますね」
「よろしければ次の休憩所で見せますよ」
「よろしくお願いします、
あ、少し待っててもらえますか?」
トキは約束をすると停止するように告げる。
「魔物か何かかい?」
「探査魔法使った時に何かに追われてる人が
いるのを発見しました。
少ししたら鉢合わせしそうなのですが
どうしますか?」
「護衛してもらっているのは分かっているが
困ってる人がいるのは何とかしたい。
トキ君頼めるかな?」
「分かりました。
では、ここで待っててもらえますか?
結界を張っておくので何があっても
問題はない様にしておきますね」
トキは結界を張って何かに追われてる人がいる
方向へと走っていく。
暫くして…
「あれかな?豪華な馬車に兵士が囲んでいるが
黒い外套を纏った奴らと相対してるな。
リザードマンも召喚してるし数的に不利だな。
まぁ、なんとかなるだろ」
トキは黒い外套を纏った者達を襲撃者と判断し
妖刀スパトールで相手を斬っていく。
リザードマンを召喚してる陣も消して
何事も無かった様に豪華な馬車と兵士を助けた。
兵士達は怪我していた為魔法で治癒する。
「そこの君、援護してもらって助かったよ」
「いえ、私が護衛していた商人の心意気に
お礼を言ってください」
「そうか…君は護衛依頼を受けていた冒険者だね?
その商人にお礼を言いたいから
会うことは可能かな?」
「まぁ、大丈夫だと思いますよ。
その前に馬車が故障してるように見えるので
浮遊魔法を使って移動しましょうか」
トキは襲撃された際に
馬車の車軸が壊れてるのを見て
浮遊魔法を使い浮かせてフェンの元へと向かった。
「フェンさん無事でしたか?」
「あぁ…結界のお陰でウルフに襲われても
問題なかったよ。
襲撃中に一匹の子犬が現れて退治してくれたんだ」
「子犬?もしかして…」
ロット君が宥めていた犬を見るとそこに居たのは
ファントムウルフのシルだった。
「シル…付いてきたのか?」
「ワン!」
「今日は愛護部屋の日だろ?」
「ワウ」
文字を地面に記すシル。
文字を記載している姿を見て驚くフェン達と兵士達。
「ベラムの街から匂いが消えたのを知って
ルティ先輩と相談して追いかけてきた…
なるほどね…」
「トキ君!その子犬は何者なんだい!?
文字を書けるなんて知らないんだけど!?」
「この子はうちの狼型魔物のシルです。
躾はしてあるので可愛がって貰って大丈夫ですよ」
「躾の範囲超えてないかね?」
「それは賢いからですね。
それはそうと豪華な馬車に乗っている方は
どこの貴族ですか?」
シルの事を話すと兵士達に質問する。
「この方は…」
「私からお答えしますね。
その前に馬車を地面に下ろしてもらえますか?」
馬車から女性の声が聞こえたのでトキは
浮遊魔法を解いて馬車を地面に着ける。
豪華な馬車から扉が開き出てきた女性は
ヴァイスぐらいの年の女の子だった。




