見学
「さて…製本作業を終えた事だし
各場所の見学でもしようかね」
製本作業を終えた翌日、
トキは書類棚に製本した物を全て入れて
これから行う事を告げる。
「先生、見学って言っても
サーカスの練習見て面白いですか?」
「練習は本番の如くやってる筈だから大丈夫だろ。
後は東側の訓練場での訓練具合とか
西側のベリアル商会、愛護部屋、相談室とかの
使用状況等見ても良いんじゃないか?」
「そこら辺は見なくても分かる状態になってると
思いますけど…
他にやる事無いんですか?」
「無いんだな~それが。
珍しく書類仕事も無いし
ぬいぐるみ教室してるからか人も居ない。
訓練してる奴らを見て
煽るぐらいしか無いんだわ」
トキは書類棚から離れてソファに座る。
「今日はぬいぐるみ教室の日でしたか。
日によって変わるから分からなくなりますね」
ヴァイスも反対側のソファに座り
机の上にあるお茶セットに手を伸ばして
お茶を作る。
水出しのお茶を作ると2杯のコップに注いで
トキと自分用に分けてトキにお茶を渡す。
「ありがとうな」
「いえいえ、自分の仕事なので」
トキとヴァイスはお茶を一口飲む。
「しかし…秋めいてきましたね…」
「紅葉の季節になったからな…」
トキとヴァイスは再びお茶を飲む。
2人の空間にはゆったりとした時間が流れている。
「そろそろあれかね…
雪が降る季節になるんだろうか?」
「じゃないですかね?
雪が降ったら雪掻きの仕事が入ってきますし」
「雪掻きか…その頃にはサミンが帰ってると
嬉しいんだがな…」
トキは心の声をふと告げる。
「先生、サミン王子が帰るかどうかは
先生次第になってるじゃないですか…
製本した時の書類に混じってましたよ?」
「そんな約束したか?」
「してますね…現に書類があるんですから」
ヴァイスは立ち上り書類棚の前に立つと
分類その他にしている場所から
書類を取り出してトキの前に見せる。
「あ…本当だわ…」
書類には簡略すると
サミン=ラジュマはトキの管理元に置かれており
例え王位継承権持っていても
トキの意見に逆らう事は出来ない。
と記載されていた。
「あ〜サミンに騙しで作った書類が
適用しているわけか…
なんでも出来るな、この書類があればな?」
トキは嬉しそうに書類を見ると
再びヴァイスに書類を返して棚に入れる。
「嬉しそうにしないで下さいよ。
これ見た時、背筋がゾクッとしたんですから」
ヴァイスは棚から離れてソファに着き
お茶を飲み干す。
再び、お茶を淹れた急須からコップにお茶を移し
一口飲む。
「って事は今サミンは何処にいるんだ?
まさかぬいぐるみ教室に通ってる訳でも
なかろうに…」
「そのまさかですよ?
子供達と共にベアのぬいぐるみ作ってます」
「マジか!?」
トキは驚き、持っていたコップのお茶をこぼす。
トキはポケットに入れていた
ハンカチを取り出してズボンを拭う。
「それはそれは子供達が驚くだろうな。
それともあれか?
子供達から教わってんのかね?」
「どうでしょうね…
まぁ1日教室ありますから暇な時に
見に行っても問題はないでしょうし」
「だな。後で見に行くか」
トキはズボンを乾かすとお茶を飲み干す。
ゆったりした時間を堪能したトキとヴァイスは
ぬいぐるみ教室を覗きに行く。
教室に着くとぬいぐるみ作りに
苦戦するサミンを見つけ
見つからない様にこっそりと教室を覗くと
サミンは孤児院の子供達から綿入れのコツを
教わっていた。
「王子なのに綿入れ出来ないの?」
「王子だからやったこと無いんだよ、きっと」
「仕方ないだろ?やる機会無いんだからさ」
子供達に混じってぬいぐるみ作りしてる姿を見て
孤児院に馴染んでるな…と思い
トキたちは教室からこっそり離れた。




