てこの原理
「さて…孤児院兼託児所兼学校が改築したし
ベリアル商会も順調に進んでいる。
これからどうすっかね…」
「先生、兼用し過ぎではないですか?」
「あったら良いもん作っただけだしな…
所でこういう書類関係ってどう保存してんだ?」
現在トキとヴァイスは新たに改築した
孤児院の3階の1部屋にトキの部屋を作り
引っ越しして初めての荷降ろしを行なっていた。
「書類の保存ですか?
僕は基本的に最初の契約を商業ギルドに
登録して紙におこしてなかったですね。
書類仕事は僕よりもシルドさんが
詳しいんじゃないんですかね?」
ヴァイスは返事して棚に猫の置物を置く。
「そうか…疑問に思ったんだが
この箱の中の書類一つ一つ確認するの
面倒くさいと思ってな?
本みたいにしないのかと思った所なんだよ」
トキがソファに座って机の上にある箱を開けると
雑に置かれている紙が大量にあった。
「本ですか?製作所行けばあると思いますけど
時間掛かる上に情報漏洩する可能性が
ありますよ?
だったら箱に名前書いて何の資料か
書いたほうが早いんじゃないんですかね?」
「確かにそうなんだがな?
だが1回1回箱探して開けて資料見つけるって
無駄な動きだと思うんだわ。
ついでに本の形って色々あると思うんだよ。
例えば…」
トキはストレージから道具を取り出す。
その道具はペンチみたいな形をしている道具で
トキは要らない紙を用意して
紙の真ん中に道具を挟み入れ
持ち手の所を握る。
すると紙に穴が空き紐が通る大きさの穴が現れた。
「これはパンチと言ってな?
千枚通しで穴を空けて
てこの原理を利用して
軽い力で穴を空ける道具なんだわ…って
てこの原理教えてなかったな?」
「てこの原理より何ですか!
この画期的な発明品は!」
ヴァイスはてこの原理よりパンチに没頭している。
トキが用意したパンチは一つ穴用のパンチで
トキの手元には他に2つ穴用のパンチを
用意していたのだが見せる機会を失い
ストレージにしれっと戻す。
「お~い、ヴァイスや戻ってこい。
そのまま挟んだら指に穴が空くぞ?」
トキに言われてヴァイスはパンチから手を離して
ソファの前にある机に置く。
「さて…パンチを使えば穴を空け紐を通して
1つの束に出来る。
そうして作った束を仮に本として使えると
思うんだがどうだ?」
「良いですね!これなら箱だらけの資料室を
作らなくて済みますし…
あ、てこの原理教えてくれますか?」
「いきなりだな…まあ良いだろう。」
トキは長い板と2種類の重さのある重り、
小さな板を用意する。
用意した物を床にシーソーの様に組み上げて
重い物をシーソーの中心近くに置き
軽い物をシーソーの端に置く。
シーソーが釣り合った所で話し始めるトキ。
「さて…
弱い力で重たいものを動かしたり、
微小な運動を大規模な運動に変換する道具を
てこと言うんだが
てこには支点・力点・作用点があり、
支点を中心に回転しうる天秤や輪軸がある時、
力点は力を加える点、作用点は力が働く点であり、
普通は作用点にはおもりなどの負荷がある。
支点は動かないよう固定しているため、
力点を動かすと作用点が動く仕組みだ。
てこを使う上で重要なのは、
支点・力点・作用点の位置関係、
特にその間隔である。
てこで大きな力を得ようと思えば、
なるべく支点から離れたところに力点を置く、
あるいは支点のなるべく近くに
作用点を置けばよい。
小さい力を得ようと思えばその逆を行えばよい。
実験をすると支点から力点までの距離が
支点から作用点までの距離の2倍であれば、
得られる力は加えた力の2倍になることがわかる。
つまりは、てこの原理さえ分かれば
投石機も作れるって事だな」
「話が長いのと難しい事で分かりにくいですが
最後の一言でなんとなく掴めました。
取り敢えず、てこの原理は優秀な原理なんですね」
「それが分かればよろしい。
では、パンチを数種類用意してるから
穴空け作業と紐付け作業行うとしますか」
トキとヴァイスは荷降ろししながら
箱の中にあった書類を穴空けして
紐付けする作業を行っていき
数時間の激闘の末、他の子達に手伝わせながら
製本作業を終わらせた。




