説教
「で?言い訳はあるかな?
フィル、スーサよ」
「あなた?私は反対しましたよね?」
トキが孤児院に戻ると庭に
フィルとスーサを呼び出し正座させる。
隣にはスーサ=クリプスの奥さまの
メルナ=クリプスがいた。
時は少し遡る…
トキが警備隊を通してクルス警備隊隊長に
スーサ=クリプスを呼ぶ様に伝えた。
クルス警備隊隊長にスーサがトキに呼ばれていると
告げられた時に近くに居たメルナ。
メルナは久しぶりにトキに会いたいと告げて
夫婦で孤児院に向かった。
トキは夫婦で来た時は驚いたが
もし夫婦が同じ意見だったら説教しようと
考えた。
「メルナ=クリプス様、お久しぶりです」
「トキ君こそお久しぶりね?
元気にしてますか?」
「元気に過ごしてますよ」
「うちのヴァイスは迷惑かけていませんか?
ヴァイスとスフィアも今日スフィアの
誕生祭なのにパレードに出なくて
どこにいるか探してたのよ…」
「メルナさんはご存じないのですか?
冒険者ギルドの事を…?」
スーサは冒険者ギルドの単語を聞いた途端
顔色を変えて後ずさる。
「冒険者ギルド?もしかして…あなた?」
「何かな?メルナ」
「スフィアが居ないのは貴方が要因でなくて?」
「自分は知らないなぁ…」
「そうですか…トキ君?
冒険者ギルドの件教えて貰ってもよろしくて?」
「分かりました…」
トキはヴァイス達が迷宮攻略して帰ってきた今日、
冒険者ギルドで起きた事を見たこと全て
メルナへと告げる。
「あなた?許可したと聞いてませんけど?」
「それは…その…」
「メルナさん…ご存じ無かったのですね?」
「えぇ…聞いて驚きましたわ」
「では、スーサ、フィル!
ここに来て正座しろ!」
「は、はい!」
「なんですか〜いきなり正座なんて…」
フィルは相談室から顔を出すと思い出した様に
直ぐに駆け出してスーサの横に正座する。
そして時は戻り…
現在スーサ、フィルは庭に正座。
スーサ達の前にトキとメルナが立っている。
メルナは扇子を開いて口元を隠す様に立っている。
「まずはフィルから始めるとするかね…
俺に内緒で行ってる事。
リガン達にスフィアの事を姉御と呼ばしてる事だ。
それに対してどう思ってるんだ?」
「それは…姉御と呼んだら気に入ったらしくて…」
「気に入ったから呼ばしたと?
まだ4歳だぞ?姉御ってのはな?
面倒見がよく、後輩や仲間をよく世話して
さっぱりした性格で、頼りになる年上女性。
少し砕けた、親しみを込めた呼び方で
任侠の世界、こっちで言えば裏社会の存在の
女親分の事を言うんだが知ってて
リガン達に言わしてるのか?」
「すいません…私の知識不足で言いました…」
「知識不足で済ませると思うなよ?
後でスフィアやリガン達に言い聞かせるからな?
それまで正座継続しとけ!」
「分かりました…」
フィルは残念そうにして顔を庭につかせようとする。
一方、トキがフィルに説教している最中に
メルナがスーサに説教していた。
「だから、あなた?分かってるのかしら?
あの時はまだヴァイスが外の世界に出られると
判断したからトキ君が居れば
大丈夫と言いました。
けれど、デビュタント前のスフィアが
冒険者になるなんて以ての外。
しかもまだ幼いのに…
トキ君が有能だからと言って
許可出す親がどこにいますか!」
メルナに説教されて項垂れていくスーサ。
スフィアが赤ちゃんの頃からトキとヴァイスの事を
物語の様に伝えてきたスーサ。
物語を言う度に喜ぶスフィアの表情を見て
ほころぶ顔を見せていたスーサだった。
スーサはスフィアが3歳の頃に
トキと出会わせた。
物語の主人公、自分にとってスターの存在が
居ることに嬉しさを見せていたスフィア。
そんなスフィアを見て、
つい許可をだしてしまったらしく
4歳になった瞬間、スフィアが朝起きた時に…っと
スーサの言い分を聞いたトキ。
「つまりあれか?俺が原因って事なのかな?」
「それは…その…」
「ハッキリ言いなさい!
トキ君が困ってるじゃない」
「すまなかった…トキ君…」
「それ言われるとな?俺もなんも言えなくなるわ…
まぁ、メルナさんの説教に免じて
俺からのなが〜い説教は許してやるよ」
「では…」
「でも正座はそのまま継続しとけよ?
メルナさんの指示の下で従うんだな」
「はい…」
こうして説教が終わり正座が継続されてる中、
ヴァイス達が孤児院に戻って来た。
スフィアはクリプス夫妻がいる事に驚き、
近づいていくとスーサの正座に再び驚く。
スフィアは自分の冒険者プレートを見せる。
メルナは良かったわねとスフィアを撫でると
スフィアは嬉しそうにする。
トキはリガン達とスフィアに姉御について
簡単に説明しスフィアの事をスフィア様と
呼ばせることにした。




