スフィア=クリプス
「せんせい、わたし、なるよ」
「「いや、させないよ?」」
スフィアの言葉に対して
ヴァイスとトキが同時に言葉を放つ。
「なんで?」
疑問に思ったスフィアはトキの顔を見て
顔を傾ける。
「わたし、4さい、なった。
パパから、きょか?もらったよ?」
「何考えてんだ。あの馬鹿親は!」
トキはスフィアの親を馬鹿呼ばわりした。
スフィア=クリプス。
スーサ=クリプス辺境伯の娘であり、
ヴァイスの妹でもある。
ヴァイスも今のスフィアの発言に頭を抱える。
「スフィア?まだ早いよ?」
「あにうえ、わたし、あるけるよ?」
「歩けるのと冒険者になるのは違うからね?」
「だいじょうぶ、たたかうのは、リガンたち」
「え?」
移動式ベッドを押している職人ゴブリン達の
リーダー格のリガンも驚いている。
カタコトの言葉を放つリガン達だったが数日経つと
流暢に話すようになっていた。
「姉御…」
「「姉御!?」」
リガンの言葉を聞いて更に驚くトキとヴァイス。
「リガンよ?いつ姉御と呼ぶようになったんだ?
と言うかいつの間に世話係してんのよ?」
「トキ様…短く言えば孤児院の周りを見ていた時に
姉御から懐かれまして…」
「その姉御って言葉は?」
「フィルの兄貴に教わりました。
ついでにスーサ様から姉御のお世話を…」
「あのメカ野郎…何考えてんだ!
あの馬鹿親も…帰ったら説教だ!」
トキは腹立ちながらフィルとスーサの事を考える。
「せんせい?わたし、だめなの?」
スフィアは泣き出しそうになっている。
「あにうえは、よくて、わたしは、だめなの?」
「ヴァイスは…何か無いのか?」
「先生…色々と思う所がありますが
まずは登録だけでもさせませんか?」
「ヴァイス?甘やかすのも…
いや、待てよ…」
ギルドに登録する為には自分の血を1滴垂らさないと
カードが作れない。
なるほど…自分の痛さに耐えれるか試したいのか…
トキはヴァイスの思惑を察して
スフィアに登録するのはOKだと伝える。
スフィアは直ぐに顔を拭いて涙と鼻水を
リガン達に拭かせる。
「トキ様?それではスフィア様の登録を
始めますよ?」
受付の女の子がスフィアとトキの顔を
交差しながら見てトキの顔を最後に見る。
「よろしく頼む」
「分かりました…では、スフィア様?
この水晶に血を1滴垂らしてもらえますか?」
「え!?ちをだすの?いたいの?」
「この針なら痛くないですよ?」
受付が出した針を見て怖じ気づくスフィア。
トキ達はこのままいけば…と思っていたら
スフィアは針を持って小さな指に針を刺す。
泣き出しそうになるスフィアだが
我慢して水晶に血を流す。
ヴァイスが慌ててスフィアに駆け寄り
回復魔法でスフィアの怪我を治す。
「大丈夫かい?痛かっただろ?」
「だいじょうぶ…わたし、がんばった!」
ヴァイスはスフィアの頭を撫でると
スフィアは笑顔を見せる。
その光景に感動したのか兼用酒場にいた
冒険者達は立って拍手し始める。
「それでは…スフィア様の誕生祭、
及び冒険者デビューを皆様でお祝いしましょう!」
ハリーギルド長が現れ全員でお祝いする事を伝える。
「良くやったよ」
「小さいのにな?」
「ゆったりゆっくり育つんだよ」
冒険者達が声援を出す。
「取り敢えず…俺は帰るわ」
「せんせい、よろしくね」
「あぁ…よろしくな」
トキは手を振ってギルドから出て行く。
ヴァイスはスフィアを持ち上げて喜ぶ。
シルドは理解出来ないまま拍手する。
こうしてスフィア=クリプスの誕生祭及び
冒険者デビューのお祝いが冒険者ギルドから
始まりスフィアはヴァイス達と共に外を歩く。
「で?言い訳はあるかな?
フィル、スーサよ」
「あなた?私は反対しましたよね?」
トキが孤児院に戻るとフィルとスーサを呼び出し
正座させる。
隣にはスーサ=クリプスの奥さまの
メルナ=クリプスがいた。




