三人の出会い 其の2
「あはははははっ!王になる男だ?何を寝ぼけたことを言ってやがる。そんなの無理に決まってるじゃねーか!」
「あははははははっ」
男が天を仰ぎ高笑いする。そして、言った本人も高笑いする。
「貴様、何が可笑しい?貴様が言った事ではないか!」
「あはははっ、いやー、あんな冗談をまさか信じるとは思わなくて、ついなっ!」
「なっ!」
「俺がこの国の王に?なれるわけねーだろ、アホか!俺は男爵だぞ?それに、うちは領土も恐ろしく小さい。そんな男が皇帝になるなんて…………。おかしくて腹が痛ぇぇぇぇ」
自分で言った事を、自分で否定するルークを見てセレスティア達は無言になる。
「………………」
「さてと、そろそろ話はいいか。殺り合おうぜ、おっさん達!」
「調子に乗るなよ、小僧!この数相手に、勝てるとでも思っているのか?俺達に喧嘩を売ったことを後悔するがいい!」
「上等じゃねーか!ほら、かかって来いよ!」
「き、貴様ぁぁぁぁ!いくぞお前達!」
「「「おう!」」」
男達はルークを囲う形で、まずは近接武器を持っている者から襲い掛かる。
「ルークさ―――ん!」
セレスティアがミリアを抱きかかえた状態で大声で叫ぶ。その様子を見たルーク本人は、ニヤリと笑いセレスティアを見た。
「任せろ、俺はこんな奴等には負けはしない」
ルークは襲ってきた男達を、早すぎる速度で飛んでいく鉄の弾で次々と倒していく。
「な、何が起きている……………………」
リーダーの男は何が起きているかわからない。ただ、わかっているのは、飛び掛かろうとしていた男達が突如、次々と地面へと倒れていく姿がそこにあるだけだった。
「おいおい、だらしねーなおっさん達!こっちは一人だぜ?」
「クッ…………。お前等、遠距離攻撃に切り替えろ!奴には近づくな!」
「「おう!」」
次は、後方に残っていた自分達の属性魔法で作った弓、ボウガンなど飛び道具で一斉にルークを攻撃していく。そんな、ルークはと言うと、地面に片手をあて自らの魔法で鉄の壁を作った。
【物質変化・鉄の壁】
【ガガガガガッ…………】
男達の攻撃は、ルークのアイアン・ウォールの前では全てが無意味だった。放った矢は、悉く弾かれ、各属性の魔法攻撃も、威力が足りず意味をなさない。
「う………嘘だろ………俺は……夢でも見ているのか……」
「もう終わりか?」
「く、くそがぁぁぁぁぁ!」
リーダーの男はやけになり炎を纏った剣を出し、ルークへと飛び掛かった。ルークは、冷静に相手の動きをよく見て躱したところで、男に足払いをした。男は無様な姿で転がる。そして、ルークは転がっている男の首元に剣を突き付けて、
「どうだ?まだやるか?」
「ひぃぃぃぃぃ」
男は、地面を這うようにしてルークから逃げていく。それを見ていた他の男達も次々に逃げていった。
「フンッ…………雑魚が…………。よし、二人とも大丈夫か?」
ルークの戦いを見ていたセレスティアとミリアは、固まって言葉を発することが出来なかった。
「……………………」
「お―――い…………」
「あ、はい。おかげさまで…………」
「あ………ありがとうございます…………痛っ」
ミリアはルークにお礼を言った後、立ち上がろうとしたが、足が痛み立てずにいた。
「大丈夫か?見せてみろ」
「えっ?………あっ…………」
「少し痛むが我慢してくれ…………」
ルークがミリアの足を見て、すぐさま自らの魔法で薄い鉄板を作り、自分の服を破り、鉄板と足を固定させた。
「これで良し!」
「…………すみません」
「ん?気にすんな!さてと、親父の所にでも行くか」
ルークがそう言うと、セレスティアが、
「ダメです!たぶん、今頃私達の村は…………」
「平気だろ?親父も居るし、母さんも居る!それに、あんた達の親父さんも居るんだろ?なら今頃、勝負はついているはずだ」
「でも…………。私達の乗ってきた馬は…………」
「馬なら居るじゃないか!あそこに…………ほら…………」
ルークが指を指す方向には、帝国軍の男達が乗って来た馬が数頭いた。
「じゃぁ、そう言う事で向かうぞ!」
「わかりました。それと…………」
「ん?何だ?」
「ミリアをお願いできますか?私の魔法は、馬を乗りながらでも出せるので、もし万が一帝国兵の残党が居ても対処できます」
「わかった。任せろ」
「お願いします。ということでミリア、あなたはルーク様の後ろに乗りなさい!」
「は、はい。ルーク様…………よろしくお願いいたします」
「お、おう…………」
そして、セレスティアが馬に跨り、ルークは初めにミリアを馬に乗せようとしたのだが…………
「下から支えてやるから安心しろ」
「は、はい…………」
ミリアが、馬に手をあて乗ろうとした時、ルークが手でミリアを支えるのだが、支えた手の場所が悪かった…………
「きゃっ!」
ミリアは、ピーンと背筋を伸ばし驚いた。なぜか…………?それは、ルークが支えた手はミリアのお尻を触る形で上へ押し上げ、お尻を触られたミリアは顔を真っ赤にしてしまう。
「あ…………悪い」
「い、いえ…………」
そして、冷や汗を浮かべながらルークも馬に跨る。
「しっかり掴まってろよ!振り落とされるんじゃねーぞ!」
「は、はい!」
こうして、三人は街へ向かい馬を走らせている途中で、ザックがルーク達を迎えに来た。そして、
「んで、親父、どうだった?」
「あぁ、セレスティア嬢の父上も母上も無事だ。俺の心配も杞憂だったみたいだ…………」
「なんだそりゃ…………」
「いやな、やっぱりあの二人はつえーわ!俺と母さんが行っても何もすることが無かった…………」
「全然ダメじゃねーか親父…………かっこわる」
「うっせー!ほら、セレスティア嬢達を送っていくぞ!お前もついて来い!」
「えー、俺はいいよ。護衛ぐらい親父一人でも余裕だろ!俺は帰って寝る」
「ええぇ!ルーク様、帰ってしまうんですか?何かお礼をしたいのですが…………」
「あー、そういうのはいいや!めんどくせーし」
「私の方からもお願いいたします。どうか、お礼をさせてください…………」
セレスティアがルークに頭を下げ、お願いするのだったが、
「うーん、じゃまた今度な」
「今度とはいつの事でしょうか…………?」
「十年後か二十年後?まぁ、いつかでいいよ。俺がどうしようもなく困った時で」
「そ………そんな…………」
「んじゃ親父、俺は先に帰るから後はよろしく!」
「ちょ、待て、ルーク!」
「ルーク様!またいつかお会いできますよね?私、その時を楽しみに待っております」
ミリアの呼びかけに、ルークは背を向けながら手を振った。
「ルーク様…………」
ミリアは小さくなっていくルークの後ろ姿を見て、いつか恩返しが出来る時が来るであろうその時までに、今よりずっと素敵な女性になる事を心に決めた。




