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無属性で男爵だと笑われた俺、万物を変幻自在にする『物質変化』で気づけば皇帝になっていた  作者: 雨のち晴れ
学生編

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2/14

腐った学び舎

あの後結局、ルークはリナに対して何も聞かずこの日の授業を終えた。そして放課後…………


「おーい、アシュレイ!この後少し残れ、お前が寝泊まりする学生寮を案内してやる」


そう言ったのは、担任教師のジルだった。言われた通り、ルークはそのまま教室に残り担任教師が来るのを待っていた。授業が終われば生徒達は寮の門限九時までは自由の身だ。皆と遊びに行くもよし、鍛錬に励むもよし、はたまた寮で過ごすもよし、問題行動さえ起こさなければ何をやってもいい時間だ。


【ガララララッ】


「すまん、待たせたな。それじゃ行こう」


学校は首都の北部に位置していて、学校の敷地の左側に校舎、中央に商業施設、右側に二棟の寮がありそれぞれ男女別々となっている。もちろん、異性の寮には立ち入ることは許されてはいない。もしバレたら、即刻退学だ。首都に住んでいる者以外は皆寮に入っている為、かなりの生徒が寮暮らしだ。


寮に向かって歩いていると、商業施設には多くの生徒で溢れかえっていた。そんな生徒達で賑わう商業施設の立ち並ぶ場所を抜け、目の前に大きな2棟の寮が見えてきた。


「いいか、あの白い建物が男子寮だ。そして、あちらの黄色い建物が女子寮だ。いいか、決して女子寮には近づくな、入ったのがばれれば、即刻問答無用で退学になる。覚えておくように」


「わかりました」


「部屋は個人部屋になっており、二年生のお前は二階だ。荷物は今日中に届くということだ。それまではおとなしく部屋で待機しているように」


「はい。ところで先生一ついいですか?」


「ん?どうした?」


「実は、今日一日過ごして分かったことがあるんですが、あきらかにあのクラスには虐めが行われていますよね?」


「………………」


「それも、一人二人じゃなく複数の生徒達が。あれはどういうことなんですか?この学校は、身分など関係ないはずですよね?助けを求めてきた生徒は居ないんですか?」


ルークのもっともな質問に黙るジル。


「………………」


「答えてください」


「確かに、この学校では虐めが多発している。だが、君がそれを知ってどうする?自らが虐めを止めさせるのか?たかが男爵の君がか?そりゃ、主犯が平民なら可能だろ。しかしなぁ、相手が君より身分が上の者だったらどうする?君だってただじゃ済まされないぞ?わかったなら、余計な事に首を突っ込まない事だ」


「…………腐ってる」


「かもな…………。でも、俺達教師でもどうにも出来ないんだ。すまん…………」


「「……………………」」


二人の間で静寂が訪れる…………。


「先生、ここで大丈夫です。ありがとうございます…………」


「そ、そうか…………。なぁ…………アシュレイ?」


「何ですか?」


「君だけはまともで居てくれ…………」


「もちろんです」


「じゃ、先生は学校へと戻る事にするよ。また明日な!」


「はい!」


こうして、ジルは学校へと戻っていき、ルークは学生寮へと向かうのだった。


【その日の夜】


ルークは夕食を取る為に、学生寮の隣にある食堂に来ていた。食堂では朝と夜の二回、学生はお金を払わず無料で食事がとれる。各部屋にキッチンはあるが、生徒達は自分で食事を作るとお金が掛かってしまう為、基本はここで食事をしている。だが…………


「おい!何、平民風情が俺ら貴族と同じ場所で食事をとっているんだ!いつも言っているだろ!お前らみたい、何の役にも立たない奴等は部屋で食事をしろと!この食堂はなぁ、俺達、貴族様だけのものだ!わかったならとっとと出て行け、このゴミどもが!」


「そうよ!あんた達が居ると、せっかくの食事がまずくなるわ!はやく出て行きなさいよ!」


「でも………。僕たちだってちゃんとお金を払っているんだ!使う権利ぐらいはあるだろう?」


「はんっ!何が『お金を払っているから、使う権利ぐらいあるだろう?』だ!てめー、誰に口聞いてんのか分かってんのか?殺すぞ?」


「ひぃぃぃぃぃ」


そう言うと、平民であろう男子生徒達は慌てて食堂から出て行った。そして、そんな様子を見ていたルークは食事をトレーに取り、空いている席へ座り食べ始める。


(やはり、ここでは身分の差がものを言うのか。腐りきってるな)


そんな風に思いながら食事をしていたルークの元へ一人の女性が近づいてくる。


「あら?あなた、見ない顔ね?」


「あぁ、俺は今日からこの学校に通うことになった、ルーク・アシュレイだ。爵位は男爵、君は?」


「男爵?あははははっ!男爵ですって?」


「何が可笑しい?」


「可笑しいも何も、なぜ、男爵風情の雑魚貴族がここで呑気に食事をしているわけ?」


「何で食事をしてるかって、貴族だからだ。さっき、あいつも言っていただろ?『この食堂はなぁ、俺達、貴族様だけのものだ!』と。だからここに居るんだが、何か問題でもあるのか?」


「おおありよ!男爵なんてあってないような爵位じゃない!平民と何のかわりもないわ!」


「そういう君の爵位は何だ?公爵か伯爵か?」


「私の名は、エマ・クレセント!子爵よ!あんたより上なの!」


「ふっ」


「な、何が可笑しいのよ!」


「俺と一つしか変わらないじゃないか!それでよく威張れたものだな!」


「あ、あんたねぇ…………!」


すると、騒ぎを聞きつけた貴族の男がやってくる。彼は、先程平民の男子に出て行けと言った横暴極まりない男子生徒だ。


「どうしたんだ、エマ?揉め事か?」


「聞いてよ、ジョニー!こいつときたら、男爵のくせに子爵の私に歯向かうのよ!ほんと、頭にくる!」


「ほほぅ。そいつは見過ごせねーな!って、てめーはたしか俺のクラスに編入してきた…………」


「ルーク・アシュレイだ」


「そう、そう!ルーク・ウォシュレット(・・・・・・・)…………だったか?あはははっ!そう言えば、そんな汚ねぇ名前だったな!」


「アシュレイだ」


「あぁん?んなの、どうだっていいんだよ!それよりてめー、エマに喧嘩売ったみてーだな!覚悟は出来てんだろうな?」


「何だ?俺とやり合うつもりなのか?」


「上等じゃねーか!表出ろや!」


ジョニーが、ルークに対して怒鳴り声をあげると、周りで野次馬をしていた貴族たちが集まり騒ぎ始める。


「お?何だ、何だ?どうした?」


「喧嘩か?」


「何で、ジョニーさんは大声をあげてんだ?」


「って、ジョニーさんが突っかかってんのって、俺らのクラスに編入してきたアシュレイじゃねーか?」


「あっ!ほんとだ…………」


「あいつ、ジョニーさんに喧嘩売るとは度胸あるな」


「度胸と言うか、ただの馬鹿だろ!ジョニーさんに敵うはずないのに」


野次馬の貴族たちが騒いでいるのを気にせず、ルークとジョニーは移動を開始した。

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