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訓練、開始

5人の指導者は、それぞれの専門分野――「オチを見抜く視点」(滝川)、「肯定の力」(おっさー)、「ノリとツッコミ、間の感覚」(嵐山・岩田)、そして「些細な違和感への観察力」(タケ)――を、一行に伝授していった。


訓練は、模擬戦形式で行われた。指導者たちが、それぞれ「ボケ役」となり、クラスメートたちが「ツッコミ役」として対応する。最初は、誰もうまく反応できず、ただ戸惑うだけだった。


「……えっと……それは……」


『……ほら、何か言わんと、間が、持たんぞ』


「あ……えっと……『それ、おかしくないですか?』みたいな……?」


『……うむ。悪くない。だが、もっと、自分の言葉で言うてみよ』


何日もかけて、クラスメートたちは、それぞれ、得意な役割を見つけていった。観察が得意な者、ノリが良い者、冷静に指摘できる者――チームとしての連携が、少しずつ形になっていく。


長介もまた、訓練の中で、自分の「面白くない」という性質――冷静さ、欲のなさ、感情に流されない態度――が、実は「相手の型を見抜き、オチを見つける」という、最も重要な能力の土台であったことに、改めて気づいていった。


橘と宮下は、研究所で出会ってから、ずっと一緒だった。


「……俺、漫才とか、やったことなかったんだけど」

橘が、研究所の初日、ぼそっと言った。


「俺も。でも、なんか、お前となら、できそうな気がする」

宮下が、笑いながら答えた。


「なんで、俺と?」

「……お前のツッコミ、なんか、優しいから」


それから、二人は、笑界のどんな状況でも、軽い掛け合いを欠かさなかった。それが、クラスメートたちにとって、ちょっとした「日常」のように、なっていた。


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