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あなたの知らないお笑いの世界  作者: 伝説の男前


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11/21

魔王軍幹部 リピートゴーレムとの戦い

荒野を抜けると、一行は石造りの遺跡群に到着した。古い石柱が等間隔に並び、その奥に、巨大な石の人型――ゴーレムが立っていた。


『……侵入者……確認……』


ゴーレムが、ゆっくりと振り向く。ステータス画面を確認する。


```

名前:リピートゴーレム

種別:反復系モンスター

能力:同じ攻撃しかできない

ただし100回目になると威力100倍

初心者キラー

```


「同じ攻撃しか…できない?」


「でも、100回目で威力100倍って…」


そのとき、ゴーレムが右拳を振り上げ、まっすぐに長介たちへ向かって振り下ろした。


『パンチ……1回目』


「うわっ!」


一行は飛び退いて回避する。拳は地面に叩きつけられ、大きな衝撃が走ったが、威力自体はそれほど大きくない。


『パンチ……2回目』


ゴーレムは、まったく同じ動作で、同じ拳を振り下ろした。


「……同じだ。本当に同じ動きしかしてこない」


『パンチ……3回目』


「これ、避けるの簡単じゃないか?」


クラスメートの一人が言うと、長介はステータス画面の「初心者キラー」という文字を見つめた。


「……待て。これ、わざと簡単に見せてるんじゃないか?」


『パンチ……4回目』

『パンチ……5回目』


ゴーレムは、機械的に同じ攻撃を繰り返す。回避するのは難しくない。むしろ、退屈な作業のようにさえ感じられる。


「これ、何回目で威力100倍になるんだったか……」


「100回目、だよな」


「……今、何回目だ?」


『パンチ……8回目』


長介は、嫌な予感を覚えた。


「みんな、これ、回避を続けてるだけだと、100回目が来るまで戦い続けることになるよな」


「……あ」


「100回目の攻撃、威力100倍ってことは……俺たちの今の力じゃ、絶対に防げないってことだよな」


クラスメートたちの顔から、血の気が引いた。


『パンチ……12回目』


「ど、どうする!?今すぐ逃げるか!?」


「逃げても、追いかけてきたら同じことだろ……」


長介は、必死に考えた。ゴーレムの攻撃パターンを変えることはできない。ならば――。


「……攻撃回数を、操作できないか?」


「どういうこと?」


「ゴーレムが『パンチ1回目』『パンチ2回目』って、カウントしながら攻撃してるんだろ?だったら――」


長介は、ゴーレムの動きを観察した。一回の攻撃から次の攻撃までには、わずかなインターバルがある。その間に、ゴーレムが「カウントを認識するタイミング」があるはずだ。


『パンチ……15回目』


「みんな、聞いてくれ。このゴーレムの攻撃、100回目に威力100倍になるなら――99回目までに、総攻撃を仕掛けて倒せばいい」


「で、でも、今のところダメージ全然与えられてないぞ!」


「だから、回避だけじゃなく、攻撃の合間に、少しずつダメージを与えていく。ゴーレムの『同じ攻撃しかできない』っていう弱点を、逆に利用するんだ」


『パンチ……20回目』


長介は、口プロレスのスキルも併用することにした。


「お前、本当にその一発しかできないのか?」


『……パンチ……21回目』


「つまんないな、その攻撃。もう何回も見たよ」


『……パンチ……22回目』


ゴーレムは反応しない。「反復系」モンスターであるリピートゴーレムには、感情的な揺らぎが存在しないようだった。口プロレスは、相手に「動揺」や「焦り」を生じさせることで効果を発揮するスキルだが、リピートゴーレムには、そもそも「揺らぐ自我」が存在しない。


「……これ、口プロレス、効かないタイプか」


「じゃあ、地道に削るしかないってことか」


クラスメートたちは、ゴーレムの「パンチ」のインターバルの間に、武器(道中で手に入れた木の棒や石など)で少しずつ攻撃を仕掛けていく。攻撃自体は大したダメージにならないが、回数を重ねるごとに、ゴーレムの体に小さなヒビが増えていく。


『パンチ……50回目』


「半分まで来た……!」


『パンチ……70回目』


「あと30回……!」


ゴーレムのヒビは、徐々に大きくなっていく。長介たちは、リズムを合わせて攻撃を続けた。


『パンチ……95回目』


「ここからが勝負だ!絶対に99回目までに決着をつけるぞ!」


『パンチ……96回目』

『パンチ……97回目』

『パンチ……98回目』


「みんな、全力で!」


全員が、ありとあらゆる武器でゴーレムに攻撃を集中させる。ヒビは亀裂となり、ゴーレムの体に大きな割れ目が広がっていく。


『パンチ……99回目』


「ここだ!!!」


全員の攻撃が一斉にゴーレムに直撃した瞬間、ゴーレムの体は大きな音を立てて崩れ落ちた。


『パンチ……100回……』


最後のカウントは、最後まで発声されることなく、ゴーレムは粉々に砕け散った。


一行は、その場にしばらく座り込んだ。


「……勝った……のか……?」


「100回目、ギリギリ防いだ……」


ステータス画面に記録が表示される。


```

リピートゴーレム:撃破

備考:99回目の攻撃で集中打撃、100回目の発生を阻止

```


「……『初心者キラー』っていうのも、わかるな。最初、めちゃくちゃ簡単な敵だと思ってたし」


「ああいうの、油断してたら絶対やられてたよな」


長介は、息を整えながら言った。


「……この世界、見た目とか、最初の印象だけで判断したら、絶対やられる」


クラスメートたちは、深く頷いた。


ゴーレムの攻撃インターバルに合わせて、全員で武器を振るう中、根本・川島・田辺の三人が、息の合った掛け声で攻撃のタイミングを揃えていた。


「いくぞ、せーの!」

「タイミング、合わせるの得意なんで!」

「俺たち、漫談で『せーの』のタイミング、毎日練習してるからな!」


三人の攻撃は、他のクラスメートより、わずかに精度が高かった。


一行はしばらく休息を取り、再び旅を続けることにした。次に待っているのは、これまでとは異なるタイプの強敵だった。


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