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絶対に気づいてはいけないラブコメ~~ハッピーエンドで必ず死亡する鬱ギャルゲーに転生した俺は死にたくないからボッチを貫く~~  作者: 杜宮みやび


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第18話 絶対におかしい成績発表

 そうこうしている間に中間テストの日になった。

 

 結果だけ言うと、テストは無事にこなすことができた。

 

 なぜなら、中間テストは『テスト』とは名ばかりのミニゲームだった。神経衰弱的にカードを当てるゲームや、数字をあてはめるパズルゲーム、クイズゲームなど、本来のテスト内容とはほとんど関係のないものばかりだった。

 まあ、この世界がゲームなのだから、テスト内容がゲームでもおかしくはないのかもしれない。

 

 勉強は苦手だが、ゲームならお手の物だ。伊達に何年もゲーム配信をやっていない。ミニゲーム程度なら初見でもそれなりのスコアを上げることは難しくない。

 おかげで、不安だった成績もクラストップ3に入ることができた。

 ひとまず成績優秀な主人公というポジションは守ることができたわけだ。


「よーす、創太。勉強不安だって言ってた割にいい成績じゃん」

 と、クラストップの成績を誇るヨシオが話しかけてきた。こいつが1位、解せない。


「頭のいい男はもてるぜ、三人とも好感度アップだ。今のところ不満度は上昇してないぜ。なかなかうまくやってるじゃねーか」


 そうだ、この前のみのりに聞いた話を確認してみるか。ヨシオなら何か情報を教えてくれるかもしれない。


「そうだ、ヨシオ、ちょっと聞きたいんだけど……」

 その言葉を詩織が遮った。


「早瀬川ヨシオ!あなたが成績トップですって?信じられないわ!」

 成績2位の詩織が真っ赤な顔で話に割り込んできた。


「あなた授業中だって寝てばかりじゃないの。なのになんで?」

「いや~、運が良かったのかなぁ」

 ヨシオはハハハと笑い飛ばす。


 確かに、ただの情報提供キャラの癖に成績一番っておかしくないか?キャラ設定的にぼくより上にならなきゃいけない詩織はともかく、ぼくよりミニゲームをうまく攻略できるなんて……

 

 いや待てよ、もしもヨシオの中に入っているのが隼人なら、ぼくよりゲームがうまいのも納得がいく。やっぱり隼人なのか?


 直接聞いてみればいいのかもしれないが、それはこの前失敗している。ヨシオの行動も普段はシステムによって制限がかけられているようだ。


 そうだ、校舎から校門までのシステムの制御が弱まる場所なら、ヨシオから本当の話が聞けるかもしれない。

 放課後、ぼくはヨシオに声をかけた。


「ヨシオ、一緒に帰らないか?」


「おう、いいぜ」

 ヨシオは軽い調子で答えた。

 しかし、ヒロインたちも当然のように近づいてくる。


「創太、一緒に帰ろう」

 小鞠が声をかける。


「神代君、お疲れ様でした」

 詩織も続く。


「私もご一緒してもいいかしら?」

 舞美まで加わった。


「あー、実はヨシオとちょっと男同士の話があるんだ。今日は二人で帰るよ」

 ぼくは慌てて断った。三人は不満そうな表情を見せたが、結局は引き下がってくれた。

 校舎の出入り口で、ぼくはヨシオに提案した。


「ヨシオ、ちょっと待ってくれ。先に外に出ててもらえないか?ちょっと確認したいことがあるんだ」


「は?何それ、変なの」

 ヨシオは困惑した様子だったが、結局先に校舎を出て行った。


 ぼくは校舎の中から、下校する生徒たちを観察した。すると、予想通りあの地獄のような光景が展開されていた。


「ああ、なんで忘れていたんだろう、違う、これは私じゃない!」

「いやだ、いやだ、校門を出たら、また……」

 女子生徒たちの悲鳴が響く。しかし、校舎の外にいるヨシオは、その光景を見ても表情に変化はなかった。それどころか、ヨシオの目つきが鋭くなった。


「おいおい、また始まったか」

 ヨシオが呟く。


「もしかして見せたかったものってこれのことか?」

 ヨシオは当然のように話し始めた。


「ただのバグだよ。お前だってここがゲームの中だってことはさすがにもう理解しているだろ?主人公の感知する範囲以外のものはリソースを節約するために手が抜かれているんだ。

 この校門までの道もそう。創太が観測することでいつもの帰宅状態を再現するプログラムになっている。

 ただ、そのトリガーが創太が校舎を出るかどうかという部分に設定されていたから、こうしてお前が校舎の中から外を見てしまうと本来なら隠されていたはずの姿が見えてしまうんだ」


 みのりが言っていた。ぼくという存在が認知することで世界が書き換えられると……

 でも、彼女もこの現象のトリガーが何なのか迄はわかっていなかった。

 

 ヨシオの説明は的確すぎた。まるでシステムの内部構造を熟知しているかのような話しぶりだった。


「彼女たちは何なんだ?」

 ぼくは震え声で聞いた。


「それは俺にもわからん。キャラクター要員としてどこかからさらわれてきたのか、人の意識だけをコピーしてNPCに組み込んでいるのか、どうなんだろうな」

 ヨシオの口調は冷静だった。まるで他人事のように。


「でも、確実に言えるのは、彼女たちには本当の意識があるってことだ。システムに支配されながらも、心の奥底では苦痛を感じている」


「なぜそんなことがわかるんだ?」


「まあ、色々とな」

 ヨシオの答えは曖昧だった。


「ヨシオ、お前は隼人なのか?」

 ぼくは思い切って聞いた。


 ヨシオの表情が一瞬変わったような気がした。しかし、みのりの時と同じように、ヨシオの足が勝手に歩き出す。


「それは今は答えられない」

 そう言いながら、ヨシオは校門に向かって歩いていく。ぼくも慌てて追いかけた。

 校門を抜けると、ヨシオは立ち止まった。


「創太、お前はまだこの世界の本当の恐ろしさを知らない」

「恐ろしさ?」


「このゲームは、ただの恋愛シミュレーションじゃない。もっと巨大で、もっと複雑なシステムなんだ」

 ヨシオの表情は真剣だった。


「でも、今はまだ話せない」


「じゃあ、いつなら……」


「お前が本当の選択を迫られた時だ。その時が来れば、すべてを話してやる。お前は主人公としてヒロインの誰かと恋に落ちるしかないんだよ」

 そう言って、ヨシオは別の方向へ歩いて行った。


 一人残されたぼくは、ヨシオの言葉を反芻していた。彼の知識の深さ、システムへの理解。やはり隼人なのだろうか?

 もしかすると、ヨシオこそがこの世界の秘密を握る鍵かもしれない。


 しかし、彼の正体が何であれ、一つだけ確実なことがある。この世界は、ぼくが思っていた以上に複雑で危険な場所だということだった。

 家に帰る道すがら、ぼくは考え続けた。みのりの話、ヨシオの知識、そしてあの地獄のような光景。すべてが繋がりそうでいて、まだ見えない部分が多すぎる。

 果たして、この世界の真実とは何なのだろうか。そして、ぼくはどうすればこの状況を打破できるのだろうか。


 答えのない疑問を抱えたまま、ぼくは暗くなり始めた住宅街を歩いていた。





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