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魔法学院の転入生と禁書秘録  作者: V-CO
第一章 魔法学院で大いに活躍したい

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第一章 18 『壊れゆく心』

 数分前、魔法実験室――――


「おい、こっちこっち。」


「きゃあ――――!」


 冷たく硬い床に投げ飛ばされたエリーナが、痛みの声を上げた。


 今のエリーナは両手両足を【束縛の縄】でしっかりと縛られていた。縄は暗紅色の微光を放っている――この魔法は、もがけばもがくほど強く締まる。立つことどころか、体を動かすことすらできなかった。


「あ、あなた……何をするつもりよ!」


 エリーナはそのまま床に横たわり、振り返ってあのチンピラのような男――ラルフを睨みつけた。ラルフは軽蔑した目で、見下ろすように縛られたエリーナを楽しんでいた。


 傷跡のある男――ルースがカルアを連れて行った後、ラルフはティスを教室の外に引きずり出し、エリーナ以外の全ての学生に高強度の【沈黙の音】をかけ、さらに何重もの魔力鍵を追加して、この魔法を解除しにくくした。


 それを終えた後、別の目的を持ったラルフはエリーナだけを教室から連れ出し、縛り上げて魔法実験室まで引きずってきた。


 実験室内には、実験台には埃が積もり、棚の道具瓶には灰白色の塵が降り積もっていた。実験用の本や置かれた道具の他には、床にかすかに残った半ば使い古された魔法陣があった――その縁はぼやけて見えなくなっていた。


 ラルフはその魔法陣の真ん中に立っていた、まるで召喚された悪魔のように。


「こんなところに連れてきて……一体何をするつもりよ!」


 エリーナは必死に恐怖を押し殺し、平静を装って叫んだ。


「何をするって?――答えはもう目の前にあるだろ?」


 ラルフが曖昧に答えるので、エリーナはますます混乱した。


「な、何だよ……はっきり言え!」


「お前さ、今の状況を理解してるのか?俺の玩具として――――」


 ラルフはしゃがみ込み、殺意を込めた目でエリーナをじっと見つめた。


「――――お前が何を言える立場だと思ってる?」


「――!」


 その目から迸る殺気を感じて、エリーナは全身を震わせ、心臓が喉元まで飛び出しそうになった。


 ラルフの実力なら、彼女を殺すのは朝飯前だった。


「ははは、そんなに怖がるなよ。怖がりすぎた獲物は肉質が落ちる。」


 ラルフはまた別人のように、偽りの優しさでエリーナを慰め始めた。口では全く意味の分からないことを言っている。


「一体何を言ってるの……?」


 エリーナにはその言葉の意味が理解できず、勇気を振り絞って問い続けた。


「まだ分からないのか?じゃあはっきり言ってやる――もちろん、お前とここでヤるためだよ。」


「な――!」


 エリーナの胃が激しく逆流し、何かが胸から喉へと突き上げてきた。最悪の事態は覚悟していたが、まさかこんな形で来るとは思わなかった。その二文字が汚水のように彼女に浴びせられ、全身が冷え、皮膚の毛穴が全て収縮した。


「ああ、どうせ今は二人きりだ。せっかくこんなに可愛い女子生徒を捕まえたんだ。しっかり楽しまなきゃ、もったいないだろ?」


 ラルフの視線がエリーナの体を這い回る。獲物を前にした狩人のように。エリーナの顔色が一瞬で青ざめた。彼女は無知な子供ではない。あの下品な言葉の意味を当然理解していた。背筋が凍りついた。


「あ、あなた……な、何を……」


「俺はこういう青臭いガキが好きなんだよ。まあ……ロリコンだろうが何だろうが、好きに言えばいいさ。はは、これが捕まったら、何年刑務所に入るかな。」


 死んだような顔のエリーナを見て、ラルフは貪欲な笑みを浮かべた。


「残念だったな、本当はティスのあいつも連れてきたかったんだ。お前が俺にめちゃくちゃにされるのを目の前で見せてやろうと思ってたんだが、あいつはもう黄泉の国に行っちまった。実に残念だ~」


「このクズ野郎――!」


「ああ、あいつが生きてたら、目の前で見てどんな顔をするんだろうな?想像するだけで興奮するだろ?」


 ラルフはエリーナの怒号を無視して、自分の感慨に浸り続けた。


「そうそう、お前の年齢ならロリには入らないよな?でもロリでも少女でも俺は何でもありだ。特に思春期の娘は興味津々だよ~」


「大口を叩くな!わ、私はフィデル家の長女だ!もし私に手を出したら……お前はただじゃ済まないぞ!」


「うお~怖い怖い。フィデル家がどうした?……俺には関係ない話だ。」


「きゃあ――!」


 エリーナの脅しはラルフには全く効果がなかった。彼はそのままエリーナに覆いかぶさった。


 ラルフは舌を出して唇を舐め、何かを味わうかのように。


 両手両足を縛られて、彼女には反撃の術もなかった。


「でもな、長女ならなおさらしっかり『手入れ』してやらないとな。お前、まだ処女だろ?どう思う?」


 ラルフは顔を近づけて、エリーナの返答を待った。


「……好きにしろ。」


 エリーナの目には怒りが燃えていた。自分に覆いかぶさるラルフを睨みつけ、抑えられた怒りを込めた口調で言った。


「お前の好きに体を弄ればいい。でも、よく覚えておけ……いつか必ず、この手でお前を地獄に送ってやる。どこに逃げても、必ず見つけ出して……この手で殺してやる。」


「……」


 ラルフの動きが止まった。まるで彼女の言葉に怯えたかのように。


 しかし――


「ははははははは――!」


 ラルフは大声で笑い出した。


「な、何がおかしい!」


「はははははは――!」


 ラルフは無視して笑い続けた。


「ははは――!お前は本当に純粋で可愛いな。」


 ラルフは笑いの涙を拭いながら言った。


「なあ、お前はカルアと友達だろ?」


「それがどうした?まさかカルアにも手を出すつもりか!」


 カルアの名前を聞いた瞬間、エリーナの表情は一瞬で凶暴になった。


「いやいや、あの子には興味ないよ。あの子からは恐怖が感じられない。最初から覚悟ができている――どう拷問されようが、どう犯されようが、決して屈服しない。俺にはそれが分かっていた。」


 エリーナは衝撃を受けた。この男はカルアをよく理解している。そうでなければ、彼女の外見だけであの強さを見抜けるはずがない。


「でも、お前は違う。」


「な、何が?」


「さっきの場面を見てみろ――お前は恐怖のせいで、ティスを死なせた。お前が救えるはずだったんだ。なのに今さら突然、強がり始めた?その作り笑いの仮面の下には、一体何があるのか?俺はそれが見てみたいんだ。」


「うっ……」


 図星を突かれて、エリーナは言葉を失った。


「それに、お前みたいな女の子は一番扱いやすいんだ。少し強引にすれば手に入る。まるで子犬や子猫と同じだ。しっかり叱ってやれば、主人の言うことを聞くようになるだろ?」


 エリーナの表情は怒りで歪んだ。


「お前なんかに屈すると思ってるの!」


「もちろん。しかもあっさりと。もしかしたら泣きながら頼んでくるかもしれないな。」


「このクズ野郎、よくも――」


「まだ強がってるのか。いつまでその仮面を被り続けられるか、見せてもらおう。」


 その言葉と同時に、ラルフの手がエリーナの胸に置かれた。


 びり――


 服が裂かれた。白い肌と下着に包まれた胸が空気に晒された。


「な……?」


 自分の露わになった胸を見て、エリーナの喉の奥から嗚咽のような声が漏れた。胸に感じる冷たさ――それは空気の寒さだけではなかった。骨の隙間から染み出してくるような冷たさだった。


 これから起ころうとしていることに対して、彼女は強烈な生理的嫌悪と骨の髄まで染み渡る恐怖を感じていた。その恐怖はますます大きくなっていった。


「……あ……う……」


「おお~さすがはお嬢様だな。胸は大きくないけど、肌の手入れは行き届いてるみたいだな。おかしいな、なんだか下の方が膨らんできた気がするぞ?どうした、急に黙り込んで?もう抵抗を諦めたのか?」


 ラルフの手がエリーナの下腹部を這い始めた。


 抵抗を諦めるはずがなかった。名門フィデル家の長女として、こんな三流の悪党に屈服するわけにはいかない。肉体は消耗品に過ぎない。大切なのは魔法使いの魂だ。


 エリーナは頭の中で何度もそう自分に言い聞かせたが、それはただの自己欺瞞に過ぎなかった。


 ティスがかつて言った言葉が、エリーナの頭の中に浮かんだ。


 ――少拿你那阶级歧视的说辞来评价我。


 ――你们受到打击后就会哭啼啼地找家族长辈求安慰。


 ――魔法……本质上就是杀人。


 あの時、彼女は怒りに任せて彼を平手打ちした。彼の言うことは全て間違っているとさえ思っていた。


 今、彼女は理解した。ティスの言っていたことは全て真実だったのだ。そして自分は――


 そう考えると、エリーナの涙が溢れ出した。


「おいおい、本当に諦めたのか?それじゃあ面白くないな。」


 突然もがくのをやめたエリーナを見て、ラルフは失望した表情を浮かべた。


「――」


「ん?何か言ったか?」


 エリーナの唇が微かに動いた。聞き取れなかったラルフは、耳を近づけた。


「お、お願い……やめて……」


 その言葉を口にした瞬間、エリーナは完全な絶望を感じた。


 ティスの言った通りだった。自分は打撃を受けると、ただ泣き叫んで誰かに助けを求めるだけだった。


 敵に対して「フィデル家」の名を掲げて、それで相手を威圧できると思っていた。自分が実際に経験するまで、自分がどれほど無邪気だったかを理解していなかった。


「はははは――!どうした、もう降参か?もっと根性があると思ってたのに、はははは――!」


 涙を流し、声を殺して懇願するエリーナを見て、ラルフは大声で笑った。


「お願い……やめて……お願い……放して……」


 ラルフは態度を一変させ、笑顔を見せた。その笑顔は穏やかで、穏やかすぎて逆に背筋が凍るものだった。


「もちろん、放してやるよ。ただし……俺が済ませた後にな。」


 エリーナの喉から嗚咽が漏れた。それが彼女の最後の、無力な抵抗だった。


「誰か……助けて……」


 そう言って、ラルフの手がエリーナの腹部を伝って上へと這い上がった。


「俺を恨むなよ。自分が弱いのが悪いんだ!」


「やめてええええええ――!」


 ラルフが最後の服を剥ぎ取って押し倒そうとしたその時――


 エリーナは全身の力を振り絞って、ラルフの頭に頭突きを食らわせた。


 ドン――鈍い音が響き、彼女の額に激しい痛みが走った。まるで石にぶつけたかのようだった。ラルフの体は後ろに傾き、彼女自身の視界も衝撃で白く霞んだ。しかし彼女は後悔しなかった。少なくともこの瞬間、彼女はただ虐げられるだけではなかった。


 ラルフはよろめきながら後退した。その隙に、エリーナは体をくねらせて後ろへずり、必死に脱出の機会を探った。


 しかしその抵抗は何も変えられなかった。むしろラルフを完全に怒らせただけだった。ラルフはぶつけられた額を触り、その表情は驚きから怒りへと変わった。


「このクソ女が!」


 ラルフはエリーナの肩を押さえつけ、再び彼女を床に押し倒した。


「離せ!」


「うるさい!言うことを聞かないなら、まず黙らせてやる!」


 ラルフは再びエリーナを押さえつけ、その手を彼女の首に伸ばした。


 狂人はこうだ。数分前までエリーナを犯そうとしていたラルフが、今度は首を絞めて殺そうとしている。


 エリーナは必死に体を捩ってラルフを振り払おうとしたが、全て無駄だった。


「ぐ……あ……」


「お前たちお嬢様は普段から上から目線で、いざという時は野良犬以下だ!自分が弱いと分かっているなら、素直に強い者に虐げられるべきなんだよ!」


 ラルフの手はどんどん締まり、手の甲には青筋が浮き、その表情はますます凶悪になっていった。


 エリーナの視界が狭まり始めた。ラルフの凶悪な顔が彼女の前で徐々にぼやけ、その縁が黒く染まり始めた。酸素が彼女の肺から少しずつ押し出されていく。まるで誰かが彼女の命を少しずつ吸い取っているかのように。


 その時――


 魔法実験室のドアが、突然外からノックされた。


 ――トン、トン、トン。


「……?」


 エリーナの呼吸が一瞬止まった。その数秒間、彼女の心臓は見えない手に握られては離されるかのように激しく鼓動した。来たのが助けを求める人かもしれない。もっと悪い状況かもしれない。


 ラルフの手が緩んだ。空気が再び彼女の肺に流れ込み、彼女は激しく咳き込んだ。


 数秒後、再びノックの音がした。


「誰だ!」


 ラルフがドアに向かって叫んだ。


 ルース?いや、彼は今頃カルアを移送しているはずだ。あの二人?それも違う。まさか……


 ラルフはゆっくりとエリーナの上から体を起こし、頭の中でドアの向こうの人物を推測しながら、ゆっくりと手を上げた。


 エリーナは力なくドアの方を見た。口元から垂れた涎は、さっきラルフが本当に彼女を殺しかけたことを物語っていた。


 それと同時に、彼女の心の中では断続的に祈りが続いていた――たとえ一筋の救われる可能性でもあればいいと。


 ラルフがドアを開けた。


 その先の光景に、エリーナは完全に絶望した。


 全身黒ずくめの男が立っていた。黒い仮面で顔を隠し、その素顔は見えなかった。


 エリーナの視線はラルフの肩越しにその男を捉え、最後の一筋の希望が消え去った。


 明らかに、この男は彼らの仲間だった。教室に乱入してきた連中と同じ仲間だった。


 やはり……誰も助けには来なかった。


 エリーナの体は完全に力が抜けた。


「……何だ、お前か。」


「……」


 黒衣の男は一言も発さず、ただ静かに室内のラルフを見つめた。


「どうした、あの役立たずの講師を見つけたのか?」


「……」


 黒衣の男は室内を一瞥し、床に倒れて無惨な姿のエリーナに視線を落とした。


 そして、再びラルフに視線を戻した。


「ちっ、見つけてないなら邪魔するな。俺が今忙しいのは見て分からねえのか?興ざめだ。」


 そう言って、ラルフは実験室のドアを閉めようとした。


(……終わった。助からない。)


 エリーナは目を閉じた。もう何の希望も抱かなかった。ただ静かに、自分の運命を待つだけだった。

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