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ドラゴンリング  作者: 半纏ボク
第六章 ドラゴン
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ポートブリッジ統合軍地中海艦隊



 イエール空港の半分は安全保障隊が未だ占拠しているため、イエール空港に駐機する航空部隊は、大型爆撃機などを含む全ての航空機を作戦に参加させることができなかった。タイミングが悪いとしかいいようながなかった。安全保障隊は一切の交渉を拒絶し、ドラゴンの空襲といえども空港の占拠に関して譲歩する気はないようであった。

 このため航空戦力は航空母艦<ジャンヌ・ダルク>に搭載している戦闘機のみで対応せざるをえない状況になっていた。航空母艦<ジャンヌ・ダルク>の航空機にスクランブル発進の命令が下ったが、常備している武装は通常兵器が主体となり、通常の迎撃任務が展開されることとなった。地中海艦隊が洋上に向けて出港を始め、航空母艦〈ジャンヌ・ダルク〉はラファール戦闘機の発艦に備えて、風上に向けて全速航行を続けていた。

 航空母艦<ジャンヌ・ダルク>の全通飛行甲板では、スクランブルのために準備されたラファール戦闘機の機体に駆け付けたパイロットが、自ら機体の外部点検を実施するとともに、コクピットに入るためにキャノビーを開けた。

 パイロットは無事に帰れることを祈りつつコクピットに座ると、座席のチェックを行い、スクランブル出動の普段より少ない項目のみをチェックした。問題がないことを確認すると、メカニックに対し指一本あげて合図し、メインエンジンをスタートさせた。エンジンの轟音が周囲に響き渡ると、規定に従ってテストスイッチボタンを押し、各システムの警告灯が正常に点灯するかチェックした。正常であることを確認すると、パイロットは指2本を立ててメカニックに合図した。

 パイロットが最終的に飛行計器が正常かチェックする間に、メカニックは輪止めを外し、さらに武器員のメカニックがミサイルの安全ピンを抜いた。

 パイロットはキャノビーを閉じ、ゆっくりとカタパルト発射位置に移動した。そして、航空管制官に発進準備が完了したことを合図する。カタパルトから射出されたラファール戦闘機は、滑走路が短い航空母艦からの離陸であるため、アフターバーナーを使用して上昇を開始した。フラップと車輪を格納し、さらに上昇を続けて僚機と合流すると、一路、南南東に向かった。

 地中海艦隊から発進した艦載のラファール戦闘機の長距離対空ミサイルによる第一波攻撃によって戦闘の口火が切られた。

 最大射程60KMで発射されたMICA空対空ミサイルは信頼性に欠けるが、マッハ4速度で突進し標的となる無数にいるドラゴンの先頭の数頭に全弾とも命中することができた。ポートブリッジ基地から百キロ離れた上空である。それは夜の闇に覆われる前の上空に死の光として輝いた。

 ラファール戦闘機がドラゴンに接近してからもミサイルの応酬が続いた。高々度から音速に近い速度で急降下し、低速で飛行するドラゴンを絶好の的としていた。だが危険を察知したドラゴンは回避運動をとりはじめ空は大混乱となった。ドラゴンにもっとも効果的な戦闘機による近接攻撃は、衝突の危険が急速に高まり断念するしかなかった。

 それを合図にするかのように、地中海艦隊のVL MICA艦対空ミサイルの光の塊が閃光を放ちながら上昇し弧を描いて飛び出した。ひとつ、ふたつと次第に数を増やしながら、いくつもの光の線が空の彼方のドラゴンに向かって延びていった。


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