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アリシアがリカルドをソファーに誘導し座わらせた。
隣にいたアクアジークがリカルドの背中をポンと軽く叩くと柔らかい笑みを向け頷いた。
リカルドもホッと一息つき『ごめんな……』と呟く声が微かに聞こえた。
『『さぁ、始めるか。今後について決めていこう。』』
レオナルドが話を切り出して皆一斉に注目する。
アリシアはクリストファーに渡された紅茶を一口だけ含み、持っていたカップをそっとテーブルに置くとレオナルドの話に耳を傾けた。
『『まず、そうだな。私とセルカーク、クリストファーで国王陛下に報告へ行く。リア……アリシアの持ってきた薬を舞踏会参加者全員に配る手筈を整える。
薬に関して……アリシアはどのように考えていた?意見を聞かせてもらえるかい?』』
「はい。まずはこの小瓶に薬を分けてお配りしましょう。皆様もご存知の通り即効性のある薬です。一度服用すれば良いのですが、念のため2、3回服用するようにすれば尚安心かと思われます。
アモーレ男爵令嬢の魅力の力の影響を受けていない方などの把握が難しいと考えられますので、本日の参加者全員にお配りするのがよろしいかと……。
それから、10日後の新学期からの対応についてですが、薬だけでは対策は不十分です。これから対策を考えるにしても時間がありませんので、一時的に魅力の力を排除するために私の方で試したいことがございます。
それは薬の配布後に詳しくお話させていただきますね。」
『『わかった。では手分けをするか。アリシア、アクアジーク、リカルド、イシードで薬の瓶詰めを。エリックには参加者の把握、確認そして薬の配布漏れがないように名簿を作っておくようにしろ。私達が戻り次第配れるように進めておいとくれ。
今現在はピアニッシモ男爵夫人、令嬢がこの件に関わっていることを証明する証拠がない。調査までに時間がかかるかもしれない。新学期までは無理だろう。早急に解決出来るように皆協力してくれ。』』
『『『『はっ!!』』』』
レオナルド達が執務室を後にした。
残された私達は早速瓶詰め作業を開始した。手作業で黙々と瓶に詰めていたのだが、イシードが『ねぇ……ちょっと思ったんだけど……』と話し始めた。
集中していた私達は、手を止めることなく作業を素早く進めていく。
この中で一番年長のアクアジークが『……どうした?』と視線を向けた。
細々とした作業が苦手なのか、握力が半端ないのか……先程から瓶を何度も握り潰している。その壊れた瓶を直しては壊しの繰り返しでイライラしているようだ。
““集中が切れるから余計な話はするなよ!話掛けるな!””と全身で訴えている。
『あのさー何で手作業なの?魔法を使って瓶の中に入れたほうが早いし楽だよね。それとも……この金平糖薬?に何かしらの影響がでちゃうの?』
みんながアリシアを一斉に見ていた。
「あっ………!?」
アリシアは顔をあげると「その手があった!!」と手をポンと合わせる。
今までのこの時間は一体なんだったのか……とアクアジークは両手を広げてソファーにしなだれかかる。
リカルドとエリックはハハハと苦笑い。
『イシードはもう頼むよアリシア嬢!!』と呆れた視線を送っていた。
「そうですね!イシード様のおっしゃる通り魔法を使いましょう。」
『だね。決まり。四人で分担するとして……①瓶を並べる②蓋を開け閉めする③薬を瓶に入れる④出来上がりを箱に詰める。この四つかな。んー属性で決めるとすると……アリシア嬢の属性は何ですか?』
「私の魔法属性ですか?一応……全属性使えますよ。」
『……へ~!全部ですか~ご令嬢で全属性って珍しいですね。僕だって今までに全属性扱える女性は2人しか知らないしな~。ふ~ん……全部使えるのか~。なるほどね……ハハッ!……それに他にも何か特別な能力ありますよね~?』
《えっ……そうなの?女性で全属性使える人ってレアなの……嘘……知らなかったわ。ちょっとまずい雰囲気なんじゃ……
イシードって魔法にしか興味がない人で、特に能力が高い人は自身の研究対象に認定されていたはず。怪しい魔法を使ってニヤニヤしている危ないスチルがあったよね……
なんか…… ““好い鴨見つけたわ~”” みたいな目で上から下までジロジロ、ニヤニヤ舐め回すように見てくるし……それに……なんだか言葉も行動もチャラいな……イシードってこんなキャラだったかな?》
『イシード!その砕けた話し方と態度やめないか!失礼だぞ!』
アクアジークがしびれを切らし指摘する。
『えー!僕はいつもこんな感じですぅ~レオ様にもカーク様にもこのままでいいよ!って了承もらってますしーこれから同じ目標に向かって悪の女親玉退治をするんだから、かたっっくるしいのやめようよ!ねぇ~アリィさま~!!』
『全くお前は……いつもいつも軽いな……』
とアクアジークが呆れていた。
『……アリィさ……ま……だと!?馴れ馴れし過ぎるぞイシード!』
ずっと黙っていたリカルドもアリィ呼びに即反応を示す。
エリックはこのままでは全く自分のすべきことが進まないと悟ったのか、こちらのことは完全にシャットアウトすることに決めたようで黙々と机に向かい書類をまとめていた。
『だって、さっきアリシア嬢からアリィって呼んで♪と言われたじゃないですか~お二人共相変わらず頭固いな~。ですよねアリィさま!』
「……私は構いませんよ。様付けも取っていただいて。アリィと親しく呼んでもらった方が嬉しいですし……」
『まぁ。貴方がおっしゃるのならそうしましょう。だが、公式の場ではちゃんとするんだからな!イシードわかったな!』
アクアジークとリカルドは声を揃えて強く言う。
イシードについてはよくわからないところが不安として残るけど、ただのおふざけ大好き!人懐っこい性格!なだけかもしれない。
四人の絶妙な仲の良いやり取りを見てると不安感がいつの間にか去っていく。……大丈夫だよ、きっと……と自分に言い聞かせていた。
『ハイハイ……全くジークもルドもお堅い兄ちゃんなんだからーー怒ってばかりだとずっ~と寂しく独り身になる不細工の呪いをかけちゃうぞー♪』
ボソッと呟いた。
お堅い二人の眉間にシワが寄り、額の血管が数本浮いているのを見て ““ヤバい!聞こえちゃった?”” と焦りだしたイシードはお説教モードを回避するために話をアリシアに戻して突如ストレートな疑問をぶつけてきた。
『……でアリィさ……(こほん……)アリィの特別な力って何なんですかー?』
「と?……と……特別な力……とは?……私は……全然……普通ですけど……?!」
アリシアの力……光魔法について誤魔化そうとすればするほど目は泳ぎ、しどろもどろになっていく。
『だってさー……ルドを正気に戻したのも、その謎の薬もこの腕輪と耳のピアス?の魔力を鑑定しようとしてもさっぱり。
この天才の僕が魔法属性がわかんないってすご~く!不思議でしょう?だからアリィのこの魔力は何なのかなぁって。ねぇ教えてくださいよ~!
まぁ……何となくだけど~1つだけわかるのはあの女の力を封じ込める力っていうのは防御系?なのかなぁ……そうすると無こ……う……““ふぎゃっっあー……””』
イシードが無効化と言いそうになった所をアリシアの両手で口を無理やり塞いだ。
『ちょ……ちょっとなにするのー!!……!?』
不意打ちされてびっくりしたのか、焦げ茶色寄りの黒い目が大きく見開らかれて視線が泳ぎ動揺していた。
他の三人もアリシアの異常行動に驚いてこちらを見て固まってしまった。




