60 【 クリストファー激怒編★No.1 】
クリストファーのお怒りを書きました。
長くなってしまいましたので2話に分けました。
今日中に61話【クリストファーの激怒編No.2】を投稿しようと思います♪
引き続きお楽しみいただければ幸いです!
それは、良く晴れた日に起こった恐ろしいできごとだった。
アリシアはいつものように公爵邸で過ごしたのち、午後からアトリエに行きお店を開く準備をしていた。
外から見えるショーケースの配置がおかしくないか確認の為に店の入り口から外へ出た。
久しぶりに顔を出したアリシアに周りのお店の従業員や店主、道行く人が足を止めアリシアに声を掛けてくる。
『リアちゃん久しぶりだね!元気だったかい?』
『今日は店を開くんだね!欲しいものがあったんだよ。後で寄らせてもらうよ!』
『リアちゃ~ん。ほら新商品のケーキだよ。後で食べにおいでよ!』
「ふふ。今日もみんな絶好調だね!」
『そういや、リアちゃんと同じ位の年のうちの息子が帰って来てるんだよ!紹介したいから店に寄ってておくれ。リアちゃんを嫁にもらいたいと常々思っているんだ。それはもう私たち夫婦の最大の願いなんだよ!息子がリアちゃんの心を射止めたら果報ものだよ!わはははは!!』
『いやいや、リアちゃんはうちの息子にと考えていたんだよ。抜け駆けはゆるさんよ!』
『だめだよ!リアちゃんはうちの息子のお嫁さんになるんだから!』
『あんたんちの息子とリアちゃんでは年が離れすぎだからやめときな!その点、うちの息子は年も近く、国の官職様の補佐を任されていてしっかりと稼ぎ働いている優秀な子だから聡明なリアちゃんにお似合いだと思うんだ!生涯苦労のない生活が送れるよ!』
うちでもらう、いやいやうちの息子にと言い合いを始めてしまったのだった。
『そうさ!リアちゃんに決めて貰えばいいんでないかい?』
『リアちゃんが選んだ相手に文句はなしだよ!』
『それじゃあ、今日の夜はリアちゃんの相手探しのパーティーを開くとしようじゃないかい!』
『そりゃいい考えだ!忙しいリアちゃんが次いつ店を開くかわからんからね!いいね?リアちゃん!!』
「………………。」
《いやいやいや……それって合コンじゃん……私はオッケーしてないのにどんどん話が進んでいっちゃうよ……やめてくれー》
「……みんな冗談言わないでよー。私はまだ一人で楽しく過ごしたいし、結婚する気はまったく!ないよ。それに……そう!そうなの!家族に夜には戻るようにと言われているから今日は無理だよ!!」
『それなら、夕方、少し早めに始めたらいいんじゃないかい?それに今からリアちゃんの家族に夜は外で食べるとのと言っておいで!店番しておいてやるから!!』
『そーだな!それがいい!!なんなら私が一緒に行って断りをいれてあげるよ。リアちゃんの両親にも挨拶したいしなー。』
『うちの店でパーティーの準備をしとくよ。今日は予約はないから店を開かずそちらを優先することにしたよ。うちの未来がかかっている大事な大事な日になるかもしれないしな。もちろん食材はただじゃないから会費はもらうよ。みんないいね!』
『あーリアちゃんは会費は出さなくていいからね!リアちゃんが主役なんだからな!はははは!』
『ほら!リアちゃん、ぼーっとしてないで!家はどっちだい!一緒に行ってあげるからね!おばちゃんにまかしとき!!』
「………………。」
「おばちゃんわかった。わかったから……家には私が連絡をするから大丈夫。ただ私は未成年だよ!結婚適齢期でもないし!お付き合い……とかこれっぽーっちも考えられないからね!夜ご飯みんなでわいわい食べるだけだからね。相手探しパーティーではなくて、ただの交流会ね!交流会!!それなら参加するからー……これ以上勝手に話進めないでーー!!!」
アリシアの虚しい叫びが木霊する。
『それじゃあリアちゃん、準備ができたら呼びに来るからにげるんじゃないよ!!さぁ、みんな準備に取りかかるよ!』
『参加者選びは私たちにまかせな!』
『会場準備は私たちが引き受けるよ!!』
『こりゃあ、久しぶりに盛り上がるなー!』
『さぁ、私らは息子の支度に取りかからんとね!少しでも良く見せるためにも床屋と服屋に行かんとならんね!いそがしくなるよ!!』
アリシアの話はもう届かない……興奮した状態のまま、様々なことを言い残して四方八方へ散らばっていったのだった。
《私の話は全然聞いていない感じなのね……》
アリシアはおばちゃんパワーに圧倒され、がくりと肩をおろし店の中に戻っていった。
《あーあ、仕方がない……マリーに連絡しておくか……》
マリーへ
今日の夕食は準備不要です。
こちらで食べてから帰宅します。
遅くならないようにしますね。
アリシアより
「よし!これで大丈夫ね。」
風魔法を使い手紙をマリーに届けた。
「なんでこんなことになったんだっけ……?でもまぁ、こうなったからには、美味しいものを鱈腹いただいてきちゃいましょう!私は会費いらないらしいし。
あそこのお料理久しぶりだな~チキンをハーブとフルーツで焼いた料理出るかな~。シーフードサラダはオリジナルドレッシングをかけると最高なんだよね!あのレストランのシェフの味はなかなか出せないもんな~さて!いっぱい働いてお腹を空かせなくちゃね。今日も目一杯楽しむぞ~!!エイエイオー!」
夕方になり、後片付けをしていると発起人のおばちゃんがアリシアを呼びに来た。
『準備はまだしていないのかい?そろそろみんな集まってきたんだよ。さぁ着替えておいで!』
「えっ??着替え?このままでは駄目なの?」
『今日の主役はリアちゃんなんだよ。何を着ていても可愛いし綺麗だけどねー流石にエプロン姿は……よし!ちょっと待ってな!』
「ちょっ……!おばちゃん?」
片付けをしながら待っていること数十分……
『リアちゃん遅くなってごめんよ。ほら!この白いワンピースを着なさいな。』
「ありがとうございます……!?えっ!……これは!」
《……この服は……今、若者人気ナンバーワンの有名店マリア・シャーリーのデザインしたお洋服!なんと!これは!!ショーウィンドウに飾ってある新作ワンピースでは……!!》
『新商品らしいんだが、リアちゃんに着せると言ったら喜んで貸してくれたよ。リアちゃんが着れば店の宣伝にもなるからってな!ほらほら、早く着替えきな!』
《キャー!めちゃくちゃ可愛い!いや綺麗!!今日チラッと覗いたら時にいいなって思っていたお洋服。マリア・シャーリー様と言ったら斬新なデザインを取り入れつつ、着たときの絶妙なフィット感とシルエットの美しさ、刺繍に関しては真似ができない独特の縫い方。この裁縫技術は前世でも世界的に活躍していた天才と呼ばれた一握りの人しかいなかった。王族と専属契約していて忙しいらしくて、たま~に庶民向け小物やお洋服を販売してるんだよね。そんな憧れの女神さまの作る服を……まさか新作が着れるなんて幸せ~♪弟子入りしたい!
わーーい!テンション上がる!着替えてこよう!》
『やっぱりいいね!似合うよ。それじゃあ行こうか。』
「はーい!」
アリシアはマリア・シャーリーの新作ワンピを着て鏡の前でうっとり。くるくると回りワンピースの裾が美しく揺れるのを堪能していた。そんなアリシアを飽きれ気味におばちゃんが引っ張って会場へ連れていったのである。
嬉し過ぎて心ここにあらず……
この後起きる年頃の男性陣に囲まれ求婚されたことにより勃発する恐怖をまだ知らなかったのである。
『さぁ!主役の登場だよ。我らの愛し子、リアちゃんだ!』
『『『『わーー!』』』
ものすごい盛り上がりの中、アリシア入場。入場を拒否し踵を返そうとすると、無理やりおばちゃんにひっぱられ店の奥の上座に連れていかれてしまった。
《……あーあ。やっぱり合コンじゃんか……男の人25人に女の人はたったの5人って……比率おかしくない?蝶ネクタイ姿の息子の隣には母親がちゃっかり座っているし……お見合い?みたいだね……》
『さぁ、リアちゃんの席はここだよ。気に入った男がいたらおばちゃんに言いなよ。お膳立てしてあげるからね。因みにあれかが私の息子だよ!候補に入れとくれ。さぁ乾杯の食前酒だよ。手に持って!』
「…………?……おばちゃん、さっきも言ったけど……私まだ成人していないんだけど。勿論、お酒は飲めないし、相手探しも出来ない……こんなの無理だよー私はご飯を食べに来たの!食べたらすぐに帰るからね!!」
『なにいってるんだい。そんな妖艶な見た目をしといて、成人前だなんて誰が信じるんだい?苦しい言い訳は私らには通用しないよ。観念しなさいな。いい男を見つけて幸せになるんだよ、ぐいーっといきなリアちゃん。女は度胸だ!さぁぐいーっと!!』
「……ホント……未成年なのに……」
アリシアの呟きは乾杯の音頭で消されてしまったのだった。




