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「「……んっ…………んんっん……」」
《あ~よく寝た~スッキリ爽快!!あれ?ここどこ……自分の部屋じゃないよね。そうだった……デビューイベント真っ只中だったわ。死亡フラグ最中に寝てしまうなんて……しかも大泣きするなんて恥ずかしい。》
アリシアは両手を上にあげて伸びを一つ。
人前で、しでかしてしまったことに反省した。思い出すと恥ずかしくなってきて体にかけられていた布を引っ張り顔を隠した。
《うわ~!この毛布すっごくいい匂い!そして作りがとても綺麗!真似してつくりたいな!》
自分好みの香りと作りの素晴らしさに感銘を受ける。
香りの調合はどのようにされているのか。どのように編んでいけばこんな素敵な柄が生まれるのか。と布をまじまじと観察し、アリシアの頭の中には図案が広がっていく。
そして、それが膝掛けであることと王家の家紋が編まれていることに気がついてしまった。
《この柄は……タツノオトシゴ……?いや違うでしょうよ……。!!!竜だよ!》
と自分自身に突っ込みをいれる。
《……竜?ということは……ここは……まさか……王宮内の一室……?呑気に寝ている場合じゃない!帰らなきゃ!》
慌ててガバッと起きたアリシアに真剣な面持ちで話し合いを重ねていたみんなが一斉に振り返る。
「……えっ…………??」
《なんで皆さん勢揃い?私、あの後なんかやらかしちゃった?アモーレはどうなったの?みんなは……もしかしてアモーレの力にやられちゃったりしてないよね。》
『……アリシア……アリィ!!』
クリスお兄様がアリシアの方へ一目散に駆け寄り抱きついた。
「お兄様……??」
『良かった!もう大丈夫だよ。……先ほどのこと覚えている……??』
アリシアを抱き締めながら、落ち着いた声で話しかける。クリスお兄様の手に力が入っているのを感じた。
「はい……。あのような所で泣くなど淑女としていけませんよね。本当に申し訳ありません……ところで……なぜ私はここに??アモーレは……舞踏会はどうなりましたか?」
アリシアを抱き締めていた体を少しだけ離す。クリスお兄様の整ったお顔がどアップで目の前に現れる。アリシアの瞳を見つめながら、躊躇うように続けてはなし始めた。
『舞踏会はお開きになったよ。会場の様子が異常だったからね。一つ確認したいのだけど……アリシアが以前私に話してくれたことが始まったと解釈してもいいんだよね?』
アリシアは目を反らさずうなずいた。
『……わかった。それでね。私は……皆様にお力を御借りしようと思っている。アリシアが死ぬかもしれないとわかっていて何も対策をしなかったら、絶対に自分を許せないと思うから……』
「お兄様……」
(『それにね。エメラドーナの兄上達に叱られちゃうよ。妹を護れって、私のところに毎月のようにプレッシャーだらけの書簡が来てるの知ってた?
今のこの状態が続けばアリィは国に強制送還されてしまうだろうね。そして二度とドラゴンレアール国に入国禁止になってしまうよね。
ほら、アリィのお店も解体……閉めないといけないかもね。もしアリィが帰るのなら、叔父上にはわるいけど私も一緒に帰ろうかな~★アリィと会えなくなるなんて無理だから!
だからね、そうならないように、““ 元凶 ””を取り除けばいいと思うんだ!そうしたら、アリィもみんなも幸せ!そんな暮らしが出きるよ!』)
みんなに聞こえないように耳元である意味脅しのような言葉を発する小悪魔なお兄様……
『だから、あの女の知っていることをくわしく教えてくれるとこれからのことを決められるんだよ。アリィ……教えてくれるよね?』
《………お兄様は何を言ってるの。無理無理無理無理!ほぼ全員攻略対象者が集まっているこの場所でアモーレのことを言えと……?無理!絶対無理!
魅力の力で皆さんアモーレに溢れんばかりの愛を与え、彼女を守るためなら私を笑いながら拷問したり、残酷な方法で死に追いやりますよーっていうの……?完全に頭のおかしい痛い子だよね。
光魔法のことがわかれば、エメラドーナ国の王女だとばれてしまうよね。それだけは避けたい。またあんな思いはしたくない……
私が折れるのを期待しているのでしょうね。ふぅ~……仕方がない……》
「わかりました。そうですよね。元凶から離れることが今できる最善ですね!私の力のことは秘密にしておきたいですから……私は明日にでも……いえ、今すぐにでもエメラドーナに帰国することにします。初めから、こちらでデビューはせずにエメラドーナ国に帰りたいと心の底から願っていたのをお兄様はご存知でしたよね。まぁ……お店のことは残念ですが仕方がありませんよね。諦めます。命には代えられませんし……作品作りはどの場所でも出来ますし……ここ数年自由に楽しく過ごせたので欲張ってはバチがあたってしまいますよね。お兄様はパパのことをよ~く説得してから帰国するなど決めてくださいね!勝手にしたらパパもお母様も哀しみはますよ!私は一足先に帰国し神秘の森で穏やかに過ごしていくことにしますね★★」
今度は皆さんに聞こえてはまずい内容なので防音魔法バッチリでお兄様に話しかける。
『ちょ………アリィ……えっ……いや……待って……』
予想もしていなかった答えに狼狽えていた。
アリシアは畳み掛けるようにお兄様に留めの一撃をお見舞いする。私を試そうとした罰ですよ~
「お兄様にお会いできなくなるのはとても寂しいのですが……私のあげた無効化魔法バッチリのブレスレットでアモーレから身をお守りくださいね……アリィはお兄様が心配しなくても大丈夫なように母国で逞しく、幸せに生きていきますので~ふふ!」
『あー……アリシアごめん……試すようなことして。私の負けだよ……悪かった。だから帰るなんて言わないで……王太子殿下方にはアリシアが予知出来ることは話した。あの憎たらしい女のせいで死ぬかもしれないことも……あの女の魅力の力の影響で魅了されてしまうことも……これ以上は話さなくていいから……あの女に好き勝手されるのはどうしても許せない。母上の生まれ育った国を崩壊させるなんて我慢できないよ。だから、お願い……ドラゴンレアール国に残って……悪女をやっつけようね。ね?絶対に死なせないから……』
《……っと……ほぼ話しとるんかーい!
まぁ。寝ている時にアモーレ対策を夢の中?でみちゃったし。試しにやってみたいと思ってはいる。これで魅力の力にやられたリカルドはじめ子息が術から解放させれるかわからないけど……
でもな、バッドルートは開かれているだろうし……確かにこのままアモーレを放置すれば攻略対象者プラス、レオが魔の手に落ちるの時間の問題だろうしなー……お母様とカルイドパパの祖国が崩壊……うーん。そうなるよね……絶対悲しむ。
エメラドーナは他国との交流をあまりしない国だし国境には強力な保護魔法がかかっているからアモーレの影響はほぼないし。あれを試してからエメラドーナに逃げかえってもいいのかな。遅くはないかな。》
「うーん……。あれはこうして……これが……うぅーーん……。でもなー。……そうなるよね。あー。うーん……だろうな。えーっと……かなー?」
アリシアは百面相を浮かべながら唸って考えていた。
そして、決めたのだった。
《《「よし!」》》
「お兄様、わかりました。元凶の悪事を暴きましょう。まずは取り急ぎ……私は必要なものをとってきますね!では!!!」
『ちょ……アリシア……まっ……待って……まだ話が……』
アリシアはそういい残し転移魔法で何処かへ行ってしまったのだった。
残された攻略対象者たちはアリシアが親指をぐっと立て、満面の笑顔を浮かべ、突然消えたことに唖然としていた。
『もう!アリィはいつもそうなんだからー!!思い立ったら即行動するのはやめてって言ってるのにーー!』
クリスお兄様の焦った言葉だけがこの場にいつまでも響きわたっていたのだった。




