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アリシアはお昼近くまで目を覚まさなかった。
おかげ様で頭はスッキリしている。瞼と顔はパンパンに浮腫んでいるけど……
侍女のマリーが部屋に来た時は驚いて固まっていた。
『私の可愛いお嬢様のお顔が……!?』と叫んでいた……
すぐ治るから大丈夫よと落ち着かせ、軽食の準備の為に一度退室させる。
《自分自身に癒し魔法をかければいいのよ!》
顔全体に両手をかざして、魔法を使う。あっと言う間に浮腫みは取れ、いつもの顔に戻っていた。
戻ってきたマリーは嬉しそうな顔をしている。
『昨夜の公爵様の魔法が効いたのかしら……!』ボソッと呟いた……
「昨日の夜、パパが来たの?」
『………はい。』
しまった!と口元を自身の手で抑えている、
『公爵様は、昨夜遅くにお嬢様の部屋へいらっしゃいました。お嬢様の赤く腫らした目を見て、思い詰めた顔をなさっておられて……私は自室に戻って休むようにと言われましたので下がらせていただきました。』
私が朝方お部屋へ参った際にも、公爵様は自室に戻られた様子はなく、お嬢様のお部屋にいらっしゃいました。そばに寄りそい、手を握って魔法を使っておられるようにみえました。
その後、クリストファー様がお見えになり、二人で長い間お話をされていたようてす。』
『お嬢様のお部屋に来たことは言わなくてよいとおっしゃっていましたのに……』
『それから、公爵様より今日からの予定は無しにする、気持ちの整理が出来るまでいくらでも待つ……とお嬢様にお伝えするようにとのことでございました。』
「パパ……ずっと付いていてくれたの……?」
マリーはうなずく。
今日も変わらず公務があるはずなのに……一睡もせずそばについていてくれたていうことにカルイドパパの深い愛情を感じることが出来た。
アリシアは、大切な人に迷惑を掛けないように……心配を掛けないように……しっかりしなくては……と拳を強く握り締める。
もう、どう足掻いても逃げられないドラゴンレアール国での生活にどう対応するべきか、もう一度考えを精査する必要があると思っていた所で……
お腹がぐぅーーっと鳴った。腹ごしらえをしたら、攻略対象者についてまとめることにした。
ドラゴンレアール国には、ドラゴンレアール国の王家。
その王家を支える、“ 一大公・五公爵 ”がある。
大公家は現国王陛下の実弟が大公を勤めている。
王宮の奥にある“神獣の棲み家”と呼ばれる巨大な森の守り主である。
大公家は王位継承権は放棄しているので、政には一切関わっていない。
亡くなった大公妃殿下は伯爵家出身のご令嬢であった。
大公妃殿下は大公殿下の隣に立つには身分が相応しくないと批判され、嫌がらせを受けたことによって精神を病み亡くなってしまった。
大公妃殿下のご実家の伯爵家が亡き娘の忘れ形見である大公子息・セルカーク・ドラゴンレアールを王位に就かせたいと謀反を企てて王太子殿下の命を狙った。
その出来事に大公殿下は深く心を痛め、自分の存在が国を乱れさせる原因になると考え、早々に王位継承権を放棄している。
そして五公爵は、大国・ドラゴンレール国の巨大な領土を平穏、安寧に治めるために国を五つに分けて、最も力の強い五家に公爵の地位を与えた。
国の最重要ポストと領主を兼任し、国を護り、更なる繁栄に務めている。
中央の公爵と呼ばれ、王都を管理する公爵家筆頭のグランツ公爵。宰相を務めている。
東の公爵ことベアトリス公爵。文部長官職にある。
西の公爵ことクライサス公爵。魔法師団長職にある。
南の公爵ことモルカンダ公爵。近衛騎士団長職にある。
北の公爵ことフィリップス公爵。王国騎士団長職にある。
グランツ公爵家を除く、大公子息、四公爵家の子息たちの五人が攻略対象者である。
〈一人目の攻略者はドラゴンレアール大公子息〉
“ セルカーク・ドラゴンレアール ”
ドラゴンレアール国王の王弟で大公の一人息子。
シルバーのさらさらヘアーに黄色い瞳。
アリシアの3歳上の17歳。
常に穏やかな笑みを浮かべているけど、何を考えているのかわからない怖い人。
母親の大公妃はセルカークが幼い頃に亡くなっている。
大公妃を良く思わない貴族令嬢が嫌がらせをし、精神を病んで亡くなってしまった。
地位に群がる女性が嫌い。裏の力で排除していたなー……
母親も兄弟もいないセルカークを従兄弟の王太子が、弟のように可愛がり守ってくれた。そんな優しい王太子を慕っている。
王太子を守る為に影の組織を作りあらゆる障害を排除。そのトップに君臨している。王太子を守るためなら命を厭わない。1番近付いちゃいけないひと。暗殺されちゃうから……
魔法属性は火と水と風。
三種類の最上級魔法を操る最強大公子息。
〈二人目の攻略者は近衛騎士団長の子息〉
“ アクアジーク・モルカンダ ”
近衛騎士団長でモルカンダ公爵の息子。
ブルーの短髪に緑色の瞳。
アリシアより5歳上の19歳。
明るい性格で責任感が強い。
王太子の護衛を努めるだけあり剣の腕は最強。
王族を守るためならなんでもする、王族第一主義者。
魔法属性は火。
剣に魔力を纏わせて攻撃するのが得意。
〈三人目の攻略者は王国騎士団長の子息〉
“ リカルド・フィリップス ”
王国騎士団長でフィリップス公爵の息子。
ブラウンの短髪に赤い瞳。
アリシアの4歳上の18歳。
真面目な性格で曲がったことが大嫌い。
自分にも厳しいが、女、子供にも厳しい。
王太子の護衛を努める。
常に体を鍛えていて、肉体美は半端ない!
魔法属性は風。
魔法よりも剣術のほうが得意。
〈四人目の攻略者は魔法師団長の子息〉
“ イシード・クレイサス ”
魔法師団長でクレイサス公爵の息子。
グレーの短髪で黒い瞳。
アリシアより2歳上16歳。クリスお兄様と同じ年。
イタズラ好きで楽しいことが大好き。
明るくムードメーカー的存在。
父親が魔法師団長なだけあって、息子のイシードも最強レベルの魔法を使う。母親も魔力が高く、若い頃は魔女と呼ばれ恐れられていた。
魔法研究を趣味としていて、怪しい魔法を使って何かしていたような……特殊魔法を使う王太子に憧れ尊敬している。
側近として仕えている。
歳の離れた弟がいて、とても可愛がっている。
魔法属性は火と水と風と土。
四種類全ての属性を最上級レベルで操る。
〈五人目の攻略者は文部長官子息〉
“ エリック・ベアトリクス ”
文部長官でベアトリクス公爵の息子。
グリーンの長髪を後ろで束ね黒淵眼鏡に灰色の瞳。
アリシアと同い歳の14歳。
頭脳明晰。博学多才。
真面目で無表情。
三度の飯より本が好き。
人との関わりが苦手。
魔力は強くないが、持ち前の知識で王太子をサポートし側近として仕えている。
隠れキャラは誰なのか、慎重に見極めることにした。
今のところ誰なのかわからない人物にあれやこれやと予想し考えるのを止めた。
そして、忘れてはいけない人物。
“七色の髪を持つ君に……”の裏ヒロイン……
“ アモーレ・ピアニシモ ”
ピンクのふわふわの髪にピンクの瞳。
アリシアと同い歳の14歳。
可愛らしい見た目に愛らしい仕草。
これぞ!王道ヒロイン!って感じの女の子。
男爵の妻が事故で亡くなり、後妻の愛人の連れ子。
魔法は貴族しか使えないから男爵の本当の子供では無い。
魅力の力を使うことができる。
母親から魔法の石をもらい、持ち歩くことによって周りの男性を陥落させていく。魔石の力のことは、母親から貰った高価な宝石だと思っていてブローチにして常に胸元につけている。
周りからちやほやされ過ぎて自分のこと聖女だと思っているちょっと痛い娘……
隣国から留学してきた王女に対しライバル心を持っていた。
隣国の王女の立ち位置は、王妃陛下に次ぎ貴族夫人、貴族令嬢の世界で実質No.2。
権力と財産を持ち、類い稀な美しさを兼ね備えたアリシアが羨ましく憎悪、妬みの対象となっていた。
謂われもない罪を捏造し、周りを魅力の力で操る悪女。
彼女のせいでアリシアは処刑される。
でもね。納得いかないのは王女と男爵令嬢では、身分に雲泥の差があるのよ。いくら学園の中では身分は関係ないと定められていたとしても、隣国からの高貴なお客様?に対して正確な調査もせずに、男爵令嬢の訴えだけを信じて、即処刑っていくらなんでもあり得ない。
設定雑すぎでしょ……
今回はエメラドーナ国王女、アリシア・エメラドーナとして王立学園には通わない。
ドラゴンレアール国、唯一の公爵令嬢として通うようになるとどのようにシナリオが変わっていくのだろうか。
しかしながら、突如現れた敬われるべき存在のアリシアに対し、アモーレはライバル心を剥き出しにしてくるでしょうね。
王太子の婚約者という、令嬢憧れのポジションも追加されているしね………
アモーレがどの攻略対象者を選んでも処刑は免れることはできない。
攻略対象者もそれなりに能力高いんだから、あんな小娘にいいように操られるなよー!!
国も学園関係者も騙されちゃ駄目だよー!!と声を大にして言いたい。それほど魔石は強力なものなのかもしれないけど……
……ちょっと思ったんだけど、アリシアの無効化の能力で魅力の力(魔石の力)を解除すればいいのではない?いくら強い魔法、魔石であってもアリシアに無効化出来ないものはない!
ゲーム内では使えなかった全ての魔法も最上級レベルで今は使える!
アモーレと出会ったら、即、無効化を発動すれば……
アモーレの魔石はただの石ころ!
攻略対象者及び学園の人達や貴族、市民は魅力の力の影響を受けることなく、皆、正常な状態でいられるんじゃない?
おっ!こりゃ名案!!
アリシア、初のバッドエンド回避かも!!
でも、ゲームの強制力の不安が残るから、アモーレと二人になったりはしないように気を付けて行動しなくちゃ。
『アリシア様、止めてください!意地悪しないで!』
『アリシア様が私のドレスを破ったんです。パーティーやお茶会に参加できないようにするんです!』
『アリシア様に階段から突き落とされました!』たまたま通りかかったら何故か階段の下に倒れていた彼女を突き落とした犯人にされたなんてこともあった。
『アリシア様に毒を盛られました!』食堂で無理やり隣に座ってきて、突然むせ混んだかとおもえば、騒ぎ出したりとか……
『平民上がりのくせに生意気な!近付くな!とアリシア様が酷いことをおっしゃるんです。』と泣き出したり……等々……
純粋で大人しいアリシアちゃんはアモーレに悪役令嬢に仕立てあげられ、悪女ヨロシク……させられていたわけなんですよね……
周りの貴族子息や令嬢は魅力の力で彼女の味方だったしアリシアを庇ってくれるのはクリスお兄様とパパ、公爵家の人間しかいなかった。
光魔法は特別な力だから、外では極力使うなと言われていた。
その言い付けをしっかりと守っていたことで防ぐことが出来なかったなんて可哀想すぎる。
アリシアちゃんは純粋無垢な女の子なんだもの。
どの選択を選んでも、否定しても疑われてしまうなんて赦されることではない!!
でも、私は違う!攻略対象者との出会いからイベントなど、話の流れはだいたいわかっている。忘れる前に全部メモっていた!
アモーレ対策も多分……出来る!!いける!!
疑い深い現代社会からやって来た純粋の“純”すらない現代年齢30代のおばさ……いやお姉さんをなめるなよ!あんな小娘にいいようにはめられてなるもんですか!
自分の身も、お兄様達の命も巻き込まれた人達の命も守るしかない。
まずは、年明けにある社交界デビュー舞踏会だな。
イベントには入っていなかったし、そもそも、アリシアは社交界デビューには出席していなかった。
まぁ、目立たぬように、“さーっ”と出席して、“さーっ”と帰ってきましょう。何かに巻き込まれるかもしれない前に…………ね!
《さてと、パパとお兄様に会いにいこう!わがまま言って困らせたことちゃんと謝らまらなくっちゃね☆☆》




