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 アリシアは逃げるように自室へ戻り、布団の上にうつぶせになり泣いていた。


 《学園に通うようになったら……攻略対象者たちや裏ヒロインと100パーセント顔を合わせてしまう。訳も分からずバッドエンドに進むのだろうと予想できちゃうよね……》

 《それに私がバッドエンドになったらお兄様達も死んじゃうかもしれないんだよ……》



 お兄様達はアリシアが殺された後、愛する妹の死について調べる。謂れもない理由で罪を着せられ高位貴族連中に殺されたのだと知りお兄様達の怒りが収まらず。

 エメラドーナ国とドラゴンレアール国が対立が始まる。そして、戦争に突入………

 クリスお兄様が筆頭公爵家、宰相という立場であるにも関わらず、エメラドーナ国のアルお兄様の方に秘密裏に支援し、情報操作によりドラゴンレアール内部の壊滅を企てる。

 

 しかし、クリスお兄様がアリシアの実の兄であり、敵国エメラドーナ国第2王子であることが露見する。ドラゴンレアール国王(現在の王太子)が信頼していた側近で長年の友の裏切りに激怒し、クリスお兄様は宰相の役職と公爵位を剥奪される。

 グランツ公爵家もお取り潰しとなり、国王自らお兄様を処刑し、公爵家に関わる人間も残酷な方法で皆殺しにした。

 クリスお兄様を失ったエメラドーナ国は、国ドラゴンレアールには勝てる訳がない。最後は呆気なく敗北を迎える。

 エメラドーナ国王のアルお兄様は公開処刑。 

 遺体も広場に放置され動物の餌にされてしまうのである。

 


 ゲームの中では、ドラゴンレアール国王(王太子)の後ろ姿とシルエットしか出てこなかった。さらさらの銀色の髪に短髪、瞳は黒色で宝石眼を持っているらしい。

 目で人を殺すのではないかというぐらい、鋭く冷やかな目付き……ということだけで容姿はわからない。どんな顔をしているのか全くわからず。

 罪を犯した者、謀反を企てた者、女、子供にも容赦ない男で、処刑一択……自身の妻、王妃の不貞を疑い始末したというエピソードもあった。

 誰もが恐怖する血も涙もない冷徹国王であった。

 


 《こんなに恐ろしい人と関わりをもったら、出会った瞬間……婚約した瞬間……人生終わるな……私……》


 《そんな男と婚約するなんて……絶対にイヤ!》

 


 最近まで王太子は他国に留学していて、公の場に姿を現したことがないらしい。今年に入ってから帰国し様々な公務を始められているとマドラス侯爵が講義で話をしていた。数名の側近だけを側に置き公務も完璧にこなし、剣の腕も魔法能力も最強と言われている。

 


 ““ 完璧冷徹最強王太子 ””

 と街の人達が言っていたよ……



 そもそも、メインキャラではなかったし、攻略対象者でもなかった。 王太子が隠れキャラの可能性は大だったけど……

 もし、王太子が隠れキャラだった場合、アリシアのグッドエンド突入もあるかもしれないが……アリシアの目指す自由の先“光の森”に行けるかもしれない。

 ただ、王太子が隠れキャラであると確定したわけではないしなぁ。

 まぁ、確かに七髪コミュニティの間で王太子かも!と盛り上がっていたからどんな容姿なのか興味はあるし、ものすご~く見てみたいとこちらに来たときから楽しみにしていたんだけど……

 めちゃくちゃ恐い人ってわかっていたし……影でこっそり見よう、観察しよう位の程度で満足だし、関わりを持ったり、近寄ったりは絶対にしなくてよい避けたい存在であった。


 隠れキャラのポジションといったら、街であったレオの方がしっくりする気がする。特別な力を持っていると言っていたし……すごく優しくて素敵イケメンだった。

 

  

 ゲーム内でアリシアと王太子は関わりは一切なかった。

 攻略対象者とはエピソード的なところで関わりがあり何度かでてきていたのは覚えている。出会いも一切なかったし……もちろん婚約の話もない。アリシアが裁きを受けるときも姿はなかった。

 

 アリシアは学園には隣国王女で留学するはずだったのが………素性を隠し公爵令嬢?として通うみたいだし……


 何かが少しずつ変わってきているように感じる。

 




   ““ トントントン ””


 『アリシア……?入るよ……』


 クリスお兄様がアリシアの部屋にやってきたようだ。涙は止まり、色々と冷静になっていたのだが、こんなにぐちゃぐちゃな状態では会えないと思い、アリシアは布団の中に潜り込み丸くなる。

 


 「………………………。」



 『アリィ…………ごめんね。そのまま聞いて……アリィがこんなにも怒るとは思わなかったんだ。エメラドーナ国に帰るにはまだ危険であったし、デビュタントの年齢を迎えるアリィに素敵な経験をさせてあげたかったし……

 何より僕がアリィともう少し一緒にいたかったんだ。王太子殿下との婚約もはじめは反対したんだ。嘘じゃないよ。

 でもね、王太子殿下の強さは世界一だと聞いて考えが変わった。全ての能力が著しく高く、寡黙で誠実な方だと父上から教えてもらった。

 いずれ父上の跡を継ぎ、僕はこの国の宰相、筆頭公爵として次期国王陛下に仕えることになる。いつかはアリィもお嫁にいってしまうよね。

 アリィがドラゴンレアール王妃となれば、会いたい時に逢えるだろうし、側でアリィの力になれるのではないかと夢を抱いてしまったんだよ。

 アリィを守るためには王太子殿下が最善の相手であると思ったんだ。

 でも、大事なことを本人に内緒で進めたりしたら嫌な思いをしてしまうよね。本当にごめん……。』


 そう言い残し、アリシアの部屋を立ち去った。



 クリスお兄様の話を聞いて、アリシアのことを思って決めてくれたのだと理解することが出来た。もちろん、カルイドパパも同じなのだろう。


 

 頭の中はこんがらがっている。考えなくてはならないことが多くあるのだが、いつものなんとかなるなる!

 ついついお気楽な部分が出てしまい……沢山泣いたことで疲れもたまっていたのでしょう……

 そのまま朝までぐーすか、気持ちよく寝てしまうアリシアだった。

 

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