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『アリィ!アリィ!!ア・リ・シ・ア!!』
「ん??クリスお兄様?あっ。おはようございます。」
『おはようって……もうお昼前だよ!どうしたの?ボーッとして……今日はいつもより帰りが遅かったみたいだけど……何かあったの?部屋に行ったら、精霊達はいるのにアリィの姿がみえなくて、とても心配していたんだよ。』
《みんな戻っていたんだ。良かった~。》
『もう!アリィ!ボーッとしないで!』
「はい……実はとても素敵なお友達が出来ました!」
『お友達?だから遅かったの?そのお友達と時間を忘れるまで話をしていたの?その“ 娘 ”はいい子なんだね。』
「はい。」
とアリシアは笑顔でうなずく。
クリスお兄様もニコリと微笑む。
『父上がアリシアに話したいことがあるようだから、三人で夕食を一緒にとろうと伝えにきたんだよ。だから、今日はどこにも出掛けないでね。』
「わかりました。私もお話があったので……」
『父上に言っておくよ!午後からは少し休むといいよ。ほら!目のくまが凄いことになっているよ。また寝ないで朝まで作品を作っていたんでしょう。アリィ、また後でね。』
クリスお兄様がアリシアの目のくまを優しく撫でて部屋を後にする。
アリシアの部屋に隣接された妖精達の部屋へ行く。
みんなの様子を確認しようと扉を開けると勢いよく側にやってきた。
「みんな何でお店からいなくなっちゃたの?レオに紹介したかったのにー!」
妖精達は首をかしげつぶらな瞳でアリシアを見つめる。
「でも無事に帰っていたのならいいっか!」
クリスお兄様に言われた通り、昼食後に自室のベッドで休んだ。
『アリィ、ゆっくり休んめた?迎えにきたよ。』
クリスお兄様が迎えに来て、エスコートを受けながらカルイドパパのいるダイニング・ルームへ。
『やぁ。二人共来たね。食事にしようか。』
何気ない会話をしながら食事を進める。甘い薫りの紅茶と本日のデザートの木苺とチーズのケーキが運ばれてくる。
『クリス、アリシア。君たちの社交界デビューについて話しておかなければならない。』
『はい、父上。』
「は………はい?!」
《えっ……パパ……今なんて言ったの??………》
《社交界……デビュー?…………?》
《クリスお兄様だけの話よね……まさか私も?》
《嘘でしょ……違う……よね。》
アリシアは予想外の話に突っ込むことも反応することも出来ず固まってしまった。頭の中をフル回転させ考えるが……訳がわからない。アリシアが固まっている間にどんどん話は進んでいく。
『そろそろ、年始めの舞踏会の準備を始めなくてはならない時期がやってきた。クリスは昨年からしっかり準備をしてきたから説明をしなくてもわかるね。』
『はい。滞りなく準備が出来ております。』
『アリシアの準備だか、姉上と綿密な相談をして進めていたんだ。参加の有無を国王陛下にお伺いを立てていたのだが、先日、正式に出席の許可を戴いた。本来なら、この国の貴族位のある子息、令嬢の出席しか認められていないが、アリシアの状況を踏まえて特例として許可をして戴いたのだから、感謝をしなければならないよ。』
『王妃陛下からはアリシアへのお祝いとしてドレス一式を贈って下さるとあった。姉上と王妃陛下は幼馴染みという関係であり、特に アリシアのことを実の娘のように、気に掛けてくださっていたんだ。舞踏会でアリシアに会えることをとても楽しみにしていたよ。 他の準備も全て整っているから心配はない。』
《嘘でしょ……誰か夢だって言ってー……》
『最終的な準備の打ち合わせを、明日から行うこととなっている。王宮より王妃陛下に仕えている侍女頭が来て指導にあたるよう手配してある。明日よりしっかり励みなさい。いいねアリシア。』
「…………………………。」
「えっと…………その……こちらでデビューとなると私はエメラドーナにはいつ戻れるのですか……」
「成人するにあたり、母国に帰りたいと思っていたのです。4年もお父様、お母様、アルお兄様にお会いしていませんし、国に帰り、自分の成すべきことをしなければならないと考えていました。今日はその……帰国の話を相談したったのです。」
「正直言うと、社交界デビューの舞踏会には出席したくありません……国に帰りたいです……。」
イヤイヤイヤ……
ドラゴンレアール国で社交界デビューしたら、私……死んじゃうよ……目立つことはしたくないし。帰りたい……舞踏会となると、嫌でも攻略対象者と顔を合わす確率高くなっちゃうし……流石にそれはまずいわけよ……
『アリシアの気持ちもわかるよ。まだ幼いのに両親や生まれ育った国から知らない国に来て生活をしなければならなかった辛さや淋しさ。でもね、今回ばかりはアリシアの望みは叶えてあげられない。』
『アリシアのデビューはエメラドーナ国王陛下とドラゴンレアール国王陛下の二国間協議により決まったことなんだ。今さら我が儘を言って、覆すことの出来ない事柄だ。』
『これはまだ時期的に言うべきではないと考えていたのだが、アリシアの社交界デビュー後に、ドラゴンレアール国王太子殿下と婚約を発表する。
エメラドーナ国王陛下・王妃陛下、そして、ドラゴンレアール国王陛下・王妃陛下が決められた縁組みであるのだから正式なものである。』
『今はまだ、アリシアがエメラドーナ国の王女だということを隠しておかなければならない事情もある。アリシアの身の安全を一番に考え、これが最善なんだ。わかっておくれ。』
『それに王太子殿下は真面目で素晴らしい方だ。アリシアも気に入るだろう。こちらの王立学園に通いながら、王太子殿下との仲を深めていくといい。』
「婚約……王太子?……縁組み……なんで?王立学園っ……?何を言っているの?なんでなの……」
「クリスお兄様は知っていたの?」
クリスはアリシアから目を反らす。
「嘘……お兄様まで……知って…………エメラドーナに帰りたい…………嫌……絶対イヤ……婚約なんてしたくない!」
自分の死亡フラグがいつの間にか立っていたこと……
誰一人、大事なことを教えてくれず、自分の知らない所
でアリシアの人生を勝手に決められていたこと……
もう、何を言っても覆ることはないと心の中でわかっていても納得はいかない。悔しい……死にたくない……
突然の出来事に理解が出来ず、アリシアは泣きながらダイニング・ルームを飛び出していた。




