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「それはよかったわね!!」
アリシアはレオの傍に駆け寄り、両手を合わせ上下にブンブンブン……と喜びを表す。
レオは穏やかな表情を浮かべアリシアを抱き締める。レオに抱き締められるのはこれで二度目。これが彼のスキンシップの仕方なのだと理解した。
《レオは人との距離が近い人なんだね。》
座わったままアリシアの腰の辺りに回したレオの腕にぎっと力が入るのを感じた。
《今まで、一人で死ぬかもしれない恐怖や不安と戦っていたんだから気持ちをすぐに切り替えられないよね。誰かに甘えたくなるのわかる気がするわ。》
アリシアの目の前にあるレオの頭を優しくなでなでしてあげる。
《おー!サラサラヘアー!こりゃたまらん!!》
レオの髪の触り心地は最上級。
《この触り心地はうちの可愛い精霊ちゃん達のようだわあれ?そう言えばみんなの姿が見えない……何処に行ってしまったのかしら??》
キョロキョロと辺りを見渡しても精霊達の姿も気配も感じられない。いつもアリシアの行くところには必ずついてきているのにいない。少しでも離れると嫌がるのに……
隣のアトリエにいるのだろうか?お店の中にいるのだろうか?精霊達はどこにいったの?
「ねぇ、レオ……」
レオは一向に腕を緩める気配はない。
「レオ??もうそろそろ落ち着いた?」
うなずき、名残惜しそうにそっとアリシアを解放。
そろそろ帰らなくちゃならない時間だし、レオにも癒しのモフモフちゃんを紹介したいし……でもご飯が途中だったよ。
食べてから精霊達を探しに行こうかな。アリシアは自分の席に座り、再び食事を開始する。
『それじゃあ。次はリアのことを聞かせて。』
レオは満面の笑みで問う……
「「 へっっ?!?? ……えっ。わ……私のこと……?」
『そう。リアのこと……リアの不思議な力や君がどこの家紋の娘なのか。教えて、リア。』
「いやいや……どこの娘って…………私はただの雑貨屋の店長だよ。」
『ふーん。………じゃあ、君の歳は?』
「13よ。もうすぐ14歳の誕生日を迎えるわ。」
『……えっ……13?……僕の6つも下……成人前……………(ウソだろ………)』
《“ウソだろ”って心の声きこえちゃってるよ……》
「そう。私はまだ成人前よ。まぁ、確かに見た目が派手だから実年齢よりも老けて見られることが多いけどさ……」
「いったいレオは私のこと何歳だと思っていたのよ。」
ぷく~っと頬を膨らませて、小さな抗議。
『……ごめん…………ごめん。僕と同じか、1~2歳下なのかと思っていたよ。』
「初めての人には必ずあなたと同じ風に驚かれるしもう慣れっこよ。」
『まもなく14歳なるのなら、年始めの成人の儀式には参加するんだよね?』
「私は参加出来ないよ。あれは、この国の貴族が出席するものよね。私は違うし、まず参加資格がないからね。」
『じゃあ、その力は?どう説明するの?それ、魔法だよね。貴族だけが魔法を扱えるのは知ってるだろう。』
「……………………………っ……。それはどうしても言えない……」
「……………………。」
「この力のことは誰にも言ってはいけない約束なの。知っているのは家族だけよ……昔この力が現れたとき……この力のことを知った大人や仲の良いお友達も小さな子供まで私を利用しようと近づいてきたの。」
「だから……この国に逃げてきたの。それに、私はこの国の人ではないから……この力が知られればこの国にもいられなくなる。私が14歳に……な………っ」
《ん?んん??…………14歳……?》
《あれ?私、もうすぐ14歳……》
《しまった!忘れていたー!!》
《14歳と言ったら留学の年……
留学と言ったら攻略対象との出会いがあり……
そして……死亡フラグまっしぐら。
訳のわからないままバッドエントへ強制的に進み……》
《“ 死 ”》
《完全にミスった!!こんな大事なことを忘れるなんて……ありえない。自分のアホさ加減に涙出てきちゃうよ……》
しくしくしく………
アリシアはつくづく自分が能天気すぎると反省する。あんなに気を付けていたのに……下唇を噛み、うつむき黙ってしまったのである。
そんなアリシアの姿を見たレオが……
『ごめん、リア。泣かせるつもりはなかったんだよ……もう君の力のことは聞かないから。そうだよね。僕も自分の力のことは秘密にしなければならない身だから、君の気持ちはよくわかるよ。ごめんね……だから泣かないで。』
今度はレオがアリシアの傍に来て、頭をなでなでしている。
《いや~泣いてはいないんだけど…………ね。まぁ、これで誤魔化せたんならいいかな☆☆》
《まずはエメラドーナに戻らないと……今日帰ったらパパとクリスお兄様に言わなくちゃね。私がエメラドーナに帰っても、このお店には転移魔法を使えば来られるから何にも変わらないし、王立学園に行かなければ、攻略対象とも会わずに済むし……》
《うん!なんとかなるかな~!》
アリシアは頭を撫で続けるレオに最高の笑みを向ける。
このままアリシアの思い描くように進めばいいのだが、なかなか上手くいくわけないと思い知るのはもう少し先のことなのである……




