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アリシアは一瞬意識が飛んでいた……
《ふぅ~アブナイ……》
《イケメンの破壊力……凄すぎだわ。》
『大丈夫?驚かせてごめん……』
その言葉で飛び起きる。
「お兄さんこそもう大丈夫?いところない?苦しいところはない?」
アリシアはお兄さんの顔や体をペタペタと触り、大丈夫かどうかを確認する。昨日は凄く辛そうにしていた。そんな姿を見てしまったもんだから心配してしまう。
『……あぁ……大丈夫……。』
お兄さんの顔が赤いような気がする。
「顔が赤いわ!熱……熱があるのかも。」
アリシアはお兄さんの額に自分の手を当て熱があるのか確認する。
『いや……これは……熱はないと思うよ……』
《《 ???本当に大丈夫?? 》》
首を傾げてお兄さんを見つめる。
『………君のおかけで良くなったみたいだよ。こんなに熟睡できたのは久し振りなんだ。それにとても体も軽い!本当にありがとう!!』
『えっと……君は……』
「私はリアよ!よろしくね、お兄さん☆」
『僕はレオだ。リアのおかけで助かったよ!リアはその……不思議な力があるんだね……』
「うん……」
「………………………………。」
「とりあえず……お湯を沸かしておいたからお風呂に
入ってスッキリしてきて!食事をしながら、ゆっくりお話をしましょう!」
まずい光魔法のことばれちゃう……どうしよ……なんとか話題を変える……どうしたらいいの……アリシアは内心焦りながらこの力をどのように説明するべきなのか。それともどう誤魔化すか……
冷静になる時間を得るためにも、レオにはお風呂行ってもらっちゃおう。少し落ち着いて考えなくてはならないな。
お店の新商品、癒しの入浴剤をバスタブに入れる。お湯の色がエメラルドグリーンに変わっていく。
『……!?……この粉はな……なんだい?』
レオはもの凄く驚いている。
こちらの国は香り高い花を湯船に浮かべ入浴することがあっても、粉を入れるなんて見たことも、聞いたこともないのだろう。
「これはね!うちの新商品なの!疲れを和らげる効果があるのよ!さぁ、騙されたと思って入ってみてね!」
アリシアは得意気に言う。
「あとこれ、レオのサイズで作ってみたの。」
白のYシャツに黒いズボンを渡す。
今着ている服と同じようなデザインで、昨日の夜に作っておいたのだ。沢山の汗をかいていたし着替えが必要かなって思って……白のYシャツには派手すぎない刺繍がしてある。
『リアが作ったの?凄いなぁ。』
「ふふふ♪さぁレオ。ゆっくり汗を流してきてね!」
レオを風呂へ送り出し、アリシアは朝食の準備の為に台所へ行き、鍋に火をかけ、野菜を洗う。
《困ったなぁ。この力のこと話す訳にもいかないし。どうしようかなぁ……どうしよう……》
黙々と朝食の準備をしながら悩んでいるアリシア。
レオは魔法について知識がある?
わからない程度の私の治癒魔法を感知するって……
レオ自身も魔法を使える……?
そうだとしたら、かなりの使い手だと思う。
魔法を使えるってことは……貴族ってことでしょ?あの雰囲気に話し方、一つ一つの動作に無駄がなく美しかった。マナーも完璧。身に付けているものもよい品ばかりだったし……服の素材は世に出回っていない一等品であった。
それにあの顔面偏差値の高さ……ただ者ではない。高位貴族であると推測できる。悪い人ではないと思うけど、レオのこと全くなんにも知らないし……
《それに、昨日みてしまった……あれ…………》
《………………………………………。》
《うーん…………何とな~くで力のことは濁すしかないかな。まずはレオのこと聞くのが先だな。…………………………………………………。》
『リア、上がったよ。とても気持ちが良かった!あの粉……入浴剤?凄い効果だね。危なく風呂で寝てしまうところだったよ!』
「色々な種類があるからあとでお土産にあげるね!それじゃあ、ご飯にしましょう!」
商品を誉められ上機嫌のアリシアはレオの方を振り返る。
《おー!!似合う!!やっぱりステキ!超絶イケメンには白シャツが萌え~☆だよね!》
焼きたてのパンに新鮮なサラダ。
栄養満点のごろごろ野菜のスープ。
ふわふわオムレツにベーコンを添えて。
デザートのフルーツヨーグルトとフレッシュジュース。
それらをテーブルに素早く並べていく。
『「いただきまーす♪」』
しばらくは食事に集中していたのだが……やはり気になる……
「ねぇレオ?聞いてもいい?」
『あぁ。いいよ。』
「その……あなたは病気なの?」
「昨日は死んでしまうのではないかと思うぐらい辛そうにしていたよね。胸の辺りを抑え苦しんでいたから……服を……服のボタンを緩めた時に……その……………」
「……………見てしまったのよ。」
「あなたのそれは…………その痣はいったいなに?きっと、その蛇?竜?のような痣がレオを苦しめている原因なんじゃないかって……思えて……その痣を見たとき嫌な感じがして怖かった。」
「私は不思議な力で色々な人を元気にさせてきたけど、今までに治せない人はいなかったわ。でも…………何度あなたに力を注いでもレオの痣は消えることはなかった……」
アリシアはレオの顔を見られなかった……
『そうか。これをみてしまったんだね。』
レオは白シャツのボタンを外し、胸の辺りにある“ 痣 ”をアリシアに見せてくれた。
『これは呪いのようなものだよ。産まれたときからこの痣があるんだ。先祖帰りって聞いたことない?』
アリシアはじっとレオの痣をみてゆっくりうなずく。
『僕の家系には、先祖代々引き継がれている不思議な“力”があるんだ。僕の家系の人間は微量ながらその力を受け継いでいて特別な力を持っている。だが……僕には初代が持っていたと云われるほどの、大きな力を受け継いでしまったみたいなんだよ。』
『その印がこの胸の痣。』
『この印は僕の心臓と繋がっていて、成人を迎えた辺りからその力が増幅し、発現が始まるんだ。力をコントロール出来ずに今回みたいなことが、繰り返され、もう四年もこの状態が続いているんだ。』
『家系の人間は20歳が近付くにつれて力が定着し安定する。しかし、僕には安定するどころか治まる気配が全くないんだ……この力を治める方法を見つけられなければいずれ……僕の体も精神も崩壊し、世界を巻き込み滅びてしまうだろう……と言い伝えられているんだ。』
「その方法がわからないの……?」
『そうだね。特別な力は護らなければならないから、なかなか難しくてね。文献の中に記されていたのは、ただの一文だけだったよ……』
『世界に唯一の “者” を見つけられればいい……ってね。』
「その言い伝えの唯一の “物” は見つからないの?」
『いや……見つけられたかもしれないんだ。』
レオは首を横に振り真剣な面持ちでこたえる。
「本当に?レオは死なない?」
レオは『あぁ。』と笑顔でうなずく。
「それはよかったね!」
アリシアはレオが助かると知って安心し喜んだ。この時は、自分が関係しているとは思ってもいない……のであった………




