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………補足………
・“ルー” =火の精霊王
・“アクア” =水の精霊王
ドラゴンレアール国に来てからまもなく4年。
アリシアは14歳になっていた。
アリシアのお店も人気店に仲間入り。特に女性から絶大な人気で、アリシアの商品を身に付けると幸せになれると有名だった。
最近は男性の客もちらほら……
想いを寄せる女性にプレゼントすると必ず成功すると恋愛成就のお店としても人気なのである。営業している日は月に数えるほどしかないのだが、営業日には行列ができている。
小さいカラフルなモフモフの動物達を愛でる目的の子供達。
美少女店長目的で来るちょっと怪しい男性客……
アリシアの商品を求めて来てくれる常連さんもいっぱいいる。同い年ぐらいのお友達もたくさん出来たのだ。
アリシアは毎日、忙しいながらも今の生活が幸せでドラゴンレアール王立学園に14歳で入学?留学?回避の為に、エメラドーナ国に帰国しなければならないということをすっかり忘れていたのである。
カルイドパパとクリスお兄様が華々しい社交界デビューの準備を進めていることに全く気付いていなかった。ちなみに、クリスお兄様もアリシアと一緒にデビューしたいと王立学園に通う年を遅らせていたのである。
そんなこととは露知らず……
アリシアはいつものようにお店のアトリエに転移する為に魔法を使う。いくら方向音痴のアリシアであっても、4年も経てばドラゴンレアール国内を知り尽くし、何処にでも転移可能となっていた。
今日は材料を仕入れにいく日。街中にある大きな手芸屋さんに行き、昼食、夕食の食材を買いに行くことにしていた。
ここ最近はマナーなどの勉強はなく、丸1日空くことが多くなっていた。
もう一通り学び終わったのと、何やらマドラス侯爵家の息子達夫婦に次々と子供が産まれるとかなんとか……色々と忙しいらしい……
クリスお兄様とカルイドパパもお仕事が忙しく、午前の挨拶でチラッと顔を合わせるだけとなっていた。クリスお兄様も社交界デビュー後に小公爵として立派に務められるようにカルイドパパの仕事のサポートを懸命にこなしている。
そもそも居候のアリシアには社交界デビューは関係のない話だと思っているので “ お兄様ファイト!”と陰ながら応援している。
頑張っているお兄様の邪魔にならないようにと、アリシアは店のアトリエで過ごし、商品作りに精を出す日々を送っている。
翌日のお昼前まで帰れば何ら問題はない。お泊まりをして帰っても守護魔法ばっちりのお店の中は安全だし、何より、アリシアには最強の精霊王さま達がついている。
だからお店に行くときは護衛も侍女もつかない。
““ 明日の朝ごはんはいりませ~ん!””
と言ってきているので、お一人様時間をのんびり、ゆっくり過ごすことが可能なのだ。
「今日は荷物が多くなりそうだから……ルーちゃんとアクアちゃんを連れていこうかな……」
ルーとアクアをアリシアのお手製ポシェットに入れてあげようとしたら……お留守番の子達が悲しそうに瞳をうるうるさせてアリシアを見つめている。
“どうしてお留守番なの……”とアリシアの足にすりすり……
「そんな可愛いことしないでよー。わかった!みんなを連れていくから……」
嬉しそうに勢いよくアリシアのポシェットに入ってくる。ポシェットは精霊達でぎゅうぎゅう詰めになっていて、今にもはち切れそうな状態である……
「みんなお願い!小さくなってー!!」
アリシアの願い通りの極小サイズに変わり、顔だけちょこんと七つ出しニコニコし満足そうな顔をしている。
《めちゃくちゃ可愛い♡》
「「さぁ!みんなでお買い物に出発しましょう♪」」
お店の裏口から出て手芸屋さんを目指す。
『リアちゃん、今日はお買い物かい?』
『リアちゃん、お店はお休みなのかい?』
『どこへいくんだい?』
『今日もリアちゃんはたのしそうだね!』
『今日はお肉が安いよ!買っていかないかい?』
『サービスするよ!』
『新作のお菓子だよ。たべてみて!』
『一緒にお茶しないかい?』
『あっ!リアお姉ちゃんとワンちゃん!!』
『一緒に遊ぼう!』
などと……途中、仲良しのおじさん、おばさん、お兄さん、お姉さんや子供達に声を掛けられ談笑する。
ここでは “ リア ”と呼ばれている。
この4年で街中のみんなが娘のように姉妹のようにお友達のように可愛がってくれる。アリシアはこの時間がとても好きで大事にしている。
気が付けばお昼近くになっていた。行く先々でつまみ食いをしていたらお腹がいっぱい。お昼ご飯は要らないなぁと考えながら歩いていると……ようやく手芸屋に到着した。
アリシアのお店から10分位の所にあるのだが……寄り道しすぎて、ざっと二時間経っていた。
お目当ての布と装飾品を買い魔法のポケットにしまう。
《まるで、ド〇〇もんのポケットだね!》
クスっと笑ってしまう。
さぁ帰りは素早く帰ろうと思うがやはり行きと同じく街のみんなと駄弁ってしまったのである………
女神の噴水を通り過ぎようとしたら、顔色が悪く今にも倒れそうなお兄さんがいることに気付いた。
「お兄さん大丈夫??どこか具合が悪いの?私のお店がすぐそこにあるから少し休んでいって。」
アリシアは心配になり噴水の縁に座る黒いフードを被っているお兄さんに声を掛ける。アリシアは地面に膝をつきお兄さんの顔を覗き込んで状態を確認する。
お兄さんはとても苦しそうに顔を歪め、嫌な汗がでている。今にも意識を失いそうにしていた。
アリシアは黒いフードのお兄さんの手に自分の手をかざし微量の癒し魔法を流してあげる。街のみんなに魔法が使えることがバレてはいけないし、お兄さんにもわからないように少しずつ……
少しずつ……治癒魔法を施していく。
一瞬、驚いた顔をしてアリシアをじっと見つめたのち、ガクンとお兄さんは意識を失ってしまった。
アリシアは黒いフードのお兄さんの体を支えながら、風魔法を使いお店の中へ運びベッドに横にさせた。
《あれ?このお兄さん会ったことあるよね?どこで会ったんだっけ??》
お兄さんの着ていた黒いフードを脱がし改めて顔を確認する。しかし、先程より更に顔色が悪く呼吸も荒く苦しそうである。胸を抑えうなされている。
「大変。早く治療してあげないと!」
お兄さんの手とアリシアの手を繋ぐ。強めの治癒魔法を流していく。しばらくすると、お兄さんの頬が桃色に変わっていく。呼吸も安定し穏やかな表情に変わり、すやすやと寝息をたてている。
《もう大丈夫みたいね。良かった!このまま休ませてあげよう。》
ポシェットに入っていた精霊たちはいつの間にか元の姿に戻っていて、心配そうにお兄さんの様子を伺っている。
「みんな。お兄さんの傍にいてあげてね。」
アリシアがそう言うと精霊たちはお兄さんを守るように寄り添ってあげている。
ちょくちょくお兄さんの様子をみながら、商品作りの作業を進めていき、食事を作っておく。お兄さんが目を覚ましたら、栄養のある食事を提供しよう。
お兄さんの眠っているベッドの傍に座り、五度目の治癒魔法を掛けてあげていたら……
手を繋いだままアリシアも眠ってしまっていたのである。精霊たちもお兄さんに力を分けてあげているように体をくっつけ眠っている。
いつの間にか朝日が昇り店の中を明るく照らしている。外から小鳥のさえずりが聴こえてくる。
《…………朝…………?》
ゆっくりと目を開けると……
アリシアの目の前に美しい青年の寝顔があった。
“なぜこのような状態になっているのか。”寝惚け頭で考える。
治癒魔法後、手を繋いだまま眠ってしまい、お兄さんの眠る布団の中に潜り込んでしまっていたようだ。なんたる失態……
お兄さんが目覚める前に、この状態をなんとかしようと……体を起こし繋いでいた手をそっとを離そうとする。
次の瞬間……
繋いでいたアリシアの手を力強く握り、アリシアの体を引き寄せ“ぎゅっ”とお兄さんが抱きしめていた。
「…………!!!…………」
驚きのあまり声が出なかった。イケメン青年に抱き締められアリシアは朝から鼻血ブーしそうです……
『……助けてくれてありがとう。』
と耳元でイケボで囁かれる……
ここ4年。
周りのイケメンはクリスお兄様とカルイドパパのみ。
イケメンに対し免疫が出来ていたはずなのに……
《 OMG!! 》
久しぶりの超絶イケメン降臨にアリシアは頭に血が昇り召されてしまいましたとさ。チャンチャン。




