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アリシアが目を覚まして三日目の朝。アリシアは毎日しくしく泣いていた。
再びバッドエンドの世界に戻って来てしまったこと。
光の森へ行くために部屋を抜け出したのがバレてしまいお父様、お母様、お兄様達に、しこたま怒られたこと。
庭園、神秘の森の周辺が閉鎖されてしまい中へは入れなくなってしまったこと。
せっかく光の森の場所がわかったのに、現実世界では辿り着けていないこと。
抜け出さないようにと交代でお兄様達が常に側を離れず一緒に過ごしていること。
(↑これはかなり嬉しいが、光の森探しが出来ない……)
こんなことがあって、いつまでもめそめそしている。
『アリシア泣かないで……私達だって辛いんだ……』
『父上、母上の命令は絶対なんだ!アリシアを護る為なんだよ!わかって!ね!』
『アリシアの体調が落ち着いたら、神秘の森に行けるように父上達に一緒に交渉してあげるから。ね!アリシアお願いだから泣かないで……元気だして……』
クリスお兄様が困った表情を浮かべて言う。
「 ……………………………………。」
『………わかった!私が何とかする!!アリィの泣いてる顔はもう見たくない!』
クリスお兄様がアリシアを連れ、部屋の扉を開けようとドアノブに手をかけた。その時……
『ダメだよ。クリス。』
アルお兄様が扉を開けアリシアの部屋に入って来た。
『アリシアの体調もまだ回復せず魔力の安定もしていないこの状態で部屋から出ることはできないよ。』
『アリシア……聞いて……今のアリシアは常時魔力が溢れ出ている状態だよ。その状態で外へ出たらどうなると思う?』
「えっ………?」
『魔力の弱い人や魔力のない人は意識を失い、中には命を落とす人もいるだろうね。アリシアが大切に想っている城で働く者たちが、少なからず影響を受けてしまうかもしれないよ。』
『とても危険なんだよ。わかるね?』
『勿論、アリシアの今の体調も心配なんだよ。母上はアリシアの行方がわからなくなってから、食が細くなり、また居なくなってしまうのではないかと眠れない日がずっと続いているんだ……それに、2ヵ月も意識がなかったんだよ…………私もクリスもアリシアがまた、深い眠りに入ってしまったらと思うと…………』
アルお兄様は言葉に詰まり悲しそうな表情を浮かべる。
『それに…………ほら!!!』
アリシアの部屋の窓を勢いよく開ける。
『この子たちも心配してるよ!』
「あっ!!みんな!!!」
窓から七色のふわふわの精霊たちが入ってくる。前は四色のふわふわ、もふもふだったのだが………
《赤……橙……黄……緑……青……藍……紫……》
《セキ・トウ・オウ・リョク・セイ・ラン・シ………》
《七色に増えている?!》
《《虹の色だー!!》》
ふわふわの精霊たちが、アリシアの側に嬉しそうにすり寄ってくる。
『アリシアの髪の色と一緒だね!』
クリスお兄様が優しく微笑む。
「一緒???」
鏡に映った自分の髪の色を確認する。七色に輝く髪の毛に驚く。
《そうか。光魔法が発現したんだ!でも七色に輝くのは魔法を使うときのはず………まだコントロールできていないのか。アルお兄様の言っていた魔力の安定が出来ていないってこのことか……》
…………ふとあることに気付く………
「お兄様達にもこの子たちが見えるのですか……??」
『あぁ見えるよ。魔力の強い者なら見えるだろうね!』
『だが本来、精霊は神聖な森の中から姿を見せることはないんだよ。』
『それに精霊はガラス玉のような小さな姿なんだよ。』
『だからこれは……いやこの方達は精霊ではなく……それを統べる精霊王だろうね。』
「……精霊王……???」
『契約を交わすと本来の姿を現すと言われているよ。』
『精霊王は世界の自然を司る神のような存在だね。』
『各国の神聖な森に精霊達を置き、精霊王の指示の元その国を護っているといわれているよ。その全ての精霊王がアリシアの側にいるということにとても驚いていているんだ!』
『アリシアと契約したいようだよ。』
「契約?お友達なのに??」
『アリシアに欲が無いから側にいたいんだろうね。』
『今はまだ、契約していない状態だから側に居られる時間が限られている。精霊達は森からエネルギーを貰わないと力尽きて消滅してしまうんだよ。』
『アリシアの魔力を少しだけ分けてあげればいい。アリシアからエネルギーを得ることが出来るようになるから森へ行かなくとも大丈夫になるんだ。友達として、ずっと側にいられるはずだよ。』
「ずっと一緒に居られるの?みんなは私と一緒にいたい?」
ふわふわの精霊達に確認すると嬉しそうにアリシアの頬にすりすりしてくる。
「それなら契約する!お友達としてよろしくね!!」
アリシアと精霊王の契約は完了!
今は出来るだけ早く体力の回復と魔力を安定させることに集中しよう。そして、ふわふわちゃん達と光の森で楽しく過ごす日が来ることを目標にする。
可愛くて、最強のお友達をゲットしたアリシア……いつの間にか涙が引っ込み久しぶりに笑顔になれた。
アリシアの魔力も安定したことから、数時間であるなら部屋の外で過ごしても良いと許可がでた。
《あ~気持ちいい!最高!!》
爽やかな風や日光を浴びながら散歩。隣にはアルお兄様!
『アリィ……余所見をしていると危ないよ。』
アルお兄様はあれ以来もの凄く過保護になった。
常にピリピリしていて気を張った状態のお兄様……最近は表情も柔らかくなり、『アリシア』呼びからようやく『アリィ』呼びに戻った。
忙しいだろうに未だにアリシアを監視中……もう大丈夫だよって言っても心配だから外に出るときは必ず側にいてくれる。
クリスお兄様は隣国へ行く準備が忙しい為、最近はアルお兄様が専属監視係になっちゃった……
アリシアは既に……10歳になっていた。
アリシアの誕生を祝うパーティーを盛大にお祝いする予定だったが、誘拐……魔力発現……魔力暴走……意識不明……等々が重なり取り止めになっていた。
更に、アリシアの光魔法保持が国内外に知れ渡り、王国内の高位貴族、近隣諸国の王公貴族から求婚の手紙が大量に届いている。
中にはアリシアに会うために強行手段にでる輩もいる。第2、第3のカーゴが現れるかもしれないと常に周りはピリピリしている……
ちなみに……カーゴとブリュットの処分が決定し執行されていた。
カーゴは処刑……
カーゴの保護者のブルネイ伯爵は辺境の地の領地返還。
整備、開拓にかかる費用は伯爵家持ち。
誘拐された令嬢、村娘たちへの賠償金支払いとなった。
ブリュットは魔法が一切使えない黒の塔と呼ばれる塔に生涯幽閉。
ベルト男爵は爵位を長男に譲り、領地に戻り隠居。今後は政に口を出してはならないと処分が下された。貴族姓を名乗っている実子がしでかしたことなので、父親のベルト男爵は処分を受けなければならなかった。
一方、カーゴは貴族姓を名乗っておらず実子ではない。
ブルネイ伯爵はあくまでもただの保護者。
監督不行き届きで伯爵家としての処分はあっても伯爵本人は処分を受けることはなかった……




