26 【 カーゴside~NO.2~ 】
~カーゴside★NO.2~
のお話です。
しばらくすると怖そうなおばあさんと綺麗な女の人が部屋に入ってきた。前伯爵夫人のおばあ様と伯爵夫人の叔母上のようだ。
『母上、エレン紹介しますね。』
『ミレーヌ姉上の忘れ形見、カーゴです。』
『この子を私の養子として迎えようと考えています。』
『『あっ……あの………こんに…………ち……』』
『だまらっしゃい!お前には発言を許してはいない!』
カーゴに冷ややかな目を向けている。
挨拶をしようとしただけなのに……おばあ様の恐ろしさにカーゴの体が強張る。
『ナジーク!!何をしようとしているのかわかっているのですか。先代の遺言を思い出しなさい!あの子……ミレーヌは家族も家も何もかも捨てて好きな男と暮らすと出ていったのです。
あの時……我、ブルネイ伯爵家が世の中の笑い者にされたのを覚えていないとは言わせません。家紋の名を汚した罪人です。そのような者の子を養子として迎える?孫として迎えろ?……あり得ません。追い出しなさい。』
『ですが……母上……』
『旦那様……私もお義母様のいう通りだと思います。その子の養母にはなりたくありません。あなたは昔からミレーヌ様のお子ばかりを気になさり可愛がってきたではありませんか。
あなたの実の息子たちには常に厳しく教育され、甘えさせることも許さなかったのに……その子を養子に迎え本邸に住まわせると言うのであれば、私はアルフォンスとウィリアムを連れて別の邸宅に移るまでです。旦那様にとってどちらが大切な家族なのですか?よくお考えください。』
『…………エレン……』
『話は終わりです。ナジークよくお聞きなさい。あなたには伯爵としての責任があります。父上亡き後、あなたが家紋を背負い守るのです。伯爵家の務めをしっかりと果たしなさい。わかりましたね。』
『はい。母上……』
おばあ様と叔母上が部屋を後にする。冷たい眼差しは最後まで変わることはなかった。
叔父上はがっくりと肩を落とし、うなだれている。
『すまない……カーゴ……ここに君は置いておくことはできなくなった。領地の外れにある別邸をあげるよ。何もないが、緑豊かでのんびり暮らせるだろう。ブルネイ姓をあげることはできないが、私の甥にはかわりないよ。生活に困らないように手配するからね。許しておくれ……』
話の内容は半分もわからなかったけど、どうやらここで暮らせないようだ。生活に困らないようにしてくれるって言ってるし、あんな怖いおばあさんとおばさんと一緒に暮らしたら震え上がっちまう!!むしろ良かったのかもしれない。
伯爵領の外れにある別邸に連れてこられた。周りは山と森しかない。立派な部屋を与えられ、食事も豪華だし、着替えも風呂も今まで自分でやってきたこと全て侍従や侍女がやってくれる。
護衛も付き自分が高貴な者なのかもしれないと思ってしまう。わがままを言っても許され、何をしても怒られない!貴族の生活は最高だぜ!!
ここで生活をするようになってからまもなく1年が経とうとしていた。
陽当たりの良い庭で侍女たちとお茶をのんでいた時の出来事だった。
『カーゴ様の生い立ちのこときいたか。ずっと貴族の坊っちゃんだと思っていたら違うんだとよ。』
『ブルネイ姓を名乗らせても貰えず、養子にもなれず、大奥様と奥様に忌み嫌われて、何もないこの場所に追いやられたらしいぞ。』
『伯爵様も一度もこちらにみえられないし、仕方なく面倒みてる感じだよな。絶対捨てられたんだなー!』
『あんなに偉そうに我が儘放題してるくせに、本当は貴族でなく、俺らと同じ平民なんだとさ。教育も嫌がって受けてないから字を書いたり読んだり簡単な計算も出来ないらしいぜ。』
『俺らの方が頭いいかもなー!ハハハ!!』
『この間、隣の領地の名産が食べたいと使いに出されたんだけどよ……金貨20枚も渡してきたんだよ!金の価値もわからんおバカさんだよ!あいつは!』
『安い菓子を買って渡したら旨い!旨い!って喜んで食ってやんの。笑えたわ!おつりでーす。ってじゃらじゃらと小銭をやったらこんなにつりが出たのかとはしゃいでたわ。』
『くすねた大金でたっかい酒とつまみをいっぱい買ってみんなでのんでやったよ!自分の身分考えろって感じだよなー。』
『お前は平民なんだよ!って誰か教えてやれよー!あんなのに仕えさせられてる俺ら不憫だよな!!』
数人の侍従や騎士がカーゴの悪口を延々と話していた。自分のことをバカにしている奴らに怒りが込み上げる。馬鹿にしやがって!怒りでからだが燃えるように熱い!!
『『許せない!許せない!!許せない!!!』
その怒りを言葉にした瞬間…………
““!!!ドドーーン!!!””
先ほどまでカーゴのことを笑っていた人たちがその場に意識なく倒れている。その様子を間近でみていた侍女や護衛は恐ろしさのあまり動けず腰を抜かす。たまたま近くにいた使用人は青い顔で逃げていく。
母親ゆずりの能力の高い魔法を発現させたのだった。
それからと言うもの、カーゴは自分に逆らう者や面白くないことがあると、魔法の力で攻撃し、魔法で人の心まで支配するようになる……
周りから丁重に扱われ、褒め称えられる。この別邸にいる使用人たちは、どんなに理不尽な命令であっても文句を言わず動いてくれるようになっていった。
ようやくみんながここの主人と認めてくれたんだ!やっぱり僕は特別な存在なんだよ。平民ではなく高貴な血を持つ者。それが僕!神が天罰を与えろと言っているんだ!いや。僕が神の生まれ変わりなんだ!ハハハハ!
この力があれば世界を手に入れられるかもしれない!
とヤバ~~イ方向に突き進んでいく……
このときは魔法を使える人間が自分の他に、多くいる存在していることを知らないカーゴであった。
さらっとカーゴsideを書こうと思っていたのですが、
キャラが濃すぎて長くなってしまいました(笑)
もう少しお付き合いください!
次はNO.3に続きます。




