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カーゴの生い立ちから今に至るまでのお話です。

 早速、侍女達から話を聞くことにした。侍女ネットワークは侮れない!!


  結論から言うと……カーゴはブルネイ伯爵の子ではなかった。ブルネイ伯爵の姉の子供で甥っ子にあたる。しかし、カーゴの出生に問題がありブルネイ姓は与えられていない。貴族ではなく平民なのである。


 ブルネイ伯爵の姉は、優しく、美しく社交界では人気のご令嬢であったのだが……伯爵家に勤める平民の庭師見習いと恋に落ちてカーゴを身ごもっていることがわかり駆け落ちする。


 前伯爵の父親が怒り狂い、勘当され領地から追放。消息不明だった姉夫婦を心優しい弟のブルネイ伯爵が探し出し、父親に内緒で援助をしていたんだって。

 


 カーゴが産まれ、幸せに暮らしていたのだが、姉夫婦は事故に巻き込まれ亡くなってしまう。幼いカーゴは一人取り残されてしまった……

 前伯爵は引き取ることを拒否。カーゴは貧乏な養護施設で育った。

 

 数年後、カーゴ12歳の時、前伯爵が病でこの世を去ったことにより現ブルネイ伯爵が爵位を継承。

 姉夫婦の忘れ形見を自分の養子に入れようとしたが、前伯爵夫人と伯爵の妻が大反対し養子の件は流れる。

 


 養子に迎えることも本邸にも住まわすことも出来ず、辺境の地にあるとても小さな伯爵領に住まわせることになった。

 平民の子であっても姉の子供に変わりはなく可愛い甥っ子である。

 貴族と同じように生活させようとしたが、周りが許すわけもなく最低限の側仕えや護衛をつけた。

 


 ブルネイ伯爵は爵位を継いだばかりで忙しく、カーゴの教育まで手が回らなかった。その為……我が儘放題、やりたい放題の困ったちゃんに成長してしまった。カーゴはブルネイ伯爵の血の繋がりがある“甥”という事実を盾に好き放題している。



 ある日のこと……

 母親の魔法の能力を引き継いだカーゴは魔法が発現する。扱い方がわからず暴走させてしまう。

 


 ブルネイ伯爵は魔法の制御を学ばせる為に王立学園へ入学させた。

 貴族しか入学が出来ないため、特例で学園に在籍している時のみブルネイ姓を名乗らせたのだが、カーゴの後ろ楯を知った貴族の子息、令嬢達からチヤホヤされ、“  自分は特別な存在である  ”とおかしな思い込みをし学園でも好き放題してしまう。

 優しく、自分を誉め称える美しい令嬢たちも多く近くにいたことから、更に勘違いが悪化……


 “世の中の全ての女性は自分のことを愛してくれる”


 と間違った方向へ進んでいき、今現在……ストーカー変態ロリコン野郎に至る……



 昨年度、学園で大きな問題を起こし退学処分を受けた。

 嫌がる令嬢を手込めにしようとしたり……好きになった令嬢や侍女達を待ち伏せ、追いかけ回すなどのストーカー行為……他の子息と仲良くしていると攻撃し危害を与える等々。


 この学園での出来事を聞いたブルネイ伯爵はさすがに激怒!

 辺境の伯爵領に連れ戻され謹慎させられている。生涯この地から出ることは許されず、軟禁生活を送っているはずなのだが……



 《普通に外にでてるし……王家主催の誕生日舞踏会にもいたし……入れるはずのない王家の庭園にちゃっかりいた……》

 《どういうことなの?》



 辺境の伯爵領の側仕え、侍女、護衛などはカーゴの言うことは絶対なのだそう。無駄に能力の高い魔法を使い追い詰めていく。自分の命令を聞かない者は許さず、魔法で家族を攻撃すると脅しているようだ。

 逆らった者を過去に見せしめとして攻撃魔法で痛めつけ排除したんだって。それからは誰も逆らうことをしなくなったらしい。


 ブルネイ伯爵に報告したくても監視が厳しく、断念せざるを得ないのだとか……



 それから……囲われている女性たちについて……6名の女性がカーゴの愛人として生活をしている。

 日替わりでカーゴとイチャイチャしているとか……朝から晩までうざいほどに……


 彼女たちはいつの間にかカーゴの側に侍り、“大事な人”と紹介され世話を命じられている。

 言動や行動が貴族の令嬢だとわかるのだが心底カーゴに惚れている様子で、同意のもと、ここに滞在しているんだと思っていた。

 

 深く知ろうとすれば罰を受けるため、皆、知らぬ存ぜぬで黙々と過ごしてきた。

 

 婚約者と紹介されたのはアリシアが初めてだった……とのことである。



 一度、その令嬢たちと会わなければならない。すぐに無効化してあげたいけれど、自分の置かれている状況にショックを受け精神崩壊したり、パニックを起こされたりしたらカーゴにバレてしまうだろう。

 そうすると逃げ出すのが難しくなる。そうならない為にも慎重に行動しなければ……

 



 話が一段落し、ふと窓の外を眺めてみる。いつの間にか太陽が高い所まで昇っていた。風に乗りお肉を焼くいい香りがする。

 《お昼ご飯もうすぐか……》

 食べることが大好きなアリシアなのに、食欲が湧かない…………


 …………またあの苦行の時間を迎えるのか思うと吐き気がしてくる……


 《あー……逃げ出したい…………》

 

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