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転生凡人の英雄作成教室【書籍化&コミカライズ化】  作者: 紗沙
真・第8生徒 使命を果たす少女

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469/486

第468話 とある◾️◾️◾️◾️少女の独白

 私--リア・レリーフはシエルエイラ国アーネンベルク領のとある街に生まれた。

 父は剣を扱う熟練の冒険者。母は国の魔法軍の兵士。

 それなりに裕福な家庭で、両親からは沢山の愛をもらった。


 私は幼い頃から、自分を着飾ることに興味があった。

 きっかけは母の姿だったし、街を歩く兵士の女性や冒険者の女性を見て綺麗だと感じたのも理由だろう。

 いつか私も彼女達のようにキラキラしたい。輝いていたい。

 むしろ私ならもっと綺麗になれるはず、可愛くなれるはず。そう思った。


 --◾️◾️◾️◾️と、◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️い


 成長し、私は冒険者の道を進むことに決めた。

 兵士は制服があり、自分が好き好んで服装を弄るのには限界があると知っていたから。

 だから比較的服装の自由度が高い冒険者を選んだ。


 冒険者として、何を武器にするかは悩んだ。

 結果として、メインに魔法を、サブというよりも防御や近接戦用に短剣を選んだ。

 これも魔法使いよりも短剣使いの方が、髪や服装を弄れておしゃれができそうと思ったからだ。

 今にして思うと、私はどこまで自分がおしゃれできるか、つまりキラキラ輝けるかを考えていた。


 --◾️ん◾️◾️と、◾️は◾️◾️う◾️◾️◾️い


 冒険者になってからすぐに、私は自分に才能があることを知った。

 魔法はすぐ覚えることができて、発動もできた。

 短剣の戦技はそこまで好きではなかったけれど、ちょっと使うだけで形になった。


 周りとは明らかに違う、と自分で確信した。

 そしてここまでの強さがあれば、おしゃれの道を突き進めるとも思った。

 この段階で私は冒険者としてパーティを組むことはなくなり、『流れ』として適当なパーティに参加するようになった。


 順調に日々が進んでいた。やりたいことはできていたし、なりたい姿にもなれた。

 それこそ順調すぎて、退屈さを感じていたくらいだ。

 自分のことを天才とまでは言わないけれど、『ああ私って、できる子なんだ』とは思っていた。


 --◾️ん◾️こと、◾️はや◾️うでも◾️い


 エリューさんからスカイグラス学園について聞いたのは、例のメビウスの街での魔物包囲事件のあとだった。

 彼女は私の魔法や短剣を見て、また退屈そうなのを見て、学園を勧めてくれた。

 話を聞いた私は新しい何かが見つけられるかもと思い、シエルエイラ国の西の果てにあるイリアス領エステルの街へと向かった。


『ああ、そうだ。エンディ・スカイグラスだ』


 そしてそこで、彼に出会った。

 スカイグラス学園、学園長、エンディ・スカイグラス。

 私は彼と意気投合し、彼の生徒になることを決めた。


 授業は魔法が大部分。短剣は比較的量を少なめに。

 授業についても二日に一回という配分。それを、エンディ先生は認めてくれた。


 ただそんな風に納得して授業の流れを決めても、私は短剣の授業がどうしても好きになれなかった。

 魔法と違い、短剣の戦技は髪が崩れる。服装が乱れる。汗をかいてしまう。

 エンディ先生はそれでも、私が魔法だけでなく短剣にも興味が持てるように、色々と気にかけてくれた。


 そのありがたい気遣いに、気づいてはいた。

 それでも私には譲れないものがあった。

 今までなんの問題もなく上手くいっていたから、というのもあるんだろう。

 このまま魔法の道を極めれば、それで良いとも思っていた。

 私の中で、自分を着飾ってキラキラするというのはとても比重が大きいものだった。


 --そんなこと、もはやどうでもいい


 それがこれまでの私の歴史。間違った、誤った過去。


「…………」


 エステルの街にある宿屋の一室。

 日の光が窓から射し込むだけの暗い部屋で、私は姿見の前に立っている。


 髪を目立たない燻んだ暗い赤色へと変えた。

 そもそも敵の視界に入りにくいように、邪魔にならないようにバッサリと切って短くした。

 服装も完全に機能性のみを重視。色も明るいものから暗いものへと変更。


 装備も新たに購入し直して、装着。

 自分がダメージを負わないように、けれど動きを阻害しないように調整。


「…………」


 短剣を引き抜き、左手のそれをじっと見つめる。

 装備の新調で時間がなかったので、色を暗くすることしかできなかった。

 手入れが雑で少し刃こぼれしている。授業後に、すぐに手入れをしないと。


 暗い色をした短剣を鞘に戻し、再び姿見に視線を投げかける。


「ふぅー……授業は、全力で。エンディ先生に、迷惑をかけないように」


 胸を押さえ、言い聞かせるように静かに声に出す。

 否、鏡の中の自分に、そう告げた。言い聞かせた。


 視線の先にいる光のない目をした少女が、しっかりと頷き返す。

 さあ、行こう。エンディ先生を待たせるなんて言語道断だ。


 私は、使命を果たさなければならないのだから。

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