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第七話(2)

 レイの体を塵芥にするほどの魔法攻撃は、


「……!」


 王都の曇天に吸い込まれていった。


 目を閉じて攻撃に備えていたレイが薄目を開けると、そこにはヴェルクトの姿があった。


「俺様の縄張りで、好き勝手してんじゃねぇよ……!」


 それの腕を下から持ち上げ、攻撃を空へ逸らしたのだった。


 自分の攻撃がレイに当たっていない、そして敵がもう一人現れた。その状況を判断してそれは距離を取った。


「てめぇも!」


 ヴェルクトはレイに目もくれず怒鳴った。


「相手が元人間だからって手を抜いてんじゃねぇ! ここでてめぇがやられちまったら、王都の人間ほとんど死んじまうだろうが!」


 レイはその言葉にハッとする。決して手を抜いていたわけじゃない。何とかしなければいけないと思っていたのは当然のことで、だからこそ元パーティに声をかけていた。ただの魔物だったのならこれほどの脅威を持っていたとしても一瞬で片付けることが出来ていただろう。

 

「優しすぎるんだよ! 昔っから!」


 距離を取ったそれの動きを確認しながら、ヴェルクトは叫び続ける。それもレイ達の動きを伺うように首をグルグルと動かしている。中身は本当に人間だったのか疑わしい動きをしている。


「てめぇも分かってると思うが、魔花になっちまった人間は元に戻ることなんかねぇ! あいつらは魔物だ! 殺すしかねぇんだよ! 優しいのは結構だが、甘さはもう捨てろ!」


「わかったよ、ヴェルクト。君はいつも僕を正してくれる」


 レイは、目を閉じる。


 まるで昔を思い出すようなその表情と行動に、それの動きが一瞬止まる。


 その瞬間、周りの空気が急激に変化した。目に見えるものではないが、そこにいるものにはすぐさま感じ取れるほどのものだった。


 おぞましい、とは違う。恐ろしい、ともまた違う。何とも言えない空気をそれも感じ取った。


 その瞬間だった。


 それは勝てないと察したのか、闘技場の中心からひと跳びで外へ逃げ出した。

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