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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
3章 アルモニカの冒険者
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グレンが気になる?

短いです、散々悩んだ結果がこれだよ

 ガダイスキ邸にてプラムと話し合った結果、初日は飲料水のみの提供をリフィンとディクトが請け負う事になり、経過を見て余裕があるなら順次干上がった田畑や公衆浴場に水を提供する流れとなった。

 節水や水への祈りを呼びかけると同時に水魔法使い達に充分回復するまで体を休めるよう休暇を与えそれまでの飲料水の提供はガダイスキ邸でリフィン達が行う事になった。

 場所についてもプラムの父マルメロ・ガダイスキ大法官の許可を得る事に成功し、プラムは明日の為に早速アンソニーに諸々用意をするように命令し、今は急ピッチで準備を進めている。

 ガダイスキ邸の八か所に幾つか樽を設置し水を配る流れで、リフィン達は屋敷の周りをぐるぐる回りながら樽に水を入れていくだけだ。 冒険者も雇い遠い所に住む住民たちにも水が届くようにとプラムと話し合った。


 かなり長い事話し込んでいたようでリフィンが空を眺めると既に陽が暮れており、慌ててグレン達のところに戻り事情を話したら話が急過ぎると怒られてしまった。 何の相談も無しに水魔法使いである事を公にするという相談や連絡を入れなかった事を反省した。



「どおりで遅いと思ったら勝手に決めやがって…相談してくれてもいいだろうに、連絡の1つくらい寄越(よこ)せ!」

「…ごめん、話に夢中になってて忘れてた」

「まぁ…お前がそう決めたということは覚悟を決めたという事だな」

「うん」


『リフちゃん、ディクト…無理しないでね?』

『うむ! 街の人の為だし、頑張るよ!』

『ディクトごめんね、勝手に決めちゃって…力を貸してくれる?』

『勿論! 早速(あるじ)の為に能力(ちから)を振るえるんだ、喜んで協力しますとも!』


 リフィンはディクトの頬を撫でながら念話でディクトからの許可を貰った。 それを見ていたグレンはディクトが手伝ってくれるのかとリフィンに訊ねた。


「ディクトは協力してくれると言っているのか?」

「うん、結構張り切っているみたい」

「そこまで通じ合えるとは大したものだな…俺も何か手伝える事はないか?」

「えっ!? て、手伝ってくれるのなら…有り難いけど」


 なぜ最近グレンが手伝ってくれる事が多いのか、お金にうるさくてせっかちな性格なのに普通に手伝うと言ってくるグレンの動機がわからないリフィンは、やっぱり私の事を…と考えると顔が赤くなる。


「どうした?」

「な、なんでもない…グレンは暴動が起きないように並んでいる人を整理したりとか、あ、魔力回復ポーション買ってきてくれると助かるかも」

「…良いだろう、しかしポーションは5本までだそれ以上は渡さん」

「…ちょっと高価だから仕方ないよね」

「何を言ってるんだ? 魔石に負担をかけさせない為だ」

「………」


 嬉しい事を言ってくれる、しかしグレンには照れたような様子も無く至っていつも通りの顔をしているので、やっぱり違うよねと心の中で無理矢理納得させた。


 その後ガダイスキ邸を出てグレンと解散しようとした時だった。 陽も沈み段々と暗くなってきたというのに、明かりは増え周りの空気がザワザワと人の声が少しずつ大きくなっていく。


「早い…もう依頼を出してそれを受けた冒険者がいるのね」


 リフィンとグレンはザワザワとしだした方を見ると、冒険者と思われる男性と複数の住民達が話をしていた。 これは明日ガダイスキ邸の庭にて、飲料水が無償で提供されるという宣伝をして廻っているのだ。 


「…明日は忙しくなりそうだな、お前も今日はしっかり休んで明日の為に英気を養っておけ」

「うん…おやすみ」

「あぁ」


 こういう自分を気遣ってくれる一言だけでも言ってくれるグレンには感謝しなければ、と感じたリフィンは少し嬉しくなったのだが、気のせいだと今は思う事にした。


『あれ? リフちゃんそこ宿屋じゃないよ?』

『うん、ちょっとお買い物かな…ポコ達はここで待ってて』

『うん、いってらっしゃーい』

『気を付けてねー』

『………』

『………』

『…ねぇディクト、ここ道具屋だよね?』

『っぽいね、日用品でも買うのかな?』

『後で何買ったか聞いてみよう!』

『お、予想が当たるか勝負しようか!』


 その後道具屋から出てきたリフィンに何を買ったのか聞いてみたポコ達だが、リフィンは購入したのが何かを教えてはくれなかった。

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