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ONE WEEK  作者: K
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24/31

土曜日の夜 3

「何から、話したらいいのか…。」

恭平が、なおも、躊躇していると、隣に座っていた爽が、口を開いた。

「僕から、話しましょうか?」

「?」

成哉が、怪訝げに爽を見る。

「あんたは、俺が厄介になっているマンションの住人なんだろ?」

確認する成哉に、爽は、うなづいた。

その住人が、何を話すと言うのか?

「頼む。爽くん。」

恭平も、爽に匙を投げた。

「?」

よくは、わからないが、面白くないどころか、ややこしい話になりそうだ。

爽は、その物静かな口調で話しはじめた。

「僕が、エレベーターで、乙羽さんに会ったのは、水曜日のことです。」

「水曜日?」

「そうです。その時は、違和感しか感じなかったんですが…。」

「違和感?」

恭平が、成哉を遮った。

「色々質問は、出てくるだろうが、とにかく最後まで、話をきいてくれ。」

成哉は、不審な顔をしたまま、それでも、恭平に従った。

「その次に会ったのが、今日です。」

偶然、恭平の車に乗り合わせていたのだ。

「僕は、あの時、あなたの傍で、あなたに向かって叫んでいるものをみました。」

「は?」

成哉が、呆気に取られて、爽を見て、恭平を見る。

あの場には、成哉と美織と恭平の3人しかいなかったはずだ。

しかし、恭平の表情は硬いままだ。

冗談を言っているわけではないらしい。

「誰のことを言ってるんだ?」

とりあえず、聞いてみると、

「男の人です。多分、殺人事件で殺された被害者です。」

とんでもない答えが帰ってきた。

「はあ?」

成哉のその声には、怒気が混じっている。

「お前の、言いたいことはわかる。けれども、最後まで話を聞いてくれ。頼む。」

隣の恭平が、成哉をなだめる。

その表情は、真剣だった。

「何、あんた、幽霊でもみえるの?」

成哉の咎めるようなキツイ言い方にも、動じるどころか、爽は、

「はい。」

と、あっさり肯定する。

成哉は、ムッとしたものの、恭平の必死な表情を見て、信じてもらうしかないと言った意味を理解したのだろう。

「被害者が、幽霊になって、俺を責めてるとでも言いたいのか?」

と、低い声で、爽を睨む。

「いえ、彼は、あなたを責めていたわけじゃありません。必死で訴えていました。」

答える爽は、あくまで冷静だった。

「?」

「逃げろと。」

「え?」

「その意味を、僕は、あまり理解できませんでした。恭平さんにも伝えましたが、意味がわからなかったので、その時は、対処ができませんでした。」

「…。」

「いろんなことがつながったのは、そのあとの恭平さんの電話からです。警察が、成哉さんを探していると聞いてからです。」

「?」

「そして、今、成哉さんを目の前にして、成哉さんの疑問に対して、もう少し色んなことを、伝えることができる気がします。」

恭平が、チラリと爽を見た。

「人の疑問に答える形で、彼の能力は発動することがある。見えてくるものは、相手の疑問の深さに関係するんだ。」

恭平が、理系らしく分析した言葉を伝えるが、それが、成哉の耳に届いたか、心に届いたかどうかはわからないかった。

「彼は、チャネラーなんだ。情報源は、本人もはっきりとはしないらしいが…。」

「また、胡散臭い事、言いだしたな。」

成哉が唇を歪める。

爽は、軽くため息をついた。

「ここからは、僕が見えた通りのことを話します。それをどうとらえるかは、貴方次第です。」

成哉は、恭平を見た。

この霊能力者が、どんなものを観て、どんなことを感じたのかを聞いたとしても、それを裏付ける記憶が、成哉にはない。

だから、信じろか…。

信じるか、信じないか、そういうことかと成哉は改めて納得した。


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