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ONE WEEK  作者: K
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17/31

巧の火曜日

「くそ、こんな時間か。」

時計を見ながら悪態をつくのは、志筑巧。

彼は、総合病院前の門前薬局の薬剤師だが、夜勤のリズムにまだ慣れない。

社長の平が、色々試行錯誤しているようで、今回は、夜勤勤務を前と後の二つに分けてみると言いだした。

今回初めて、その前夜勤を経験する巧は、昼の2時から夜の11時までの勤務についたのだ。

飲みに行かない日にはバイクで通勤するが、雨が降り出すとは思わなかった。

初めての変則勤務だったので、引き継ぎ等で、結局、夜中を回ってしまった。

交替の薬剤師が、ささやいた。

「絶対、元のシフトに戻るって。」

巧もそう思う。

眠さと寒さに耐え、ようやく、自宅マンションに戻った巧は、エントランスに入って、エレベーターが閉まりかけようとしているのに気が付いた。

「すみません。」

一刻も早く、帰りたい。

エレベーターに飛び込むと、中には、二人の男女がいた。

ああ、3階のミニ。

半年前くらいまでは、朝のエレベーターでよく一緒になっていた女だ。

3階という高さは微妙で、ほとんどの3階の主は、荷物の多い時でない限り、降りる時は階段を使うことが多い。エレベーターを待つより、その方が早いからだ。

けれども、この女は、どんなに急いでいても必ずエレベーターを使う。

そして、履いているのは、必ずミニスカートだ。

よほど、足が自慢なのだろう。

確かに、すらりとしたきれいな足をしている。

彼女が、ミニ以外を履いている姿を見たことがない。

それで、巧の中で3階のミニというあだながついていた。

その3階のミニが連れているのは、若い大学生のような男。

初めて見る顔だった。

このマンションの住人ではなさそうだ。

服は、極めて軽装で、唯一冬ものに見えるジャケットのパーカーを深々とかぶっていたが、着ているTシャツに、血のようなあとがあった。

思わず

「大丈夫ですか?」

と、聞いてしまう。

あまり、面倒くさいことに、関わりたくないが…。

「多分…。」

答えたのは、若い男の方だった。

何だ?多分って。

男の返事の奇妙さに、思わず笑みがこぼれる。

そして、3階で、先に降りる二人に、

「お大事に。」

と、仕事でやってるいつもの挨拶といつもの顔を送りつける。

けれども、エレベーターのドアが閉まると、すぐに、巧は、

「疲れた。」

と、ため息をついて、エレベータ―の壁にもたれかかった。

もう、彼等への興味は失っていた。


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