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Another Dimension Story  作者: Taro
第二章
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交渉

――― …この世界での、マスターの力はどれ程のものなのであろう… ―――


 ジオランス軍との戦闘で、一瞬にしてオレたちの部隊は全滅してしまった。この世界でのオレは不条理な力を持っているが、それを見せつけられる気分ってこんな感じか? などと思ってしまう。しかし、まだ負けたわけではない。


(おい! ゼロ! 聞こえるか? )


「はい、マスター! 

 僕、なんだか久々に呼ばれたような気がしますよ~ 」


(そんな事より、エクスプロージョンより威力のある魔法ってあるのか? )


「まだまだ、たくさんありますよ! 」


(マジかよ! なんで教えてくれないんだよっ! )


「だって、必要ないかなぁ~ なんて思ってたりしましたから。 」


(とりあえず、目の前のジオランス軍を倒したいから教えてくれ! )


「ただ、相手が相手だけにねぇ… 」


(どういう事だ? )


「会ってみたらわかりますよ。それじゃ! 」


(って! 久々のパターンだな、おい! )


 ゼロとの会話が途切れて、すぐにジオランス軍の中から一人の男がこちらに向かって歩いてきた。その男は、長身で体格も良く、顔も整っていた。オレは若干、殺意を覚えたのだが… 。


「!!!!!! 」


「よっ! 風牙! 」


「よっ! じゃねぇー!!

 何でこんな所にいるんだよ! 

 てか! 

 殺されかけたんですけどー! 」


「だって、おまえらがジオランスに攻めてくるから仕方ないだろう。

 それに、オレも面倒くさかったけど、うちの兵隊たちが、なんとかしてくれって、うるさかったし… 」


「こっちもジオランスと争うつもりは無かったんだけどな。

 そっちがいきなり攻めてきたって話だぞ。 」


「あ~ なるほどね。

 とりあえず、カーザス平原にいる敵は全て蹴散らせって命令してたからな。

 まさか、ミッドガルド軍がいるとは思わなかったわ、悪ぃ悪ぃ~ 」


「じゃあ、この戦闘は終わりという事でいいんだな? 」


「ああ、オレは構わないさ。

 おまえとやり合うなんて、面倒くさそうだしな。 」


「それはそうと、海斗… 。

 何でこの世界、しかもジオランス軍にいるんだ? 」


「なんとなくだ。 」


「なんとなくかよっ! 」


「相変わらずのツッコミだな… 」


「てか、答えになってねぇ。 」


「この世界にいるのは、元々だが… 。

 むしろ、何故おまえがこの世界にいるのかを聞きたいくらいだ。 」


「どういう事だ? 」


「どういう事って? だって、おまえ… 」


「だって、何だ? 」


「悪ぃ… 、これ以上喋るなって怒られたわ。 」


「怒られたって誰に? 」


「オレの中にいる美女たちに… 」


「は?

 何言ってんだ??

 …… 

 てか、ひょっとして、おまえも『マスター』なのか? 」


「何を今更??? 」


「いや… 、何でもない… 」


「それはそうと、せっかく久々に会えたんだし、オレはおまえに協力するぜ! 」


「……… 」


「何で黙ってんだよ… 」


「お前が何の見返りもなく、オレに協力するとは思えない…

 何が狙いだ? 」


「さっすが風牙! 

 よくわかってるね~! 」


「で… 何が狙いだ。

 できる事と、できない事がある。 」


「おまえ、ルーシアン帝国を属国にしてるだろ?

 てことは、ユリアナちゃんはおまえの配下ってことだよな? 」


「ああ、そうだが…

 何でお前がユリアナの事を知っている? 」


「昔、外交でジオランスに来ている彼女を見かけたことがあってな… 。

 その一目惚れってやつだ。 」


「… 。

 お前、今までに彼女はいたのか? 」


「いるわけねぇーだろ!!

 今までオレに彼女がいた事があったか!

 喧嘩売ってんのか! 」


「はぁ… 。

 お前、普通にしてたら本当にモテそうなのに、相変わらずなんだな… 」


「とにかく一回でいいからユリアナちゃんとデートさせてくれ!

 頼む!! 」


「ま、お前の頼みだしな… 。

 ただ、ユリアナもオレの大切な部下だ。

 彼女の了承も得ないといけないし、今すぐには答えは出せない。

 ただ、できる限りの説得はしてみるつもりだ。

 これでいいか? 」


「わかった。

 期待してるぞ! 

 オレは『サーメラ』で待ってるから、報告してくれ。 」


 海斗はそう言い残して、ジオランスの部隊を率いてサーメラに戻って行った。それにしても海斗がマスターだったとは… 。


「フーガ様… 

 彼が四人のマスターのうちの一人なのですか? 」

 エカチェリーナが少し不安そうに聞いてきた。


「どうやらそのようだな… 」


「こう言っては何ですが、大雑把な方でマスターらしくありませんね… 」


「ま、あいつは昔から、あんな感じだ。

 悪いやつじゃないんだけどな… 」


「しかし、あの力… 、尋常ではありませんでした。

 ここは何としてもユリアナに協力してもらわないといけないですね。 」


「そうなんだよなぁ… 、な、リサ! 」


「やっぱり私ですか!! 」


「そりゃそうだろ。

 ユリアナと最も親しいのはリサだし。

 てことで、オレたちはジルオーダに戻るからユリアナの説得よろしく! 」


「ええーーー!! 」


 オレはスレイプニルをリサに預け、メイガダーヌへ向かわせた。そしてオレたちは、エカチェリーナのバリオス・クサントスの駆る馬車に乗り、ジルオーダへと戻ることにした。

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