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Another Dimension Story  作者: Taro
第二章
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引き金

――― …この世界には、勇者が存在するのだろうか… ―――


 独裁国家『ミッドガルド』が『ルーシアン帝国』を属国にしてから三ヶ月が経とうとしていた頃、首都『バベル』では結婚式が行われた。それはオレたちの結婚式だ。


 結婚相手はリサ、ヨーコ、優奈だったのだが、エカチェリーナも一緒に式を行うことになった。彼女は以前からオレの妻らしいのだが、今のオレには彼女と結婚式を挙げた記憶はなかったからだ。最初は一夫多妻制に猛反対していた彼女だったが、曲者三人を相手に、法律まで制定されているとなると、さすがに観念したようだ。結婚が決まった後の四人の間にはオレには理解できない妙な連帯感が生まれている。


 また、ミウはエカチェリーナとオレの娘なので、彼女以外の三人と結婚をすることに反対するかと思っていたが、双子のカレン、カノン含め、オレが四人の妻を持つことに全く反対はなく祝福してくれた。


 式の当日は、ユリアナが自ら指揮を執る治安部隊を街中に配置し警戒に当たってくれた事もあり、結婚式は恙無く多くの国民に祝福されながら盛大に終わった。一夫多妻制は、意外にもすんなりと国民に受け入れられたようだ。それは領内での男性の数が少ないという理由が考えられる。


 六年前の大戦で若い男性の大半は戦争に駆り出されていた。そして、生き残っている男性の多くは国境付近の最前線都市『アスティナ』に駐在している。また、ミネルヴァに聞いた話だと、退役した剣術や魔術が優秀だった男性はアドルフの富国強兵策により召集され殺されてしまい、アンデッドのモンスターとして蘇らされた。それがアドルフ直属の部隊、スケルトン、メイジを中心とした大魔導師討伐部隊だったそうだ。リサが一夫多妻制を法律改正時に組み込んだのは、優奈たちの提案に勢いで乗っただけだと思っていたが、国民の現状もきちんと視野に入れていたようだ。


 一応は独裁者であるオレが、国民に祝福される程、今のミッドガルドの状態は良好である。リサの内政が功を奏したようで、アドルフが宰相だった頃とは比較にならない程、今のミッドガルドは経済も治安も安定しているそうだ。今は『バベル』と『メイガダーヌ』を結ぶ大規模な工事が行われているが、工事に必要な人材、つまり男性の労力を『アスティナ』からも提供している。最前線都市をミウに任せたことで、残っていた兵士個々の強化、そして、ゴーレムの増産により今まで以上の戦力を確保している。その為、今までずっとアスティナに駐在していた兵士の一部を領内に送り込んだのだ。


 現在工事が行われている『バベル』と『メイガダーヌ』の街道沿いには、いくつかの小さな街もできつつある。オレがエカチェリーナ、優奈と共に未開の地にいた魔物をかなり退治したこともあり、今まで手を付けてこなかった土地を開拓することができるようになってきたのである。


 当初は『伝説の魔人』の属国、つまり事実上、独裁国家『ミッドガルド』の支配下に置かれる事となり、悲惨の生活が待っていると感じていた国民が大半だったが、いざ属国になってみると、今までとは逆に国民の生活は豊かになりつつある。


 国外に関して目を向けてみると、ミッドガルドの南東に位置する島国『ジャンヌ』の帝、つまり、優奈のマスターからは結婚のお祝いが届いた。優奈が来て以来、巫女の国『ジャンヌ』と外交もできるようになり、国民の間では貿易のような取引が公のもとに行われており両国の関係は非常に良好である。今では頻繁ではないにしても、巫女も領内に現れるようになった。ただ、相変わらず優奈のマスターは謎だらけである… 、外交を担当していたリサでさえ顔も見たことがないという… 。


 それに対し、三大勢力の残り二カ国、南方に位置する『シディア連邦』と西部に位置する『ジオランス共和国』とは相変わらず膠着状態のままである。


 国内でやるべきことも多かったが、オレは平和なら現状維持でも良いと考え、ミウやエカチェリーナたちの言うような他国を侵略する意思も持ってなかった。しかし、オレのその考えは覆されることになる。


 結婚式から一ヶ月ほど経ったある日、事件は起こった。国境付近で『シディア連邦』と『ジオランス共和国』の部隊が衝突したのである。事の発端は『ジオランス共和国』の自称、勇者達が未開の地を抜け『シディア連邦』の領内に侵入していたことが発覚した事である。


 この事件をきっかけに世界は大きく変わることとなる。

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