↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/179

63話

 街までの道程を歩きながら、蜘蛛の糸をインベントリから取り出す。


 蜘蛛の糸玉はかなり大きい。


 両手で掴むとメロン位の大きさだと分かる。


 手に触れた糸は微かな粘着力を感じさせるが、手にくっつく程では無かった。


「ドロップはやっぱり縦糸な訳か」


 最後に戦った蜘蛛の吐く糸は粘着性で、捕獲用の糸を結構な量を吐き出していた。


 攻撃には粘着性の糸、ドロップは衣類に使える強い糸、か。


 都合が良過ぎる気がした。


 いや、単にドロップアイテムを有効に使う方法をこちらの住人が研究したのか。


 現に、コバルトの有効利用方法は絵の具の顔料しか無かった訳だし。


 もしかしたら接着剤として重宝されたかも知れない。


 文明の成り立ちが根本から違うと言う事なのだろう。


 糸玉をインベントリに仕舞い直す。


「さて、ステータスはどう上がったかな?」


 Lv30、ボーナスも加味されてどう上がったか楽しみだ。



 守宮龍人

 人族

 凶戦士

 LV30

 HP380/400

 MP280/380

 筋力107

 体力100

 俊敏71

 知力36

 幸運41



 うん、微増。


 全体的に上がってるから、突飛なステータスに成らないだけだが。


 ただ、良く考えると筋力や体力は一番最初の十倍にまで上がっている。


「筋力十倍って、握力が48kgが480kgに成るのか?いや、それは無いか」


 そんな握力が有ったらエミリーとかアンが大変な事に成るな。


 荒っぽくはしていないが、もっと繊細に扱わないと怪我をさせかねない。


 気を付けなければな。


 ステータス上昇率と実質向上率の違いが分からないが、確実に武器の取り回しは楽に成っている。


 ただ、武器の扱いが筋力の上昇だけで巧くなる訳も無い。


 ステータスには反映されない、武器熟練の向上が胆に感じる。


 初日二日目より今の方が体捌きは巧く成っている。


 踏み込みや腰の捻りを意識し出した所から、処理速度も上がってる。


 やはり「ゲームの世界」の一言では説明出来ない部分だ。


 同時にステータスやLvなんて物も現実には無かった。


 厄介な事に、ゲームの世界と現実が配分不明に混じってる、としか思えない事だ。


 そして、「ゲームが混じった世界が現実世界と言えるのか?」について、


 俺には断言出来ないのが本音でも有る。


 まあ、モンスターみたいな厄介な生き物が出るのは良い。


 だが、倒したら消滅する生き物ってなんだ?


 貨幣とアイテムを残す生き物ってなんだ?


 時間経過で成体で出現する生き物ってなんだ?


 ゲームとは言い切れず、現実とも言い切れ無い。


 そして、その両方なんて、俺が連なる世界には概念としても存在しない。


「解らない」がここまで来ると考えるのは無駄に思えてくる。


 答えが有っても至る計算式を俺は知らない。


 答えが無くても、無い事を知る術が無い。


 方程式を知らずに数式を見つめていても答えは見付からないのと同じく。


「せめてこの視覚異常が無ければ、言い訳も探せるのに、な」


 昼間に悩むのを止めたはずなのに、結局ぐじぐじと考えてしまう。


 これは俺の弱さだろう。


 鬱々とした気持ちで見えてきた城門を潜る。


 空を振り仰ぐと紫色に染まっていた。


 時間的に鎧下の受け取りに良い時間だろう。


 城門から数分歩くと防具屋が視界に入る。



 店に入って店員に話し掛ける。


「頼んでおいた鎧下は出来てるだろうか?」


「いらっしゃいませ、出来てます。こちらにどうぞ」


 促され店内の奥、工房部分に入ってく。


 長机に置かれた黒い何かが目に付く。


 まあ、何かは分からないのだが。


 店員がその黒い何かを手に取り広げる。


 広がった黒い何かにしか見えないが、多分革の鎧下なのだろう。


 多分、トップス。


 長さがパンツより短いからそう判断する。


「試着してみて下さい」


 頷いてバックラーを始め装備を外して机に置いていく。


 手に取ると不思議な感触に首を傾げる。


 軟らかい、革の滑らかさと、エナメルの軟らかさの両方が有る新触感だ。


 先に下を履き替える。


 極めて頼り無い感触だが、取り合えず履いてみる。


 ファスナーなんて無いので前を紐で閉じていく。


 靴を履き直して、脚を上げたり動かして履き心地を確かめる。


 貼り付く様な密着感と、しっかりと伸び縮みをする収縮性に驚く。


 店員に質問しようと思うが、トップスも着てみる。


 上は紐では無くてボタンで留めるタイプ。


 首までカラーの様に襟が有る。


 頸動脈までカバーした造りに成っていた。


 腕を曲げ伸ばししたり、身体を捻ったりと動きに支障が無いかまで確認する。


 簡単には破れないのは分かった。


 後は防刃性能だ。


「これで本当に刃物を通さないのか?」


「はい、ダガーや鉄製品の刃なら通しません」


 つまり鋼以上なら貫通するか。


 まあ、革に無理な要求してはいけないか。


 デザインは分からないが、身を守る良く考えられた構造だと思う。


 満足してブレストプレートとバックラーを装着する。


 インベントリにチェインメイルを入れて感謝の言葉を述べる。


「ありがとう、これで次のモンスター狩りも安心だ」


「こちらこそ、鎧は数日後にまた」


 剣帯と片手半剣を腰に下げ直して、店員の言葉に頷いて店を出る。


 店を出て、いつもの娼館に向かう。


 フッと気になる事が浮かんだ。


 この鎧下って、ライダースなのか、ボンテージなのだろうか?


 ピッタリ貼り付いてるから、何だか不安に成る。


 世間のファッションが急に気になって辺りを見回してみた。


 目に写るのは多分ワンピース的なドレスの女と、シャツとパンツの男。


 結局、なんの参考にも成らない光景だった。


 つまりは、でも、ドット絵。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。