55話-『艶』
コバルトの製粉を終えて必要な作業は終わる。
粉まみれの手を洗って、歯を磨く。
ソファーに腰掛けると溜め息が零れる。
「リュート様、お疲れですね。横になられますか?」
灯りを消して目を頭を休ませたい。
「そうだな、二人には悪いが目を休ませたい」
「畏まりました、先に横に成ってください」
筋肉痛も大分緩和したのかアンが灯りを消す様だ。
二人に頼んでさっさとベッドに移る。
ダメージは太股の一ヶ所だけだが、イメージを幻視する位脳味噌を使用した事の方が堪えたらしい。
ベッドに仰向けに横たわると頭の中に揺れを感じる。
ただの錯覚なのだが、徹夜明けの不快感に近いか。
フッと部屋が暗闇に染まる。
視覚が遮断された瞬間に世界のギャップが無くなり、最後に残っていたストレス源が外れる。
両側から柔らかくて暖かい軆が触れた。
左側から手が延びてくる。
アンは今日はお休みの順番だし、昨夜疲れさせたからこれはエミリーの手だろう。
バスローブの合わせの隙間から細い指が胸元を撫でる。
帯を解いて密着してくる。
湯とワインで熱せられた脚が絡んでいく。
熱い吐息と唇が首元に触れる。
エミリーの頭から頬に手を滑らすと、顔を上げさせて唇を重ねた。
軆を左側に向けて俺の方からもエミリーに触れていく。
時間を掛けて二人で準備をする。
十分に準備が整ったら優しく軆を重ね合う。
上がった息を整えながら、ベッドに背中を乗せると右肩に濡れた柔らかい物が触れる。
アンの唇か? と考えていると、硬い感触が食い込む。
甘噛より強目で、本気の噛み付きには全然程遠い位。
女心、なんだろう。
これは不可避なのだから、甘んじて受け入れてその上で返そう。
右腕をアンの首の下に差し込んで抱き寄せて唇を重ねる。
少しの間、キスを続けるとアンの軆からも力が抜けるのが分かる。
左腕もエミリーの首の下に差し込んで抱き寄せる。
二人共がピッタリと肌を重ねてくる。
これは寝返りも打てないのでは?
まあ、仕方がないなと割り切る事にする。
女性二人を抱き締めて眠る。
贅沢過ぎる話だ。
まあ、見た目はいつもと同じだ。
でも、ドット絵だ。




