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28話

今回は難産でした。

 風呂から上がって汗が引くまでソファーで寛ぐ。


 暑い、逆上せた。


 こんな時に冷たいビールが有れば良いのに。


 文句を言っても仕方がない、夕飯を頼んで、大人しくしておこう。


 化学反応や物理法則は同じらしいから、


 作ろうと思えば可能何だろうが元の知識が無いとどうにもなら無い。


 時代や歴史、文化が進んでるのだろう、日本は特に。


 暫くして部屋に夕飯が運び込まれた。


 今日は3人分らしい。


 どうやらこの時間帯にエミリー達も食べるらしい。


 夜が早い世界なら当然か。


 テーブルに移動して食事を揃って食べ始める。


 今日の闇鍋の時間だ。


 オレンジ色の何かと、多分パンと、多分シチュー。


 二人を見るとオレンジ色の何かをナイフとフォークで切り分けて食べている。


 肉だろう、オレンジ色の肉?想像したら気持ち悪くなる。


 不気味だ。


 覚悟を決めてナイフとフォークを取り、小さく切って口に運ぶ。


 うん、泥臭い。


 多分川鱒。


 まあ、モンスタードロップで食材が出る事も有るから、モンスターの肉の可能性は否定出来ないが。


 魚を食べ、パンを食べ、シチューを飲む。


 ストレスが溜まるから、必要以上に時間を掛けずに平らげる。


 ワインで口の中に残る味を洗い流して一息を吐く。


 口の中が泥臭い気がする。


 なんだったか? 確か生ガキと白ワインは欧米人は好む組み合わせだが、日本人には生ガキの味が吹っ飛び、生臭さが際立って受け付けないと言う話を聞いた事がある。


 多分同じ様な味覚の違いと慣れなのだろう、正直旨くない。


 二人も程無く食べ終えてワインの呑んでいる。


 もう一口、とワインを呑むと口の端からワインが溢れる。


 地味にワインの残りが分かりにくい。


 グラスの水位が変わらないからだ。


 入ったグラスか、空のグラスかしか分からないから、気を付けないと零してしまう。


 口元のワインを手の甲で拭ってグラスを置く。


 決まり悪いので気になっていた地図と周辺の位置関係を二人に聞く事にする。


 ソファーに移動して、ローテーブルにインベントリから出した地図を広げる。


 改めて地図を見てみると街道で繋がった街が3つと多分王都が描かれている。


「すまないが、周辺の事を教えて欲しい」


 二人に頼むと少し間を置いて引き受けてくれた。


 エミリーが地図に指を乗せて説明をしてくれる。


「先ず、王都アディントン、この街の隣の都市は王都側がスプリッツァー。逆側の都市はクエーカー、その隣がソノラ」


 スプリッツァーは王国の食糧庫と言われる広大な畑と食材ドロップモンスターが集まる地域で、クエーカーは逆に麻や綿等の繊維が大量に採れる地域。


 一番外側が城壁都市ソノラ、城壁と音楽の都市。


 王都の名はアディントンと言うらしい。


 小さな村や集落は地図には描かれてないみたいだ。


 地図に書かれた地名を見てここがコザックと言う都市だと分かった。


 よし、これでこの街の名前を誰にも聞かずに誤魔化せた。


 我ながら小賢しいとは思う。


「リュート様、また旅に出られるのですか?」


 アンが尋ねてくる。


「いや、まだ考えては居ないが? もしかしたら悪くない商売も出来そうだしな」


「そうなんですか、頑張って下さいませ」


 励まされた。


 青ガラスの製作法を売れたら、どうしよう?


 別に今のペースでモンスターを退治していれば食うに困らない。


 経験値は入らなくなってもドロップはするし、別に街を離れる必要は無いか。


「別段、ここを離れる必要無いから」


 エミリーとアンは両側からしがみ付いてくる。


 まあ、元の世界と言うか日本に戻る手段が分からないと始まらないしな。


 さて、体内時計だと九時位か、寝るには早いがする事も無い。


「そうだ、ワインから作る強い酒は有るかな?有ったら呑みたいのだが」


 ウィスキーが有るならもしかしたらブランデーも有るかも、と確認してみる。


「リュート様は商人なのですか? ブランデウェインはまだ出回り始めた珍しいお酒ですが」


 あ、地味に自爆したか?


「いや、ただの旅人だが、前に呑んだ事があるだけだ」


「うちも扱っては居ますが珍しいので値が張りますが」


 確かに手間も掛かるし、珍しいなら高値が付くか。


「銀貨3、4枚位か?」


 適当に当たりをつけて言ってみる。


「いえ、銀貨10枚です……」


 あ、高い、が当然と言えば当然か、言い出した手前引くのもあれだし、試しに呑んでみたいと思う。


 ギリギリ払える額だし、良いか。


「二人はもう呑んだのか?」


「いえ、そんな高価なお酒……」


「私もありません、貴族様位です、呑めるのは」


 まあ、当たり前か。


 インベントリから銀貨10枚をアンに渡す。


 アンはお金を持って部屋を出ていく。


 初期のブランデーか、どんな味だろうか?


 ファンタジーの世界もしくは過去に行かないと経験出来ない貴重な出来事だ。


 なかなか得難いと言うか普通に無理な話だ。


 かなりの散財だが仕方がない。


 むしろ夢オチするなら残すより貴重な体験を逃さない方が前向きだろう。


 今夜夢オチ出来たら勝ち組だろうさ。


 駄目なら駄目で明日は真面目に狩りをしよう。


 いい加減金貨も見ていたいしな。


 まあ、黄色ドットだろうけどさ。


 暫くしてアンがガラス瓶に入った酒を持って戻ってきた。


 中身の色が薄い気がする。


 アンに礼を言って届いたブランデーをグラスに注いで一口含む。


 鋭い味、苦味が口に広がる。


 香りは…うん、アルコールの匂いしかしない。


 度数? かなり高いな。


 そうか、これ樽熟成してないから色も香りも無いのか。


 これただの純アルコールだな。


 困った、視界が傾いていく。


 あ、駄目なパターンだな、これ。


 視界がボヤけて見える。


 でも見えてる視界は決まっている。


 でも、ドット絵!!

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