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29話

遅く成って申し訳ない。

懲りずに書き続けます。

 朝目を覚ますと両側から体温と柔らかさが伝わってくる。


 記憶をたどるとブランデーを呑んで潰れた気がする。


 酒にも体質で合う合わないは有るが、なかなかキツい不一致だ。


 まあ、二日酔いの頭痛が無いならさして問題はない。


「お目覚めですか?」囁く様に声を抑えてアンが話し掛けてくる。


「ああ、面倒をかけたな」


 どう考えてもソファーからベッドに移動させるのは大変だったろう。


「いえ、でもリュート様が酔い潰れたのは驚きました」


 確かに、酔う前に普段は止めていたから、いきなり酔い潰れたらビックリはされるか、と苦笑する。


「いきなり酔い潰れたのは生まれて初めてだな」


 擦り寄るアンの髪を撫でながら溜め息を吐く。


 よくよく考えると二人も買って早々に酔い潰れたのは笑い話にしかならないな、と思う。


「お疲れだっただけです、疲れた体にお酒は効き過ぎますから」


 アンの言葉に納得する様なしない様な微妙な感じだ。


 疲れて酔えない時も有るのが人間だし。


「まあ、毎日闘ってるから、疲れたのだろうな」


 取り合えず同意しておく、面倒だし。


 今日も今日でハンター業に勤しむのだし、疲労は溜まるか。


 まあ、精神的な疲労は軽減しているのは有難い。


 我ながら現金な物だ。


 風呂と飯と女が揃えば何とかなる辺り、男過ぎると思う。


 そんな事を考えつつアンを抱き寄せて体温を堪能すると体を起こす。


 腕を回して筋違えの違和感を確認する。



 ようやくエミリーも起きたらしいので、


 窓を開けてもらう。


 服を着て用意をすると娼館を出る。


 城門を出てまずはネイルボア狩りに向かう。


 街を出た所で歩きながら装備をしていく。


 チェインメイルの上からブレストプレートを身に付ける。


 片手槍を右手に、メイスを左手に、バックラーも左腕に装着する。


 これで準備万端だ。



 早速ネイルボアの棲息地に向かった。


 街から棲息地はかなり離れている。


 まあ、近くては住人が困る、棲息地から離れた所に街は作られるのが道理か。


 ネイルボアの棲息地は街からだいたい2時間歩いた距離か。


 その間に目につくモンスターは片っ端から退治していく。


 新しい武器の慣らしも兼ねてコボルトやらベビーカウを倒していく。


 試して正解だった。


 モンスターに有効な武器が大分違っていたからだ。


 まず、片手槍はどんなモンスターにも利くが、穂先の大きさから余りダメージが出せなかった。


 またメイスは筋肉量が多いモンスターには効果がほぼ無かった。


 有効な箇所はほぼ頭部のみ、と考えて良い。


 コボルトサイズならメイスは有効だが、ベビーカウは微妙だった。


 頭部を殴って、脳震盪を起こさせてから槍もしくは剣で止めだろう。


 全くリアルなファンタジーだと思う。


 モンスターは山程居るのに、弱点は動物と同じ頭部や内臓に損傷を負えば死ぬのだから。


 コボルトの頭部にメイスを撃ち下ろした感触は正直忘れたい類いだ。


 道中、コボルトを7匹ほど倒してコバルトを回収した所でネイルボアが土を前足で掘っている所に行き当

たり。


 先ずは片手槍でネイルボアの首筋に一突き入れて、突進してきたらメイスでかち割りの繰返しの手順で

闘ってみる。


 昨日のネイルボア・リーダーより二回り近くは小さい。


 少しだけ安心すると呼吸を整えてから、一気に駆け寄って槍で一突きする。

 狙いは違わずネイルボアの首筋に突き刺さる。

 一突きすると引き抜いて距離を取る。

 近いと交わしきれないと判断してだ。

 ネイルボアは怒りの声を上げて突進してくる。

 多分200kgは有るだろう猪の突進はドット絵でも怖い物がある。

 歯を食いしばってギリギリで交わし、すれ違い様にメイスで頭を殴り付ける。

 手応えは有るがそんなに効いた感じがしない。

 やはり四足歩行の動物は首が強い。

 次の突進までの数秒でメイスをインベントリに仕舞い、片手槍だけにする。

 再度突進してきたネイルボアを交わして一突き、突進してきたら交わして一突き、を繰り返す。

 首筋からおびただしい血を流しながらもネイルボアは執拗に突進を繰り返してくる。

 体力が有り過ぎるのか、それとも傷が浅いのか。

 横向きに刺しているから頸動脈を切断出来ていないのだろう。

 ドット絵で、しかも猪の頸動脈の位置を知らない俺には繰り返して頸動脈か気管を断ち切るまで続ける

しかない。

 むしろこっちの体力が不安になる。

 荒い呼吸を無理矢理抑えて、再度の突進を交わして槍を突き入れる。

 槍が刺さったまま捻って、傷口を抉る。

 ここで痛恨のミス、突進の勢いに負けて槍を引き抜き損なった。

 武器をもぎ取られた事に焦るのと、槍を着けたまま突進されると俺の逃げ場がない。

 どうする?槍を諦めて反対側から攻撃するか、槍をメイスで殴るかして傷口を広げて槍を回収するか。

 失敗したら槍の柄で吹っ飛ばされるのは想像に難しくない。

 ネイルボアの突進と槍の柄を交わすなら1mは避ける必要がある。

 リスキー過ぎるので反対側を剣で斬りつける事にする。

 それから四度の突進を交わして剣で突きを繰り返して疲労困憊でネイルボアを倒し切る。


 かなりの長丁場に成った挙げ句、槍が余り役に立たなかったのが地味に辛い。


 何が駄目だったのか休憩しながら考える。


 弱点の見極めが必須だ、と溜め息が出る。


 しかし、難易度が高いと思う。


 だってさ。


 でも、ドット絵!

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