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アルケオン 第二章 「感情の色を探して」  作者: れんP


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遠き大陸へ、優越の地へ

「アルケオン 第二章 感情の色を探して」


彩葉たちの活躍から、十年――。

世界は大きな戦乱もなく、静かな平和を取り戻していた。


日本・大阪府大阪市。

その街に、一人の守護者が存在していた。


イラストから生まれた守護者――ユズ。


絵を描くことを愛する彼女は、

しかしひとつの欠落を抱えていた。


それは――

“色で感情を表現できない”こと。


どれだけ描いても、そこに宿るはずの“想い”が分からない。

色が、ただの色にしか見えないのだ。


そんなある日、ユズは一体の想霊と出会う。


苦しみの上位想霊――

感情体「サファリング」。


感情から生まれる存在である彼女は、

ユズの“欠落”に興味を抱く。


そしてユズもまた、

“感情とは何か”を知るため、彼女と共に歩むことを決める。


タブレット端末を手に、

二人は旅に出る。


喜び、怒り、悲しみ、愛――

さまざまな感情から生まれる“想霊”を探すために。


これは、色を知らない守護者が、

“感情の色”を探し出す物語。


そして――

世界に隠された、新たな異変へと繋がる物語でもあった。

沖縄の夜。


 


昼間の明るさとは違い、静かな闇と潮風が街を包んでいた。


 


ユズたちは空港へと向かう道を歩いている。


 


 


「……ヨーロッパかぁ」


 


 


ユズはぽつりと呟いた。


 


 


これまで巡ってきた場所とは、まったく違う遠い地。


 


 


プライドが静かに答える。


 


 


「ええ。文化も価値観も、何もかもが違う場所よ」


 


 


 


マーダラスは腕を組みながら前を見据える。


 


 


「そして……相手もな」


 


 


 


サファリングは短く言った。


 


 


「ん、気を引き締めて」


 


 


 


やがて、空港の灯りが見えてくる。


 


 


人々の往来、アナウンスの声、飛行機のエンジン音。


 


 


それらが混ざり合い、独特の空気を作り出していた。


 


 


 


ユズは一瞬だけ立ち止まり、振り返る。


 


 


沖縄の夜景。


 


 


ここで出会った“愛”という感情。


 


 


その温もりを胸に刻み——


 


 


「……行こう」


 


 


 


その一言で、全員が前を向いた。


 


 


 


飛行機に乗り込み、それぞれが席に着く。


 


 


窓の外には、滑走路の光が並んでいる。


 


 


 


やがて——


 


 


機体はゆっくりと動き出し、加速し——


 


 


夜の空へと飛び立った。


 


 


 


暗い空の中、街の光が遠ざかっていく。


 


 


 


ユズは窓に額を寄せ、小さく息を吐く。


 


 


「……スペリオリティ……」


 


 


 


その名前を口にするだけで、どこか胸の奥がざわつく。


 


 


 


サファリングは目を閉じている。


 


 


プライドは静かに外を見つめ、


 


マーダラスは腕を組んだまま動かない。


 


 


 


長い飛行。


 


 


時間の感覚が曖昧になるほどの距離を越えていく。


 


 


 


やがて——


 


 


窓の外に、朝の光が差し込み始めた。


 


 


雲の上に広がる、黄金色の景色。


 


 


 


「……朝……」


 


 


ユズは目を細める。


 


 


 


その光は、新しい場所への到着を告げていた。


 


 


 


機体はゆっくりと高度を下げていく。


 


 


 


見えてきたのは——


 


 


広大な大地。


 


 


整然と並ぶ建物。


 


 


日本とは違う街並み。


 


 


 


「……ここが……」


 


 


 


サファリングが静かに言う。


 


 


「ん、ヨーロッパ」


 


 


 


やがて、飛行機は滑走路へと降り立つ。


 


 


軽い衝撃とともに、旅の新たな章が始まる。


 


 


 


扉が開き、異国の空気が流れ込んでくる。


 


 


 


ユズはゆっくりと一歩踏み出した。


 


 


 


「……来たんだね」


 


 


 


優越感という危険な感情が待つ地。


 


 


 


その中心へと——


 


ユズたちは足を踏み入れた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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