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アルケオン 第二章 「感情の色を探して」  作者: れんP


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静寂の聖域、優越の気配

「アルケオン 第二章 感情の色を探して」


彩葉たちの活躍から、十年――。

世界は大きな戦乱もなく、静かな平和を取り戻していた。


日本・大阪府大阪市。

その街に、一人の守護者が存在していた。


イラストから生まれた守護者――ユズ。


絵を描くことを愛する彼女は、

しかしひとつの欠落を抱えていた。


それは――

“色で感情を表現できない”こと。


どれだけ描いても、そこに宿るはずの“想い”が分からない。

色が、ただの色にしか見えないのだ。


そんなある日、ユズは一体の想霊と出会う。


苦しみの上位想霊――

感情体「サファリング」。


感情から生まれる存在である彼女は、

ユズの“欠落”に興味を抱く。


そしてユズもまた、

“感情とは何か”を知るため、彼女と共に歩むことを決める。


タブレット端末を手に、

二人は旅に出る。


喜び、怒り、悲しみ、愛――

さまざまな感情から生まれる“想霊”を探すために。


これは、色を知らない守護者が、

“感情の色”を探し出す物語。


そして――

世界に隠された、新たな異変へと繋がる物語でもあった。

ヨーロッパの空は高く、どこか冷たい空気をまとっていた。


 


石造りの建物が並び、歴史を感じさせる街並みが広がる中——


 


ユズたちはその地に降り立っていた。


 


 


「ヨーロッパ……初めて来ました……」


 


 


ユズは周囲を見渡しながら、少し緊張したように呟く。


 


 


日本とは違う風景、違う匂い、違う空気。


 


 


すべてが新鮮で、どこか現実味が薄い。


 


 


「あ、そうだ」


 


 


ユズは思い出したように振り返る。


 


 


「スペリオリティさんは、どこに?」


 


 


 


マーダラスが顎に手を当て、少し考える。


 


 


「ふむ……いそうな場所といえば——教会か、廃教会だな」


 


 


 


サファリングが短く頷く。


 


 


「ん、そう思う」


 


 


 


プライドも同意する。


 


 


「そうね。優越感という性質を考えれば……人の信仰や価値観が集まる場所にいる可能性は高いわ」


 


 


 


ユズはその言葉に納得し、力強く頷いた。


 


 


「じゃあ、探してみよう!」


 


 


 


四人は歩き出す。


 


 


 


石畳の道を進み、古い教会をいくつも巡る。


 


 


人の祈りが残る場所。


 


 


静寂に包まれた空間。


 


 


 


だが——


 


 


どこにも、“それ”は感じられなかった。


 


 


 


「……いないね」


 


 


ユズが少し不安そうに呟く。


 


 


 


マーダラスは首を横に振る。


 


 


「いや……まだだ。もっと“歪んだ”場所にいるはずだ」


 


 


 


サファリングが足を止める。


 


 


 


「ん……こっち」


 


 


 


その声は、わずかに低かった。


 


 


 


三人もすぐに後を追う。


 


 


 


街の中心から離れ、人気の少ない場所へ。


 


 


やがて——


 


 


視界に入ってきたのは、一つの建物。


 


 


 


崩れかけた壁。


 


 


割れたステンドグラス。


 


 


長い間、誰にも使われていないであろう——廃教会。


 


 


 


その瞬間。


 


 


 


ユズの胸が、ざわりと震えた。


 


 


 


「……これ……」


 


 


 


空気が、重い。


 


 


 


見えない圧が、じわじわと心に入り込んでくる。


 


 


 


サファリングが静かに告げる。


 


 


 


「ん……間違いない」


 


 


 


プライドの表情も険しくなる。


 


 


 


「ええ……この気配……」


 


 


 


マーダラスが低く呟く。


 


 


 


「優越感……スペリオリティだ」


 


 


 


廃教会の奥から、確かに感じる存在。


 


 


 


それは——


 


 


これまでの感情とは、明らかに違う“圧”。


 


 


 


ユズはその場に立ち尽くしながらも、ゆっくりと前を見据える。


 


 


 


「……ここに、いるんだね」


 


 


 


誰も答えない。


 


 


 


だが、その沈黙がすべてを物語っていた。


 


 


 


禁忌の感情との対面は、すぐそこまで迫っている——

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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