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アルケオン 第二章 「感情の色を探して」  作者: れんP


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55/60

禁忌への意志、優越の影

「アルケオン 第二章 感情の色を探して」


彩葉たちの活躍から、十年――。

世界は大きな戦乱もなく、静かな平和を取り戻していた。


日本・大阪府大阪市。

その街に、一人の守護者が存在していた。


イラストから生まれた守護者――ユズ。


絵を描くことを愛する彼女は、

しかしひとつの欠落を抱えていた。


それは――

“色で感情を表現できない”こと。


どれだけ描いても、そこに宿るはずの“想い”が分からない。

色が、ただの色にしか見えないのだ。


そんなある日、ユズは一体の想霊と出会う。


苦しみの上位想霊――

感情体「サファリング」。


感情から生まれる存在である彼女は、

ユズの“欠落”に興味を抱く。


そしてユズもまた、

“感情とは何か”を知るため、彼女と共に歩むことを決める。


タブレット端末を手に、

二人は旅に出る。


喜び、怒り、悲しみ、愛――

さまざまな感情から生まれる“想霊”を探すために。


これは、色を知らない守護者が、

“感情の色”を探し出す物語。


そして――

世界に隠された、新たな異変へと繋がる物語でもあった。

沖縄の空は、夕焼けに染まり始めていた。


 


ラブと別れた後、ユズたちは静かな道を歩いていた。


 


 


「……いい子だったね、ラブ」


 


 


ユズの言葉に、プライドが穏やかに頷く。


 


「ええ。“愛”らしい、とても優しい存在だったわ」


 


 


マーダラスも小さく息をつく。


 


「……ああ。だが、その優しさもまた危ういものだ」


 


 


サファリングは前を見たまま、静かに言う。


 


 


「ん、感情はどれも、扱いを間違えれば危険」


 


 


 


少しの沈黙。


 


 


ユズは足を止める。


 


 


そして、ゆっくりと振り返った。


 


 


「……ねえ」


 


 


三人の視線が、ユズに向く。


 


 


「“優越感”って……知ってる?」


 


 


 


その言葉に——空気が変わった。


 


 


プライドの表情がわずかに険しくなる。


 


 


マーダラスも目を細めた。


 


 


サファリングだけが、静かに答える。


 


 


「ん……“スペリオリティ”」


 


 


 


ユズは小さく頷く。


 


 


「至上教にいるって……聞いたの」


 


 


 


プライドが一歩前に出る。


 


 


「……やめておきなさい」


 


 


その声は、はっきりとした拒絶だった。


 


 


「あなたが関わるべき相手じゃないわ」


 


 


 


マーダラスも続ける。


 


 


「同感だ。あれは……危険すぎる」


 


 


 


ユズは二人の言葉を受け止めながらも、視線を逸らさない。


 


 


「……でも、知りたい」


 


 


 


サファリングが静かに口を開く。


 


 


「ん、彼女はとても危険な感情体」


 


 


 


一瞬、風が止まったように感じた。


 


 


 


「ん、人間の“優越感”を吸い取って……廃人にする力がある」


 


 


 


その言葉は、重く、冷たく響く。


 


 


 


ユズの胸がわずかに締めつけられる。


 


 


けれど——


 


 


「……それでも」


 


 


 


ユズは一歩踏み出した。


 


 


 


「私は、知りたい」


 


 


 


その瞳には、迷いがなかった。


 


 


 


プライドは目を伏せる。


 


 


マーダラスは小さく息をついた。


 


 


 


サファリングだけが、静かにユズを見つめる。


 


 


 


数秒の沈黙の後——


 


 


 


「……ん、わかった」


 


 


 


サファリングは短く答えた。


 


 


 


「ん、なら行く」


 


 


 


ユズが顔を上げる。


 


 


 


サファリングは続けた。


 


 


 


「ん、スペリオリティのいる場所は——ヨーロッパ」


 


 


 


その言葉が、静かに響く。


 


 


 


南の島の空気とは違う、遠い大陸。


 


 


そこに待つのは、“優越感”という危険な感情。


 


 


 


ユズは拳を握る。


 


 


 


「……うん」


 


 


 


決意は、もう揺らがない。


 


 


 


新たな旅路は、さらに危険な領域へ——


 


 


物語は、大きく動き出す。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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